【今日のニュースから】原発処理水の放出と中国のお気持ちがなんかこうアレ

福島第一原発のイラスト
上手く表現できないんですけどすごくアレなんですよね






日本産水産物を禁輸、というけれど

中国政府のデータによると、日本にとって中国は水産物の最大輸出先だが、中国はほとんどの水産物をエクアドルから調達しており、以下は順にロシア、ベトナム、インドと続く。中国の税関統計によると、昨年の日中貿易総額は前年比3.7%減の3574億ドル(約52兆3234億円)で、今年1月から7月まで7か月は前年同期比12%減の1833億ドル(約26兆8635億円)となっている。

また、中国にとって日本は第5位の貿易相手国だが、中国市場の巨大需要に対し、水産物輸入総額で日本産の占める割合はほんの一部に過ぎない。

処理水放出で日本の水産物を禁輸の中国 「裏目に出るかも」と香港紙報道 – The News Lens Japan|ザ・ニュースレンズ・ ジャパン


なんというか、ぶっちゃけほとんど影響ないからこそ「お気持ち表明」の手段としての水産物禁輸なんだと思うんですよね。中国近海よりも遥かに安全な太平洋の水産物を禁輸することは、そこには安全上のメリットというのは実は殆どなくて、不安を感じる国民へのアピールであったり、日本の決定に対する影響力の行使であったり、なんか言えるタイミングでは何か言っとかないとプレゼンスが下がりかねない的なアレで、でも今自国経済も大変なときに隣国に経済的な喧嘩をガチでふっかける余裕なんかないんで、体裁は保ちつつ実害がないちょうど良いサイズが水産物の禁輸だったっていうね。


なんですかね、この感じ、上手く表現できないんですけど、表面的には激怒を装いつつなんとなく「察してくださいね」感がにじみ出ているように見える、非常にわびさびのあるお気持ち表明だなあと思うわけです。



もし中国が本気で怒ってるならやぶ蛇の方じゃね

一部の国民を除いては、日本国民は(頭では)わかってることだと思うのですけど、処理水の安全性についてはこういう数字があります。


海洋放出が始まった福島第1のトリチウムの年間排出量は、事故前と同じ22兆ベクレル未満を予定。処理水の濃度を国の規制基準の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1に希釈して海洋放出し、その後は海水と混じり、さらに薄まっていく。

これらの数値は他国と比較してもかなり低濃度だ。経済産業省のデータによると、中国・浙江省嘉興市の秦山第3原発の年間排出量は約143兆ベクレルで、福島第1の6.5倍、広東省陽江市の陽江原発は約112兆ベクレルで5倍、遼寧省大連市の紅沿河原発は約90兆ベクレルで4倍。韓国でも月城原発が3.2倍、古里原発が2.2倍となっている。

また欧米では、フランスのラ・アーグ再処理施設が454.5倍、カナダのブルースA、B原発は54倍、英国のヘイシャム2原発は14.7倍とまさにけた違いだ。

処理水放出に中国が猛批判 米メディア「中国の言い分は偽善の極み」 – The News Lens Japan|ザ・ニュースレンズ・ ジャパン


いやあ、ね。

ガチで稼働してるデカい原発が排出しているトリチウムは、福島の比じゃないわけです。でも日常的にはそんなの知らないし、僕も知らなかったし、報道もされてなかったと思うんですよね。それが今回福島の処理水放出が全世界的に注目されてしまったことで、中国始め各国の原発が如何にヤバい処理水を放出しているか広く報道されてしまいました。


中国は日本産水産物を禁輸してる暇があったら自国の漁業を禁止した方が良いレベルの話で、それを偽善と呼ぶかどうかは政治的なアレの話なのでいいとしても、もし中国国内にその話が広がって「フクシマ」と関連づけられてなんらかの運動が起きちゃったらどうしてくれるのかという、そういう話ならよくわかる。中国の漁業に従事してる人が騒ぐとか。やぶ蛇でしたね。



「じゃあ飲めよ」という話は八つ当たりだとしても

西村明宏環境相は「風評を生じさせないため、モニタリングを徹底していく」とのコメントを発表。福島県も27日、原発から約5キロ以内の9か所で25日に採取した海水を分析した結果、放射性物質トリチウムの濃度は検出できる下限値より低かったと発表した。9か所での測定結果は1リットル当たり3.7~4.1ベクレル未満だった。

国際原子力機関(IAEA)も独自に分析した結果、放出の基準を大きく下回っていることを確認。グロッシ事務局長は25日、「IAEAが公表したデータは世界の人々の安心にもつながっている」と強調した。IAEAは7月の包括報告書で、福島第1の処理水海洋放出について、「国際安全基準に合致している」と結論付けている。

処理水放出に中国が猛批判 米メディア「中国の言い分は偽善の極み」 – The News Lens Japan|ザ・ニュースレンズ・ ジャパン


各国の原発も当然国際安全基準を意識して運営されているわけで、もし文句を言えるとしたらそれは世界の原発に対して反対している人だけであり、中国やフランスにも文句は言いたいけどとりあえず手近な日本で文句を言うという話ならわかります。当然だと思います。早くこういう不安が解消される世界になると良いですね。


核融合炉の実用化まで生きてられるかなあ……