インドにあるシーク教寺院「ハリマンディル・サーヒブ」での炊事風景を描写したドキュメント映画「聖者達の食卓」の上映会(インドカレー付き)が堺町画廊さんで行われるということで、見てきました。
僕はこの映画のこともこの寺院のことも知らなくて、ほんとに予備知識ゼロで見たのですけど、迫力ある描写にただただ圧倒されました。こういうタイプのドキュメンタリにはセリフもナレーションも字幕すら要りませんね。毎日10万人が訪れ、その10万人に無料で提供される無料の食事を作る、その表裏を見ているだけでその意義が十二分に伝わってきました。引き込まれる。
この無料の食事は「ランガル」と呼ばれ、カースト制を否定するために始められたこととのことですが、性別も年齢も全く違う人たちが一緒になって食事をする様はなんとも楽しい。映画ではあまり実感が湧きませんでしたが、1度に5,000人が食事するそうで、そりゃ大変ですよね……1度に5,000人が一緒に食べられても、全員に行き渡るためには何十回と用意しなければいけないわけで、もうほんとに気の遠くなる話です。
映画中でもかなりの時間を割いて描写されていましたが、その圧倒的な量を準備するために働いている人はみな無料奉仕の人たち。全員が忙しく働いているかというと必ずしもそうでもないけれど、でもそれは意識的に、すべての人に仕事を与えるようになっているようにも見えました。作業によって大変度合いは随分違いそうですが、それも個々人の能力に合わせて選ばれているように見えます。
決して、全員が同じだけの負担をになうわけではない。力のある人は重い荷物を持つし、手先が器用な人は細かい作業をになうし、体が弱い人や子供にもそれぞれにあった負担をしてもらう。「平等」というのは、決して、全員が同じという意味ではなく、こういうことだよなあと強く感じました。
全国を単館またはキャラバン方式で回る、とても規模の小さな上映スタイルなので、なかなか見られるチャンスは少ないかと思いますが、もし機会があったらぜひ。インドに詳しい方も、そうでない方も楽しめる、とても興味深い作品です。というか、時間短くて使いやすそう(本編65分)だし、テレビで放映したら良いと思うんですけどねえ。それくらい、良い作品です。
「ランガル」のルール
- 寺院に入る前は、手を洗い、靴を預け、足を清める
- 宗教、階級はもちろん、女性、男性、子どもがすべて一緒に座る
- ターバンまたは、タオルを着用(レンタル有)
- 残さず全部食べること、お代わりは自由
- 使った食器は指定の場所へ戻す
- 酒、たばこ、革製品の持ち込みは禁止
- 一度の食事を5,000人でとるので、譲りあいを忘れない
(「聖者たちの食卓」公式サイト より)
参考サイト
映画『聖者たちの食卓』公式サイトハリマンディル・サーヒブ – Wikipedia
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