落語と私。
子供の頃から、実は落語を聞いて育ちました。 あんまり言ったことないんですけど。 何歳くらいの時のことか忘れたけど、父親が、 志ん生(五代目古今亭志ん生)にはまりましてね。 塾の送り迎えとか、旅行の時とか、仕事手伝うときとか、 車の中で、『火焔太鼓』とか、『三軒長屋』とか、『大山詣り』とか聞いてたもんですよ。 特に、『火焔太鼓』と『三軒長屋』は、全編空で言えたほどで。 今はもう殆ど覚えてないけど、 志ん生の枕から、全部、暗誦できたなぁ。 で、高校を卒業して、実家から離れてしまったので、 それ以来落語とはとんとご無沙汰だったのだけど、 実家に帰る度に、落語のテープ、CDが次々増えてて、その度に、 あー聞きたい! と思ってたんです。 でも実際問題…落語ってあんまり聞く機会がないでしょう? 寄席だって全然無いし。 それでも、NHKの朝夜の放送とか、 鶴瓶とか、三枝とかがやってる番組を見てはいたけれども、 僕が聞きたい落語はもっと古典なの。 それこそ、子は鎹とか、らくだとか、まんじゅう怖いとか、そういうの。 タイガー&ドラゴンなんて、ホントはむちゃくちゃマニアックなんだけど、 (そしてそういう視点で言うと、長瀬の落語は聞いてらんない…) 凄く軽い味つけでだしてて、あれはアレで良い、 でも、あくまでアレはドラマ。ドラマそのものが落語なわけで。 そうではなくて、落語として、ちゃんと聞きたいなーと思ってたんだよね。 で、遂に買ってしまいました。 Amazonにて、『五代目古今亭志ん生 名演大全集』。 全48巻もあるらしいんだけど、とりあえず、1と2を。 1は、やはり志ん生の十八番中の十八番、『火焔太鼓』、 2はその火焔太鼓の別バージョン(言うたらりミックスみたいなもん)が、入ってる。 志ん生って晩年は体を悪くしてあんまり口が回らなくなって、 もう本当に最後の方は何を言ってるのか聞き取れないほどだったけど、 それでもめちゃめちゃに面白かった。 最後は、高座に出てきて、すっと寝ちゃって、起きてはける、 それだけで客は大喝采、 そんなエピソードを、大泉がどうでしょうで言ってたけど(誰が分かったんだろう、アレ) そんな気持ちも、分かる気がするなぁ。 そうそう、実家に、新旧噺家のエピソードを集めた漫画があってね。 なんて言ったけかなぁ…ああ、これだ!『寄席芸人伝』! これがまた面白い漫画でねぇ。 『Barレモン・ハート』なんかを書いてる、古谷 三敏さんの漫画なんだけど、 味わい深くて良い。 そんなこんなで、実は落語が好きなんですよ。 今、iTunesで聞きながらこれを書いてますが…(なんか風情がねぇなぁ) 志ん生の出囃子、これを聴いただけで、なんて言うかなぁ… ビビッ!と来るもんがあるよね。 始まる、始まる!っていう… なんか、48巻全部揃えてしまいそうで怖いです。 いや、むしろ、音源になってる落語を片っ端から聴いてみたい気分にもなるなぁ。 ありえる。 やばい、やばい。 -- 父親には、本当にいろなものを教えてもらって、 僕の感性の根っこには必ず父親があると思うんだけど、 本当にこういうものを知ってて良かったな、と思います。 お父さん、ありがとう。 心から。