京都市内の旅館業開業おお杉内

ホテルのイラスト

先ごろ国土交通省が発表した2017年公示地価で、商業地の全国対象6491地点の価格上昇率トップ10に、京都市の3地点が入った。いずれも鉄道のターミナルや観光地から近い宿泊施設の好適地で、訪日観光客の増加で活発化しているホテルやゲストハウスの開発が価格を押し上げた。さらなる需要拡大を見込む事業者は強気の開発を続けるが、過当競争を指摘する声も出始めている。観光を「成長産業」と位置づける政府方針の流れを受け、過熱する「お宿バブル」の行方に警戒感が広がっている。

京都の「お宿バブル」に警戒感 ゲストハウス淘汰の予想も : 京都新聞


最近の京都市内の旅館業の開業ラッシュは本当にものすごいものがあります。


  • 少し広めの空き地で工事があれば新規ホテル建設。
  • 既存ホテルの改装が行われていればシティホテル、カプセルホテルなどに改装。
  • 空き家になった町家に看板が出ていれば「旅館業施設の計画の概要」。


とにかく、宿泊施設、宿泊施設、宿泊施設。


住宅地の中にもものすごくたくさんのゲストハウス(簡易宿所)があり、朝大勢の外国人がそこから出てくるなんて光景も珍しくなくなりました。町家のゲストハウスだけでなく、文化住宅や普通の3階建てくらいのビルもゲストハウスになっていて、アジア系、西洋系、色んな国籍の人が出たり入ったりしています。皆さん外で騒いでうるさいということもなく、コンビニで大量に食べもの買い込んでる姿を見掛けるあたり、宿の共用スペースや自室で盛り上がっているのかなーと思います。民泊の法改正前、深夜ジョギング中に民泊を探して困り果ててた中国系の男性を助けたことがありましたが、彼もとても礼儀正しくて好青年でした。なんだろう、「割れ窓理論」じゃないけれど、僕らがそういう街を作っていれば、そこに入ってくる観光客も自然と居住まいを正すんじゃないだろうかなんて思っています。逆に賑やかな地域にあるゲストハウスでは、もっと自由に賑やかで良いと思うし。



そんな感じで、沖縄那覇並にゲストハウスが溢れまくる街になった京都ですが、確かにかなりのバブル感があります。宿が足りなかったのはそうだろうけどここまで必要だろうか。今現在ですら潰れてなくなるゲストハウスも多いですし(でもその後に別のゲストハウスが出来るのだ)、これが頭打ちになり東京オリンピックが終わりとなったときにどうするのか。


こうした小規模な宿の開発を支え、市中心部の地価上昇の源泉となってきたのが国内外の投資マネーだ。「京都の宿泊施設への投資は高利回り。ここ数年の投資家の矛先は猫も杓子(しゃくし)もゲストハウスだった」。市内で簡易宿所を約40棟運営する不動産開発会社レアル(下京区)の児玉舟社長は、こう説明する。地域金融機関の審査担当者も「転売利益を稼ごうとする投機的な開発も見られる」といい、バブルを助長しかねない資金需要を慎重に見極める。

 不動産や金融業界は、実需を上回るペースで大量供給される宿泊施設の動向を注視する。京都の20年の宿泊需要予測に対し、ホテルの客室供給量が1万1千室以上も上回るという民間試算も発表された。高騰する地価と建設費の下で開発を進めた場合、景気後退局面に入ると一気に採算が悪化する可能性も否めない。

京都の「お宿バブル」に警戒感 ゲストハウス淘汰の予想も : 京都新聞


淘汰されて適正な数が保たれる状態になれば良いですけど、バブル崩壊で壊滅なんてことになるとそれはそれで色んな意味で問題。せっかく京町家の保存の手段としての簡易宿所というのが軌道に乗りつつあるのに、また京町家が取り壊されることになると、それは嫌だなあ……


今やさしたる産業もない京都なので、京都財界が観光に大きな期待を掛けるのは解るのですが、実際問題、宿を増やして観光客を収容したところで、公共交通機関も人気観光地も既にパンクしつつあります。このままでは、大事な「観光資源」を毀損しかねない。売上増を目指していきたい気持ちは解るけれど、寺社仏閣その他の観光地も無尽蔵ではない「観光資源」と捉えて、そろそろ観光都市・京都の観光客上限を設定する時期に来ているんじゃないかなあと思うんですよね。マイカー規制している上高地のように観光客を実質的に制限することも、観光資源を保護するためには必要なんじゃないのかなと最近思います。


このクソ暑い中、人に揉まれて観光しても京都の印象が良くなるとは思えないしねえ……

それよりも、観光に来てくれる人たち1人1人の満足度を上げるようにしていった方が、長い目で見て良いと思うんですけどね。そろそろそれを考えないとダメじゃないかなー