「コタツ記事」を量産するメディアにはメディアとしての価値はないかも知れないけれど

こたつで寝る人のイラスト
実は個人的には助かってたりもするんです






コタツ記事とは

コタツ記事(コタツきじ)は、ジャーナリスト、ライターが現地に赴いて調査を行ったり取材対象者に直接取材したりすることなく、インターネットのウェブサイト、ブログ、掲示板、SNS、テレビ番組などのメディアで知り得た情報のみを基に作成される記事である。対義語はフィールドワーク。

コタツ記事 – Wikipedia


僕がこのブログで書いているような「気になったのでちょっと調べてまとめてみました」とかいうのもコタツ記事です。僕がやるくらいだったら読者は限られてるので影響は小さいと思いますが、最近は新聞、雑誌の記者もそういう記事をたくさん作ってニュースサイトなどにたくさん放流しています。あ、いや、コタツ記事専門の記者を雇って記事を量産していると書くべきですかね。たとえばこういうのね。


俳優・大泉洋(50)が30日に更新されたYouTubeチャンネル「NHK MUSIC」に出演し「大みそかの第74回NHK紅白歌合戦」へのボヤキを連発する場面があった。

 29日のリハーサル終了直後の大泉にインタビューする動画。現在の心境を聞かれると「不安でいっぱいと言いましょうか…“もう一回歌わせてくれ”なんて決して言わせない雰囲気がありましたね」と苦笑していた。

大泉洋、紅白にまさかのボヤキ連発「司会じゃなくなった途端に扱いが雑!」有吉不在時に“暴挙”も…― スポニチ Sponichi Annex 芸能


記者(またはライター)の方はYouTubeの動画を視聴してその内容を簡単にまとめただけ。取材は一切していないし、もちろん大泉さんからコメント取ったわけでもありません。まさにコタツに入ったままで書いた記事です。


その昔「GIGAZINE」が出てきた頃に、「ライターを雇って1日何本というノルマを課してとにかく記事をたくさん更新する」的なことを当時の編集長が言っていたのを記憶していますが、同じようなことを主要メディアもやる時代になったということなんでしょう。メディアとしては割と最底辺のクオリティですが、背に腹はかえられないんでしょうね。取材する人手も予算も無いし手っ取り早くPV稼いで金にしましょうねっていう。



コタツ記事には批判も多いけれど

江川さんはここ数日、「宝塚歌劇団の団員死亡問題」や「羽生結弦さん離婚」に言及し、その発言やnoteの記事がスポーツ紙で記事になっている。そうした中で、江川さんは11月21日、自身のエックス上で次のような問題提起をした。

「スポーツ紙のコタツ記事は、なんとかならないか。Xでのつぶやきを拾うくらいならまだいいが、それなりに時間をかけて書いた原稿をつまみ食いして刺激的な見出しでPVを稼ぎ(金銭も発生。ほとんどドロボーじゃないか)、その見出しを見て短絡的に逆上する人たちの矛先はこちらへ。メディアの倫理を問う」(11月21日のポストから)

江川紹子さん、コタツ記事を量産するスポーツ紙に苦言「ほとんどドロボーじゃないか」「この発言もコタツにしてみろよ」 – 弁護士ドットコム


いやあもう江川紹子さんの仰るとおりです。マジで倫理観が足りないと思う。


ただねえ、いやもうほんとこれ大人として良いのかといわれると自信が無いような話なんですけど、個人的にはコタツ記事をすごい便利に思う場面もあるんですよ。


というのは、我が家にはテレビがないわけです。TVerで無料配信してくれている番組は視聴出来るけど、特にどことも有料契約していないですし(NHKプラスとか)民放もNHKも視聴出来ません。そういう環境においては、例え切り取りであろうとまとめであろうと、バラエティ番組で誰々がこんなこと言ってましたみたいなのを見聞き出来るのは「へーそうなんだー」ぐらいの価値はある。

それが記事か?といわれるとまあお前という気はしますけど、それがなかったらタレントやアーティストが何やってるのか、自分でSNSをフォローしている人以外は全くわからないので、率直に言って助かってます。



コタツ記事が正統なビジネスまで昇華すれば良いのに

コタツ記事きっかけで「じゃあTELASA契約してテレビ朝日の番組を見よう」「NHKプラス契約してこの番組を見続けよう」とはならないので、誰が得してるか?といわれるとほとんど誰も得していない話であり、江川紹子さんの言うとおりほとんどドロボーではあります。ただもしコタツ記事がバラエティ番組のPPVにリンクされて、視聴権が150円とかで販売されていたとしたら、出演者によっては買うかも知れないなという思いもあります。


形態としては、YouTubeでMV見て、iTunes Storeでシングルだけ買うみたいな音楽の買い方と同じです。アーティスト的にはアルバムで買ってくれと思ってるとは思うんですけど、アーティストより楽曲の方を重視してる場合には申し訳ないけどシングルだけ欲しいっていうこともあります。ばら売りなら安いしね。


そういったビジネスの導線としてコタツ記事が設けられるようなことになれば、その記事を書くメディアにとっても意義のあることになると思うし([PR]入れなあかんかもしれんけど)、テレビの前にいないってだけで言われる「テレビ離れ」が「テレビ番組離れ」ではないんだよということが証明出来るのにねと思うんですが、、そういうPPVは儲からないんだろうなあ、、儲かるならやってるもんな。PPVってのは話題性があるから売れるんであって、バラエティ番組の何も起きない普通の回を150円払ってみるかっていうと見ないし、システム整備するだけコストだもんな。


そう考えるとこれからもコンテンツに寄生するコタツ記事を見て、「へーそうなんだー」ぐらいでわかった気になる僕、という構図は今後も変わらないんでしょうね。良いんだか悪いんだか。