珍しく書店で時間を潰す機会があってたまたま見ていた料理本コーナーで土井善晴さんの本を見掛け、ちょっと読んでみて即購入決定。


土井善晴さんと言えば料理人(最初はフランス料理人でそこから日本料理に)であり料理研究家で著書は当然レシピ本の本などが多いんだけど、この本にはレシピは一切載っていません。そうではなくて、料理をする上で気にすべきポイントやコツ、プロの料理人が何を考えて準備しているのか、家庭ならどうするべきか、そんなことが網羅されています。


例えば「台所のお布巾」ではこう書かれています。


ひとつの作業と作業のあいだに、布巾を洗ってきれいにすることが、調理のリズムを生む。複数の調理を同時に進めているとき、料理人は汚れた布巾を洗うというほんのわずかな時間に、全体を見渡し、次に続く作業を考える。

(中略)

お布巾は調理のけじめをつける。場所や調理方法によって区別され、また、時間も区別する。けじめをつけ、常に清らかな気分や場をつくることで素材を生かす日本料理が出来上がる。

(中略)

日本の寿司屋のように布巾をきちんと使いこなせるかどうか。家庭でもお布巾を上手に使いこなすことは、料理上手のひとつの目安に違いない。


先日書いた「ふきんは納豆の夢を見るか?」というテキストを、布巾を綺麗にすることがなぜ大事なのか、それを疎かにしている人間を料理人と呼ぶのは抵抗がある、そんな気持ちで書いたんだけど、土井善晴さんがちゃんと正解を書いてくれていました。そう、料理やその先にいるそれを食べる人のことを考えると、自然に使う道具や手、場所に気を遣うようになっていく、それが料理人であるはずなのに、その大事な部分が欠落して料理作って「美味しいでしょう?」とかいうのはちょっとね……違うよね。そうじゃないでしょ。


本書では、そんな「細かいかも知れないけれど料理をするに当たって大事なこと」がひとつひとつ丁寧に書かれています。中には実際に生活に取り入れるのは難しいこと、例えばご飯のおひつを使うとか、もあるけれど、それもひとつの考え方としてとても興味深く読みました。料理人になりたいと思っている人や、普段料理をしていたけれどもっと上手になりたい、そう思った人がレシピ本とは別にまず最初に読むべき本。そんな気すらします。いや、絶対読むべき。


派手ではないけれどこれはとても良い本。料理に関わり続ける限り、手元に置いて何度でも読み返したい、なんなら気になるフレーズを切り出して日めくりにして毎日振り返りたい、そんな気持ちにさせてくれる本でした。素晴らしい。


土井善晴さん本当にありがとう。




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