出羽守の気持ち

元服式する武士のイラスト
ネットスラング「出羽守」(でわのかみ)について思うところを






「出羽守」とは

俗語における出羽守(でわのかみ)は、他者の例を引き合いに出して物事を語る人のことである[1][2]。ではの神という表現も存在する[3]。特に海外と比較して日本を批判する人を「海外出羽守」と呼ぶ[4]。また、「欧米では~、日本では~。だからもう日本は“終わり”だ!」とばかり話している人は「尾張守(おわりのかみ)」という[5]。

出羽守 (俗語) – Wikipedia


一般的に自分以外のものを引き合いに出して他者を否定する人のことを言うことが多いように思います。「アメリカではこういうときこういう取り組み方をするんですけどね」「前いた会社ではこうやってたんですよね」みたいな、若干マウント気味な風合いを伴います。

言われた方は「ここ日本だし」「この会社は君の前の会社とは違う会社だし」と思っていますが、付き合い上、「へーそうなんですねー」と相づちを打ちます。痛いですね。



飲食で働いていたときによく使ってしまっていたんですよね

自分でも良くないなあと思ってはいたんですけど、飲食って職場ごとにやり方の違いが色濃く出る世界なので、新しい環境のやり方を理解するに当たってどうしても以前の環境との比較を行ってしまいがちです。

前の店だとこれ、一旦アレしてからやってましたけどねー


みたいな感じ。今のやり方で問題なく出来てるならそれも正解だし、前の店のことを言う必要なんか全然ないんですけどね。

なんかこう、やったことないこととか、違う考え方をすることとかについて言ってしまいがち、やり慣れたやり方でやりたいなあという気持ちが溢れてしまいがちなのかも知れません。意識の上ではそんなつもりはない(新しい環境ではそこのやり方に合わせたいと思っている)んですが、飲食業としてのバックグラウンドが薄っぺらであんまり自信が無いので、そうなってしまうのかも。



そして自分で言ってるときには全然気になっていないんですけど、人に言われると結構気になるって言うね。



最近言われた事象で言うと

PHPのフレームワーク「Laravel」を使った案件に参画しているところで、会社側の担当者があんまりLaravelの経験がなく(エンジニアとしての経験は十分あるけど社会人になってから習得したタイプ)最初の頃ひっきりなしにこう言ってたんですよね。

Rubyではこういう機能があるんですけどないんですかね

Rubyではこういう問題が起きて対処が必要だったんですけどLaravelはどうですか


最初のうちは色々調べて回答してたんですけど、さすがにね、僕Rubyのことそんなに知らないんで両方調べて回答すんのさすがにしんどい。ていうか頼む、まずドキュメントを読んでくれ。そしてそのドキュメントに書いてあることしか出来ん。


実はRuby関係ない

そもそも頭の中にやりたいことが既に明確にある(例えばブラウザテストを充実させたいとか)わけだから、「Rubyでは」を付けなくてもそのことを共有して解決する方向で話を進めてくれたらそれで十分なのです。Rubyがどうとか関係ない。でも付けちゃう。

飲食における僕の場合と多分同じで、自分のコメントに説得力が欠けてると感じてしまっているんでしょうね。「出羽守」になったところで説得力が増すわけでは全然ないんですけどね。



出羽守に出会ったら

そういうことがなんとなくわかってきたので、コミュニケーションとして、

  • 実際にやりたいことはなんなのかを聞くようにする(Rubyがどうとかは流す)
  • 取り組みたいことをが明確になったらそれについて多少大げさに賛同する

ということをするようにしたら「出羽守症」はだいぶおさまりました。そもそも別にエンジニアとして知識や経験や実力が劣っているわけではなく、僕がたまたまPHPやLaravelについてよく知っているというだけのことなので、自信持って提案してもらえれば十分。

そういう意味では今回はとても良質な出羽守でした。あ、なんか上から目線でごめんなさい。解り合えた、解り合えるタイプの人だったということを書きたかったのです。


重度の出羽守の場合には

ただまあ世の中にはそういう人ばかりでもなく、コンプレックスを解消するために、つまり自己保身のために出羽守と化している人も多いんですよね。そういう人は出羽守であることや出してきた例を否定するとまるで自分が否定されたかのように神経質になる傾向があって、結構厄介。しかも「自分は」別に出来るわけじゃないってこともある。前の会社で仕事の出来る同僚がやっていただけで自分がやってたわけじゃないとかそういうの。

飲食の時の自分はそうではなかったと思いますが、もしそういうタイプの、つまり重度の出羽守に出くわした場合には「そうっすねー」といって話を流すしかないですかね。僕なんか「で、あなたはどうなの」って絶対言ってしまいそう。一緒に働きたくないなあ。向こうも嫌でしょうけども。


歳を取ると経験だけが増えて変わりたくない感情が芽生えがちで、出羽守にもなりやすい気がします。いつまでもそんな人にはならずにいたいなあ。