関東的なものが京都で醸し出す空気感。関西へようこそ。

鴨川
少し働いてみてわかったことは、「感じ悪いな」と思っていた店長は悪い人ではなかったらしい。営業中の笑顔の無さは相変わらずだけど(格式高いレストランだってもうちょい笑顔で接すると思うぜ)、スタッフ相手であれば笑顔で話してるし、どちらかというと他の社員の間ではいじられキャラ的、学生に対しては兄貴分的な立ち位置であり、エキセントリックな言動があるとかいうこともなく普通の常識人みたいでした。良かった。安心した。


なんで僕が店長に対してネガティブな印象を持っていたのかな、ということを疑問に思っていたのだけど、ふと、

そうか、これが関西人が東京に行って「東京の人は怖い」「冷たい」っていう感覚か!


っていうことに気付いて大笑いするとともに深く納得してしまった。
そうか、そうか。そういうことだったか。
僕も大概、関西人になってきたなあ。もう25年近くも住んでるんだもんな。そりゃそうなるわ。



レストランは東京の店舗に続く2店舗目で、学生バイトは京都在住の大学生だとしても、社員は皆関東からの移住組。出来てまだ2年だから社員も京都に住んで2年。関東人だらけの職場で働いているから言葉は当然「関東弁」のままだし、ノリも関東っぽい。笑いのポイントは違うし、全体的に大人しい。というかそもそも、笑いが生まれることをそんなに重要視してない。まあ日本全国、普通そうなんでしょうけどね。大笑いしながらくっそ真面目に仕事してるとかあんまりないのかもな。僕がいたいくつかの店ではそんな感じだったんだけど。

スタッフの職場環境の話だけだったら「カルチャーの違いよね」で終わる話なんだけど、結局このことが、僕が店の雰囲気に感じていた違和感の大元でもあるんだなということが少しずつわかってきた。社員にそんなつもりはないことは重々承知の上なんだけど、でもお客様との間で醸し出す空気が違うなあという感じがちょいちょいある。客として来店したときの接客の感じだと、お客様とたくさんコミュニケーション取ってビールや料理のことをわかっていただこう、そういう感じの接客方針なんだろうなとは思うんだけど、店全体から醸し出される雰囲気が微妙にお客様に馴染んでない。お湯に水を入れたときに分離しているような感じ。なんか上手く言葉で説明できないけれど。



京都の水で醸されてこそ

今はまだ「京都に住む関東人」である彼らが、ビールと同じく京都の水で醸されることで、店も街に馴染んでくるんじゃないかと思う。ビジネス的観念からは見えないかもしれない。なぜかって店の接客方針とお客様が求めている接客とは一致していると思うから。でも、店の接客方針と店の雰囲気が噛み合っていないように見える。いわゆる居酒屋みたいな雰囲気になるのは違うけれど、全体的にもうちょっとフランクで良いんじゃないかという気がする。今のままでも観光客には受け入れられるだろうけれど、せっかくこれだけ素晴らしい店を作ったのだから、京都の人たちに受け入れられてこそだと思うのよね。もったいないじゃん。

といって今すぐ関西人になれるわけでなし、出来ることがあるかというとあんまりないのかも知れないけれど。忙しいだろうけれど、一旦東京のことは忘れて、京都での生活を楽しんで欲しい。その中で生まれることもあるんじゃないかな。


関西へようこそ。もっと関西を楽しんでいこうぜ。