【ニュースから】なぜ日本がこんなに叩かれているのかわからなくなる記事【トリチウム】

他国が日本より酷いからと言って日本が悪くないということではないというのは理解した上で、でも叩かれる必要はないよなあ






前提:福島原発処理水の排水問題

読者の皆さんのきたいに答えられるかわかりませんが、経済産業省が用意した解説動画がこちらです。





この動画の通りなら、国際基準を大幅に下回る低濃度の水を排水するという意味では「安全性に問題はない」といえそうです。もちろん事故直後と同様に風評被害が生じ、国内消費や海外への輸出に影響が出る可能性はあり、人体への影響が少ないから問題はないということにはなりません。

で、この排水が今年の夏に予定されていて、国内で反発が起きているほか、海外からも(特に東アジアから)反対の声が上がっています。



で、こちらの記事をどうぞ

中国が国内で運用する複数の原子力発電所が、今夏にも始まる東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出の年間予定量と比べ、最大で約6・5倍の放射性物質トリチウムを放出していることが、わかった。日本政府が外国向けの説明用に作成した資料から判明した。中国政府は東電の処理水放出に強く反発し、官製メディアも動員した反対キャンペーンを展開している一方で、自国の原発はより多くのトリチウムを放出している。

(中略)

 中国政府は福島第一原発の「処理水」放出を「一方的に強行しようとしている」(中国外務省報道官)と反発し、官製メディアも連日、「日本は世界の海洋環境や公衆の健康を顧みない」(共産党機関紙・人民日報)などの主張を展開している。だが、日本政府関係者によると、中国は自国の原発のトリチウム放出について、周辺国との間で合意はなく、説明もしていないという。

中国の複数原発がトリチウム放出、福島「処理水」の最大6・5倍…周辺国に説明なしか : 読売新聞


見た感じ日本より韓国の方がよりダイレクトに影響があるわけだしもっと怒っていいと思うんですけど、なぜか怒りの矛先は日本に向かうのですよね。



さらにこれもどうぞ

韓国では処理水が「汚染水」と呼ばれ、環境や健康への影響を懸念する人が多い。日本は、韓国国民の健康や海洋環境に悪影響を与えないことを理解してもらう方針だ。濃度を国の排出基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1まで海水で薄めて放出する。1年間の総放出量は22兆ベクレル以下に抑える計画だ。

 処理水に含まれるトリチウムは、韓国の原発より少ない。

処理水視察団、日韓が協議…「汚染水」に含まれるトリチウムは韓国原発より少ない : 読売新聞


韓国の原発が年間23.5兆ベクレル~71.1兆ベクレルのトリチウムを放出しているのに対し、福島第一原発の処理水は年間22兆ベクレル以下です。

いやまあ、日本には他にも原発があるわけなので、全体として「韓国より少ない」という意味ではありませんが、少なくとも、韓国世論が懸念している以上のことを韓国の原発も行っているという話です。



最後にこれ

「ALPS処理水」を海洋放出するにあたり、放出するトリチウムの年間の総量は、事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆Bq)を下回る水準とする方針です。
トリチウムは、国内外の原発・再処理施設においても発生しており、各国の法令を遵守した上で、液体廃棄物として海洋や河川等へ、また、換気等にともない大気中へ排出されています。上のグラフにも示すように、「ALPS処理水」の処分時に放出するトリチウムの年間総量22兆Bq未満という量は、海外の多くの原子力発電所等からの放出量と比べても低い水準です。

環境省_トリチウムの年間処分量 ~海外との比較~


グラフがこちら。







これも「福島第一原発の処理水が安全だ」ということではなくて、そうではなく、原子力発電所というものにおいて一定量の放射性物質を大気中または河川や海洋に放出することはごく普通に行われていることだということです。

福島第一原発の処理水を排出することで環境や人体へなんらかの影響が起こる可能性はあると思いますが、しかし世界の原子力発電所において排出が普通であるという状況がある中で、水準として平均よりごく少ない量の放射性物質を排出することで影響があるのであれば、既に世界はかなり汚染されてしまっていると言えるのではないでしょうか。


で、放射性物質の(総量ではなくて)濃度に関しては、70歳まで毎日摂取しても大丈夫な量が国際基準をベースに日本政府が定めています。


日本における放射性物質の規制は、「国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection、ICRP)」の勧告にもとづいてさだめられています。ICRPとは、放射線障害から人を守る「放射線防護」について、1928年以来、専門家の立場から勧告をおこなっている国際組織です。その勧告は、世界各国の法令や規制の基礎とされています。

(中略)

つまり、このような希釈前の水を、「約2リットル」、さらには「生まれてから70歳になるまで毎日」飲み続けるというような、ひじょうに極端なケースを仮定したとしても、平均線量率を「1年間で1ミリシーベルト」に抑えられるようにしましょう、というのが、日本における水中の規制基準となっているのです。

放射性物質の規制基準はどうなっているの?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁


さらに処理水はWHO飲料水基準の1/7まで希釈するとか。

その分処理には膨大な真水が必要になるし、処理に掛かる時間も膨大な時間になると考えられますが、環境への影響は、少なくとも現在稼働している世界の原子力発電所よりは小さくて済むでしょう。少なくとも事故が起きずに福島第一原発が元気に動いているときよりも安全です。まあ、原発がないときの方がより安全なので、あくまで比較の問題ですけども。



つまり:叩く根拠はない

特に根拠がなく叩かれているので、どうやったら批判を避けること出来るのかまったく解りませんね。

要するに感情の問題なので、長い時間を掛けて説明していくしかないんですよね。感情は論破出来ないので。面倒くさいですが、仕方ないですね。それも外交なんでしょう。