住宅ローン控除の申請方法について調べる

確定申告に来た人のイラスト
来年3月に行う2023年分の確定申告から住宅ローン控除が適用になります。ただ自動的に適用されるわけではなくて申告が必要で、かつ初回は煩雑な手続きが必要らしいので事前にちょっと調べておくことにしました。我が家は夫婦2人1対1で融資を受けているので、自営業で自分で確定申告をしている僕の分とサラリーマンで今年初めて確定申告をする奥さんの分と2人分が必要です。上手く理解出来れば良いんだけど。






そもそも住宅ローン控除とは

超ざっくり言うと住宅を新築・増築・改築したときに借入金に応じて税金を割り引いてもらえる制度が住宅ローン控除です。


個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をした場合で、一定の要件を満たすときは、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する「住宅借入金等特別控除」の適用を受けることができます。

 また、住宅ローン等を利用しない場合であっても、個人が既存住宅について一定の要件を満たす①住宅耐震改修をしたとき、②バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事(住宅耐震改修や省エネ改修工事を併せて行うものに限ります。)をしたとき又は③認定住宅等の新築等をしたときは、それぞれ所定の方法で計算した金額を、その年分の所得税額から控除する「住宅耐震改修特別控除」、「住宅特定改修特別税額控除」又は「認定住宅等新築等特別税額控除」の適用を受けることができます。

住宅ローン控除を受ける方へ|令和4年分 確定申告特集(本番編)


僕らが適用を予定しているのは正確には「住宅借入金等特別控除」というもので、住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合に適用されます。


個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、令和4年1月1日から令和7年12月31日までの間に自己の居住の用に供したときは、一定の要件の下、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除(住宅借入金等特別控除)することができます。この特例は、以下のとおり、住宅等の区分および居住年に応じて、借入限度額や控除期間が異なります。

なお、このコードでは、住宅を新築または取得(以下「新築等」といいます。)した場合の内容について説明しています。

No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁



我が家は諸事情あって省エネ住宅に出来なかったので、上記図の中の「一般の新築住宅」というものになります。2023年から居住しているので3,000万円を控除適用限度額としてそれを13年間受けることが出来ます。控除額は年末残高の0.7%なので、仮に限度額を超えて残っていた場合には3,000万円の0.7%にあたる21万円が所得税から控除されます。

例えば税引き前月給が30万円の人は源泉徴収額が53,700円。それ以外の収入がなく年末調整もなかったと仮定すると所得税は644,400円になりますが、その約1/3が確定申告で返ってくる計算です。大きいですね。



控除を受ける手続き概要

国税庁の概要には以下の通り書かれています。


(1) 控除を受ける最初の年分 控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に、下記の「提出書類等」に掲げる区分に応じてそれぞれに掲げる書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要があります。

(注)給与所得のある方について、平成31年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。ただし、確定申告書を作成する際には引き続き給与所得の源泉徴収票が必要となりますので、税務署等へお越しになる際には忘れずにお持ちください。

No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁


初年度の提出書類等(サラリーマン、自営業共通)

我が家の場合、以下の5つが必要なようです。


  1. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  2. 金融機関等から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
  3. 家屋の「登記事項証明書」
  4. 家屋の「工事請負契約書」
  5. 土地の「登記事項証明書」


1の「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」、これなんだろう?と思ったら、2-5の書類を元に自分で作成するんですね……なるほど。PDFをダウンローとしてきて入力しても良いし、「確定申告書等作成コーナー」で作成することも出来ます。僕の場合はfreeeの確定申告書作成機能で作成することができるみたいです。どっちか1人が作って流用出来ないかな。

ちなみに我々はお互いが連帯債務になるので「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要です。


2は先日住宅ローン融資を受けている銀行から送付されてきました。4は建築会社が用意してくれたファイルにまとまっています。


3と5は原本が必要ってことだよなあ、、2部ずつ法務局から取得する必要があるのかなと思ったんですけど、e-Tax等を使って電子申告する場合にはPDFでの提出が可能です。ただし法務局から交付されるのはあくまでフィジカルデータ(書類)なので、PDF化は自分でする必要があります。つまり、法務局に申請・交付、自分でPDF化、2人で使用っていう流れになりそう……と思ったら国税庁のガイドにこんな記載がありました。


登記事項証明書について
<登記事項証明書の添付省略について> 土地・建物の登記事項証明書については、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます。

No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁


おーそうなんだ。不動産番号わかるかな、、多分法務局で調べればわかるはず。


というわけでまとめ。


  1. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 → 確定申告書等作成コーナーなどで作成
  2. 金融機関等から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」→ 計算書に入力することで省略
  3. 家屋の「登記事項証明書」→ 不動産番号の記載により省略
  4. 家屋の「工事請負契約書」→ 手元にある書類をPDF化
  5. 土地の「登記事項証明書」→ 不動産番号の記載により省略


これらの書類が用意出来たら、サラリーマン、自営業ともに確定申告を行って完了。申告時に書類の添付をお忘れなく。PDF化が面倒くさそうです。


2年目以降についてはサラリーマンの場合と自営業の場合とで変わります。




2年目以降の提出書類(サラリーマンの場合)

給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記(1)のとおり、確定申告書を提出する必要がありますが、2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。

この場合、税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出する必要があります。

No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁


サラリーマンの場合は簡単です。2年目以降は送られてくる書類2通を会社に提出するだけで終わりです。確定申告の必要もありません。年末調整で自動的に控除の適用を受けることが出来ます。


2年目以降の提出書類(自営業の場合/freee利用中)

自営業の場合は年末調整がないので、確定申告が必要です。


2年目以後の年分は、必要事項を記載した確定申告書に下記の「提出書類等」の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(付表が必要な場合は付表を含みます。)のほか、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(電磁的記録印刷書面を含みます。2か所以上から交付を受けている場合は、そのすべての証明書をいいます。以下同じです。)を添付することで特別控除の適用を受けることができます。

No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁


初年度と同様に計算明細書と残高証明書が必要になります。違いは、2年目以降の残高証明書は計算明細書に入力することで提出を省略出来ることです。


所得税の確定申告書の提出をe-Taxを利用して行う場合、次に掲げる第三者作成書類については、その記載内容を入力して送信することにより、これらの書類の税務署への提出又は提示を省略することができます。

(中略)

住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)

e-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合の「生命保険料控除の証明書」などの第三者作成書類の添付省略の制度について教えてください。| 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)


あとはポチッと押すだけで完了……と思ったらfreeeには大きな落とし穴がありました。freeeは連帯債務の住宅ローン控除に対応していませんでした!マジか、、ヘルプから抜粋します。


参考 : 連帯債務(共有持分)がある場合の記入方法

freee会計では、連帯債務(共有持分)がある場合の住宅ローン控除の記入には対応していません。そのため、以下の方法でご対応ください。

住宅ローン控除の内容を記入する(住宅借入金等特別控除) – freee ヘルプセンター


【紙で提出する場合】
  1. 税務署や税理士様に相談の上、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」を作成し、ご自身の住宅ローン控除額を算出します。
  2. 確定申告書類の作成画面の「確認ステップ」にある[直接入力編集へ]をクリックし、「確定申告書」タブを選択します。
  3. 第一表の(34)に控除額を、第二表の「特例適用条文等」欄に居住開始年月日等を記入します。(詳しい記入方法は、国税庁「税金の計算をする」のページをご覧ください)
  4. 申告書類に各種計算明細書と住宅借入金残高証明書を添付して提出します。

【電子申告する場合】
  1. 住宅ローン控除以外の帳票をfreeeで作成します。
  2. freeeで作成した確認画面で出ている帳票の内容をe-taxに打ち直します。
  3. 打ち直す際に住宅ローンの内容をあわせて行います。詳しい記入事項はお近くの税務署へご確認ください。
  4. e-taxで提出します。


今さら紙で提出するのは嫌なので必然的に電子申告に。freeeで住宅ローン控除以外を作成して、その内容をe-Taxに自分で打ち込み、連帯債務の住宅ローン内容を自分で用意してそのままe-Taxで提出。何それくっそ面倒。いや対応してくれよ……参りましたね。将来対応してくれることを祈りつつ、対応してくれるまではこれでやらなくてはいけないようです。当然初年度もこれです。なんてことだ。



まとめ

電子申告が整ってきていて書類は準備しないといけませんが、申請自体はそんなに大変ではなさそうです。特にサラリーマンの方は2年目以降あんまり考えなくて良くなるので簡単です。

自営業に関しては連帯債務の場合はfreeeが対応していないので確定申告自体がめちゃくちゃ面倒くさくなります。試しに他の競合サービスを見てみましたが、どこも連帯債務(共有持分)の住宅ローン控除には対応していませんでした。頑張ってやるしかないかー。


freeeさん対応、是非よろしくお願いいたします。