「掃除をする人の仕事を奪うことになるから掃除してはいけない」に感じていた違和感と文化の違いの話

清掃業者のイラスト
侍JAPANのWBCでのベンチの使い方が綺麗だと話題になっています。






現地での話題

野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、米マイアミのローンデポ・パークで決勝が行われ、日本が米国を3-2で破り、2009年第2回大会以来14年ぶり3度目の優勝を飾った。その中で日本ベンチの“美しさ”が大きな反響を呼び、海外ファンからさまざまな称賛が寄せられている。

(中略)

米独立リーグのミズーラ・オスプレイで監督を務めるマイケル・シュラクトは、決勝の試合中にツイッターで「日本ベンチのきれいさに驚く時間があってもいいのでは?」とつづり、放送に映った大谷翔平(エンゼルス)と水原一平通訳が話し込む瞬間を公開。地面にはゴミ一つなく、バットやグローブなども整然と並べられていることが分かる。

 この投稿には「これこそ日本の文化がアメリカのはるか先を行っている証拠」「日本文化は信じられないくらいリスペクトにあふれている」「驚くだけでなく、誰もができるようにならないといけない」などのコメントが殺到。試合後の整列や礼と合わせて称賛する声が多く上がっていた。

侍ジャパンの”美ベンチ”に称賛止まらず「リスペクトにあふれる」「アメリカのはるか先を行く」 | ENCOUNT



「掃除をする人の仕事を奪うことになるから掃除してはいけない」

昔からMLBのベンチは汚く使ってナンボという文化がありました。

ひまわりの種を食べながらプレーするという習慣があることもありますが、それを選手が片付けてはいけないとされています。というのも選手は皆超高給取り、掃除をする人たちはそんなに裕福な人たちではない、その状況で選手が掃除までしてしまったら掃除をする人たちの仕事を奪うことになってしまい、最悪職を失ってしまうかも知れない。選手はベンチを汚く使ってそれを放置し、それを片付ける人の仕事を作る。それが良しとされているということです。


なので今回の件も「日本では美徳とされているが、アメリカでは少し事情が異なる」という視点で紹介されているのかなと思っていたのですけど、いくつかのメディアの取り上げ方を見ているとどうもそういうことではなく、そういうことに気をつけるのも大事だという論調みたいです。そうなのか。

確かに「フロアにゴミを捨てない」と「整理して使う」とは根本的に違う気もするし、「整理して使う」に気を遣うようなると「フロアにゴミを捨てない」にも繋がっていく気はします。そしてそれがプレーにも繋がる……という日本的思考/志向。



もっと効率の良い貢献の仕方があるように思いますが

前から思ってたんですよね、「仕事を奪わない」という発想は大事だけどもう少し何かあるんじゃないの?と。こうなんというか、富裕層が小銭を投げるようなことではなくて、掃除のような単価の安い仕事じゃなくもっと効率の良い仕事を作ることも出来るだろうし、もっと根本的な貢献の方法があるんじゃないかと。

でもこの「富裕層が小銭を投げる」という発想が日本的であって、言い方を変えれば「少しでも貢献することが大事」「機会を増やすことが大事」ということになるわけだし、こういうのが文化の違いなのかも知れません。こういう話が出たところでMLBのベンチが綺麗になることは未来永劫ないでしょうしね。


であるからこそ、今回こういう話が出ていることを非常に興味深く感じました。アメリカも変わってきていると言うことなのかな。



紹介された実際の画像