新しいことにトライすると傷は増える

「お仕事近況」の中でも言及しましたが、飲食店での仕事の内容が増えてきました。今のポジションに入って実質半年ぐらい、そこで求められることは概ね問題なくこなせるようになりました。週に1回ぐらい入るだけのアルバイトならそれで十分なんでしょうが、週の半分程度入り長時間勤務もOKのフリーターだともう少し求められることがあり、そろそろ別のポジションも出来るようになりましょうかという雰囲気になってきました。


長く働いている大学生バイトの中には、複数ポジションを普通にこなせる人や、ビザ生地をのばすところからやってピザを焼ける人もいるので、僕も負けてられません。元々経験を積むことを目的に働いているわけなので、新しいことにトライさせてもらえるのは本当に有り難いです。事前に「洋食のことはほとんど何もわかりません」ということを申告していることで、逆に相手も教えやすいという側面もあるんでしょう。僕自身、指示する人間が年下であることに全く抵抗を感じないパーソナリティであることも大きい。大事なのは仕事が出来るか、出来ないかであって、年齢ではないですよね。教えてくれる人たちも同じような価値観であることもありがたい。



新しいことにトライすれば当然失敗も増えます

そんなわけで別のポジション、新しい仕事と覚えることが最近非常に多くなってきたのですが(それに合わせてメモ帳からA5ルーズリーフに拡大しました)、新しいことにトライすれば当然失敗することも増えます。年上ということもあって気を遣いながら指摘を受けているのですが、しかしまあ、仕事は職場の同僚に向かってすることではなくあくまでお客様に向かってすることですから、失敗は失敗です。料理を全部捨てるような失敗ではないものの、ベストではない。提供に時間が掛かるとか、パスタがほんの少し茹ですぎになってしまうとか。強くは言われなくても、あんまり上手く行かなかったなというのは自分でもわかります。反省点がほんと多い。

自分が出来る仕事だけをやっていれば失敗することはありません。反省は日々あるにしても傷を負うことはないし、やり方を大きく変えたり新しいことを覚えたりする必要もありませんが、新しいことにトライすると大小の傷を負っていくことになります。いやあ、昨日の傷も痛かった。サポートしてもらったこともあって出せる料理には仕上がりましたけど、仕事になってたかというとどうだろう。マニュアルの行間にある自分で判断すべきところがどれも適切に判断出来ていたと言いがたい。正解がぼんやりしてるんですよね。



いつまでもチャンスがあるわけではない

僕が新しい仕事を任されるようになった理由は、半年の間、周りの期待を上回る結果を出し続けてきたからです。「脱サラして居酒屋の厨房で働いていた40過ぎのおっさんてどないやねん」と少なからず思われていたと思いますが、洋食の経験はなくても、それ以外の部分で十分貢献できています。グリルの扱いにも随分慣れたし、他の人の手を煩わせることもない、指示された作業は丁寧かつ迅速に終わらせることが出来る。必要な確認を行って勝手に適当なことをすることはないし、一度教えられたことは二度目からは確実に実行する。

そういう実績を持った上で、ワンランク上の仕事にトライしてみようかということになっているわけですが、そこで求められていることは今すぐ他の「ほんとのシェフ」たちと同じように動けるようになることでは無いにしても、少なくとも速やかに及第点には到達すること。サポートなしで任せられるようになること。今はまだ、他のシェフの動作を観察し動きを盗み少ないチャンスで試すという段階であって、自分自身の感覚が全くない状態なので、とても及第点にはほど遠いわけですが、しかしそれも、うーん、遅くても年内には及第点に到達したい。いつ状況が変わるかわからないし、例えば1人経験あるシェフが社員として入って来てしまえば、僕がその仕事を習得する必要性は大きく減るわけで、任せようとしてもらっているうちに任せてもらえるまで成長しなければ。



初心者・桜木花道

出来ないことをすぐに出来るようにはならないけれど、それでも少しでも早くできるように全力で考える。心境としてはあれです、初心者・桜木花道です。まあ、飲食業界に入ってからずっとそんな感じですけどね。自分だけが初心者の状況でいかにやっていくかを必死に考える。理解ある人たちに恵まれたというのもあるけれど、そういう姿勢が評価され信頼度を上げて来れたと思うんですよね。

今度の壁はまあぶっちゃけ、なかなか高いけれど、高さで言うとスペインレストランでパエリアの練習を始めたときと同じぐらいには高いけれど、それでもまあね、新しい壁に挑むのは楽しいんでね。キズをいっぱい作りながら楽しみつつ結果も求めつつ、乗り越えていきたいと思っています。桜木花道みたいにはなれないかもしれないけれど、何かを手にできたら良いなあ。