日本は社会主義国家なんだろうか

マルクスの似顔絵イラスト
「社会主義とは何だろう」。


こんなブログで軽く扱えるようなテーマではないのですけど、「中国は資本主義、日本は社会主義だから」という皮肉を見聞きする機会が何度かあり僕自身も印象としては理解しているのだけど、実際のところ日本のどの部分が社会主義的なのかというと勉強不足ではっきりはわからないので、せめて社会主義の外殻だけでも把握したいなと思って、今ブログ記事を書き出しています。なんらかの結論にたどり着けるかは現時点では全くの未定。

良くも悪くもとりあえずwikipediaを見てみましょう。



Wikipediaで色々読んでみる

社会主義 – Wikipedia

社会主義(しゃかいしゅぎ、英: socialism)は、個人主義的な自由主義経済や資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す思想、運動、体制[1]。

歴史的にも社会主義を掲げる主張は多数あり、社会改良主義、社会民主主義、無政府主義、国家社会主義なども含む[2]。



なるほど社会主義国家を目指す人ほど反発しそうな感じですが、「より平等で公正な社会を目指す思想」という意味では確かに合ってるかも知れません。資本主義や自由主義だと「競争でものごとが決まる」というのが基本的な考え方だけれど、日本はそういう面もありながら「国民皆保険」「国民年金」に代表されるように大きな政府が国民の生活を保障する側面も大きいような気がします。経済的には「資本主義経済」でありながら政治的には社会主義的ってことかな。

考えてみればヨーロッパの左派政党はだいたいそういう考え方なわけで、そういうのを社会主義の一派として「社会民主主義」と言ったりもするみたいです。


社会民主主義 – Wikipedia

社会民主主義(しゃかいみんしゅしゅぎ、英語: Social democracy[1]、ドイツ語: Sozialdemokratie[1]、フランス語: Social-démocratie[1][2][注 1])とは、資本主義経済のもたらす格差や貧困などを解消するために唱えられた社会主義思想で[3]、暴力革命とプロレタリア独裁を否定し[1] 議会制民主主義の方法に依って議会を通して平和的・漸進的に社会主義を実現することで社会変革や労働者の利益を図る改良主義的な立場・思想・運動である[1][3][4][5][6]。革命・階級闘争を志向する共産主義と区別され[3]、政策としては議会制度の枠組みに基づき富の再分配による平等を目指す[7]社会主義である[8]、欧州の穏健な社会民主主義政党は「中道左派」と呼ばれる[9]。



また、社会自由主義という定義もあります。こちらは社会主義的な側面を持つ自由主義。
日本で共産党や社会党以外の左派というとこれかな?


社会自由主義 – Wikipedia

古典的自由主義とは異なり、公民権の拡大と同時に、失業、健康、教育などの経済的・社会的課題に対する国家の法的な役割を重視する。社会自由主義者は資本主義を支持するが、社会資本の必要性が資本主義と自由民主主義の両方の前提であると強調し、無秩序なレッセフェール経済を社会資本の必要性の認識が欠けているとして批判する[2]。社会自由主義者は、個人主義や資本主義が、公共の精神や連帯の認識によって加減された時に、自由民主主義は最良の状態になると考える[2]。 社会自由主義的な政策は、特に第二次世界大戦後の資本主義世界で広く採用された[3]。一般には、社会自由主義の思想や政党は、中道や中道左派とみなされる場合が多い[4][5]。




個人的な印象での「社会主義」

僕が「社会主義」と聞くと時代的な問題もあるんでしょうけど、共産主義ないしはソ連を中心とした旧共産主義国の社会体制を思い浮かべます。社会全体が国家に管理されていて、一部の官僚・軍部および独裁者または少数の指導者によって全てが決められているようなイメージ。財産は全て国有としそれを国民に貸与して生産等経済活動を行わせる的な。今の中国は経済的には国民が好き勝手やってる感じがありますが、社会システムということになるとこの国家による統制というイメージがそのままあります。必然、「社会主義」とは中国みたいなことを言うのかな、日本が社会主義ってどういうことなんだろうと思っていたんですけど、こうして色んな種類の社会主義を眺めつつ根底にある考え方だけをざっくり拾うと、

  • 国の権力がどれぐらい大きいか

ということが最も大きな要素になっているように感じられます。確かに「地方分権」といわれて久しいし、先に挙げた「国民保険」「国民年金」だけでなく、様々な規制・許可において国が管理する部分がまだまだ大きいようにも思いますね。


要するに経済と政治を分けて考えることが必要なのかな?


wikipediaの他には進研ゼミのこんなコラムがありました。


資本主義と社会主義の違いは?|地歴公民|苦手解決Q&A|進研ゼミ高校講座|ベネッセコーポレーション

資本主義と社会主義の違いは?
資本主義経済と社会主義経済の違いがよくわからず、いつも混乱してしまいます。それぞれどんな特徴があるのでしょうか?



「資本主義」「社会主義」と書いていますが、実際には経済的な話をしています。
ざっくりまとめるとこんな感じ。

  • 資本主義経済 …… 利潤の追求、生産手段を私有できる、国家が介入しない自由競争
  • 社会主義経済 …… 公平性の追求、生産手段は国有(公有)、国家による計画経済

日本に照らしてみると、基本的には資本主義経済じゃないのと思いつつ、日銀のゼロ金利や国債買入オペを考えると、日銀の経済活動への介入割合は大きくまた長期化していて、その点でとても社会主義経済的です。中国の財産が厳密に誰のものなのかはよくわかりませんが、個人の利益追求を推進しつつ、大枠では国家が計画を立てて管理するという点で日本と中国の経済思想は似ているのかもなという気がしてきました。



結論のようなもの

一方で社会システムの話になると、日本が社会主義的だというのはちょっと言いすぎかなとは思います。確かに国家の権力が大きい分野もありますし、伝統的に平等を志向する文化があってなかなか振り切った自由競争には行かない傾向がありますが、といって現代の日本に於いては「みんな一緒」という考え方はごく狭いコミュニティで訴えられることはあったにせよ、社会的には志向されてない気がします。消費税増税を始めとした「みんなちょっとずつ貧乏になろう」というような政策があったときに起こる反発は、基本的には「私はもっと裕福になりたい」という感想であって、それは社会主義的な感想ではないでしょう。いやでも、人というのは基本的にそういう自由競争な考え方を持っているのが本来なので、それに対してどう付き合おうとするかが社会の主義に反映されるわけで、その人の本能に反する政策を重ねるならその政府は社会主義的なのか……?なんかよくわかんないですね。これ以上はきちんと勉強する必要がありそうです。


ただ今回の「日本は社会主義」に端を発する軽い調べ物の結論としては、国家の介入という点でそういう側面もあるけど個人が利益を追求して成り立っているという点で日本経済はどうしようもなく資本主義だし、資本主義経済だと言えるんじゃないかなということと、政治的には自由主義よりは社会主義寄り(国家権力の大きさ的な意味で)ではあるものの、国の介入は分野を絞って行うという感じからは自由主義をベースとした社会自由主義的なのかなと感じるので、完全に社会主義な中国とは違うかなと。良いとか悪いとかじゃなく中国はそうでもしないとすぐに分裂してしまいそうだから、仕方ないんでしょうね。

結局「中国は資本主義、日本は社会主義」という指摘は、中国がどうしようもなく社会主義であり日本がどうしようもなく資本主義であるという動かせない状況を互いに皮肉っているということなのかも知れません。例えば中国は国民の本能が資本主義的であるからこそ、それをまとめるために社会主義的でなければならない、というような。それが国民の本能と反しているとしても、あの超デカい国をなんとか維持しながら発展させてるっていう意味で、中国の指導層は優秀だよなあと思います。中国みたいになりたい、中国に住みたいとは微塵も思いませんが。今後も安定していてくれることを願うばかりです。


さて、じゃあ何か本を買って読んでみましょうかね。