生茶葉や、それを乾燥させた「荒茶」、さらに製茶については暫定規制値として1キログラムあたり500ベクレルが適用される。これまでに神奈川県南足柄市や茨城県全域などで、この数値を超えた茶の出荷停止が政府から指示された。

だが川勝知事は、暫定規制値を「根拠なし」と切り捨てる。理由のひとつとして、原子力安全委員会が規制値を見直す必要があるとの見解を示した事実を挙げた。6月2日、班目春樹委員長が数値を「非常に粗っぽいもの」と表現し、いつまでも暫定値を使っているのは「ちょっとおかしい」とコメントしている。専門家が見直すべきだと指摘する「物差し」など信用できない、というわけだ。
 


静岡出身者として静岡の肩を持ちたいと思っているのだけど、川勝静岡県知事のイメージ戦略がどう考えても悪くてなんとも擁護しづらい状況であります。静岡の財界や政界がどんなつもりだったかはよくわかりませんが、端から見れば「放射性物質に汚染されているのを隠してお茶を出荷しようとしている」とか見えないんですよねぇ。いや、絶対、「そんなつもりではない」と強く反論されるとは思いますけど、「人にどんな印象を与えるか」と「どんなつもりか」との間にいつも関係があるわけではないのですよ。本当に「そんなつもりではなかった」のであれば、やっぱり川勝県知事の立ち回りが下手すぎたと言うことだと思います。全然伝わってないもんよ。


まぁでもそれはそれとしまして。

県知事が上の記事で語っている「基準の不自然さ」については一理あるかなぁと思います。
お茶(飲用茶)の製造過程がどうなってるかというと、こうです。
生茶葉 →(乾燥)→ 荒茶 → (火入れ等仕上げ)→ 煎茶 →(煮出し)→ 飲用茶


現在問題になっているのは「荒茶」。

厚生労働省による荒茶の暫定規制値は1kgあたり500ベクレルで、その基準を超えたお茶について厚生労働省は出荷自粛を求めています。根拠はよくわかりませんが、とりあえず一旦置きます。


次に飲用茶。

飲用茶の基準はよくわかりませんが、飲料水の基準値は1リットルあたり300ベクレルです。飲料として飲用茶も「飲料水」に準じると考えるならば、1リットルあたり300ベクレルという事になります。

さて、1キロの「荒茶」からどれだけの「飲用茶」が出来るのでしょうか。資料が見つからなかったので正確なことは言えませんが、「美味しいお茶の入れ方」で調べた限りでは、煎茶6グラムで80ミリリットルとなっていました。荒茶と煎茶が同じ重量だと仮定すると(荒茶の時点で水分量5%以下なので仕上げをしても殆ど変わらないだろうと判断しました)、1kgの荒茶から作られる飲用茶は約13.3リットルになります。これを元に、飲用茶の基準300ベクレルから荒茶に適用すべき基準値を求めると、1kgあたり4000ベクレルとなります。仮に「そもそも飲料水の基準値が甘すぎる」「お湯にも放射性物質が含まれる可能性を考えるべき」として基準を1リットル当たり100ベクレルに強化したとしても、荒茶1kgあたり1300ベクレルですね。

ところが、荒茶の基準値は500ベクレルなんです。この差は何なんだろう?これで計算すると、現在のお茶の基準は厳しすぎませんかね?



県知事が説明しようとしていることは多分こういう事だと思うのです。
最初に基準ありきで当てはめるのではなく、人間本位で基準を決めて欲しいと言うことなのでは。

個人的にはこういう理屈が伝わってくるんですけど、きちんと説明するのはなかなか難しいでしょうね。なぜか。「4000ベクレル」という数字が大きすぎるからです。これ、誰が見たってギョッとするくらいデカイ数字ですよね。でも考えてみてください、それってさ、単位次第でどうとでもなるんじゃないの?荒茶をバリバリ食うのは一般的ではないはずだし、1kg単位で示すのにも何の根拠もないんだよねぇ。冷静になって考えれば解ることだけど、今の日本ではこういう数字を冷静に考えられる人って少ないのかも知れないです。安全性に自信があるなら、100グラム単位でも良いんじゃないの?



僕は荒茶の基準値がいい加減(本当はもっと大きくて良い)と思うのですが、もし荒茶の基準がこれで正しいとするのなら、飲用茶の基準値を厳しく定める必要だあると思います。もちろん理由が必要です。例えば…お湯で温めると活性化して体内に取り込まれやすくなるからとか。あ、もちろん適当に言ってます。そういうの無しに「基準で決まってるから」とかいうのはちょっとね…

正直、パニック状態ですよね。誰も彼もが。


これに関してさっきツイートしたら、多分センシティブになってるんでしょう、静岡のお茶屋さんらしきアカウントから「だったら飲用茶の基準が何ベクレルなら良いと思ってるんだ」みたいなことを言われましたがそんなのしらねーよwww誰か専門家に聞きなよwww300ベクレルって言ってるんだったら300ベクレルなんじゃないですか。肩を持たんとしてる人にたいしてもそういうことを言ってしまうくらい神経質になってるんだろうなぁと思うと、本当に同情します。

なんだかなぁ。



追記

このエントリの主眼は「飲用茶の基準と荒茶の基準は矛盾してるんじゃないか?」なので、
基準そのものの是非については特に考えていません。というかわかんないし。

飲料水の基準「300ベクレル」が過大すぎという話もあり、
他の物質と足し算することを考えると10ベクレル程度が妥当という説も見かけました。
となるとこの話は根本から崩れて、荒茶の基準はそもそも130ベクレルくらいが妥当になります。

んーでも、わかんないんですよね。

考えてみればそもそも、同じ100ベクレルでもヨウ素とセシウムでは半減期が違うわけだし…
ヨウ素主体なら300ベクレルでも大丈夫な気がするし。


なんでこう、信頼できる基準が公式に発表されないんでしょうかねぇ…
もっと明確にした方がきっと心情的に安定すると思うんですけどね…