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フィジカルな雑誌の感触は何物にも代えがたい
始めにいっておきたいことは、ディスプレイの中で見る/読むNumberの記事と、実際に手に取って見る/読むNumberの記事とでは内容が同じでも受ける印象が違うということです。Web上の記事がどうしても画一的なデザインになって、「情報」という性質が極めて大きく感じられるのに対して、レイアウトされた雑誌の中で読む記事というのはシンプルに「読みもの」として楽しめるものになります。そこには楽しみとしての埋めることの出来ない決定的な差があります。そのことは今時点でも恐らく将来においても、厳然たる差として存在していくだろうと思うのですけど、それを理解した上で2024年からはフィジカルな雑誌を購入するのは止め、現在手元にあるバックナンバーも思い入れのあるものを除いて順次廃棄していくことにしました。
フィジカルな雑誌を購入するのを止める理由
大きくわけて次の3点が挙げられます。- 今現在でもだいぶスペースを圧迫しており、未来永劫増やし続けられるわけではないこと
- 定期購読を代行している富士山マガジンサービスの配送が遅すぎて、Number誌の意図したタイミングで情報を受け取れていないこと
- サブスクリプション「NumberPREMIER」がスタートしたこと
1. スペースが足りなくなる問題
レコード収納用の棚をNumber専用に割り当てて収納しているのですけど、用意した棚10個のうち8個までが既に埋まっています。以前はレコードを入れていたのを空けてそれです。このままだと1年から1年半ほどで全てが埋まることになり、新しく棚を買うか、収納場所を用意することになります。思い入れがある号がたくさんあるのは確かですけど、全てを置いておく必要があるのか?と思うと……うーん。別に読み返すこともないし、惰性で置いている感じは否めません。引っ越しを機に整理をすることもよぎりはしたのですが、量が多すぎて整理が付きませんでした。今やったら絶対引っ越しに間に合わない。どうせあんまり綺麗に読んでいないし(入浴中に読むことが多いから)中古で値段が付くようなものでも無いので、引っ越したあと、古いものから順番に廃棄していこうと思っています。
2. 富士山マガジンサービスがダメすぎる
これはもう何度か書いてきたので今さら紙幅を割くようなことはしませんけど、Number編集部がタイミングを計って出した号が台無しになるというようなことがしょっちゅう起きていて辟易ここに極まれりって感じです。実際にあった例をふまえて例えるなら競馬の日本ダービーを特集した号が、週末はさんだ日本ダービー翌日の月曜日に配達されるみたいな感じ(今年はたまたま1週前だったので間に合いましたけど)。優勝馬が全て決まって関係者のインタビューが全て出そろった月曜日の夜に、1番人気でダービーに挑む若手騎手の意気込み(そして彼は2着だった)を読むと、まあ正直白けますよね。コンビニで自分で買った方がはるかにいい。
郵便局が土日の配達を止めたり、運送会社の送料が上がったりして対応が難しいだろうとは思いますけど、いつ読んだって良いような本とは違いタイミングがシビアで賞味期限が短い雑誌の配本においてこりゃダメだろうと思うわけです。そんな富士マガジンサービスを使い続けている文藝春秋社にも責任はあると思いますが、これ以上は付き合いきれません。あんまりなめんなよ。
「Fujisan.co.jp」で定期購読しているSports Graphic Numberが届かなさすぎて解約を検討するレベル(Numberは悪くないんだけど)
3. 「NumberPREMIER」に期待することとは
さて最後にNumberのサブスクリプション「NumberPREMIER」とはなんぞや?ですが、PRにはこうあります。「NumberPREMIER」は、1980年創刊、日本唯一のスポーツ総合誌「Sports Graphic Number」に掲載された記事を、スマートフォン、PCなどで読めるサブスクリプション(定期購読)サービスです。
スポーツを贅沢に読むサブスク、「NumberPREMIER」オープン!|株式会社文藝春秋のプレスリリース
発売前重版のかかった3月30日発売の1070号「WBC永久保存版 日本野球、世界を制す」より、原則として最新号のすべての記事が読めるほか、2004年以降の過去記事アーカイブ7000本以上が読み放題です。旬なタイミングでアーカイブ記事を再編集する独自コンテンツ「Special Feature」や、アスリートや指導者が登場するオリジナルの動画も配信。Numberが主催するイベントの募集もサイト上でおこなっていきます。
また、雑誌「Number」と「NumberWeb」の2人の編集長によるコラムや、編集部おすすめの記事をピックアップしてお届けするメールマガジンもリニューアルし、今後ますます充実していきます。
簡単に言えば、電子版ですね。Kindleのような電子版というよりは、現在も一部NumberWebで有料配信されている掲載記事をより充実させて、NumberをNumberWeb上で展開していこうという試みのようです。まあぶっちゃけ、NumberWebは今でも読み切れないぐらいの膨大な記事量なのでこれ以上増やしてどうするのという気もしないでもないですが、NumberWebはニュースサイトという性質上、特集が打ち出しにくいので、その部分を「NumberPREMIER」で補うということは出来そうです。
心配なのは料金ですが、公式サイトによるとこうなっています。
月1,300円で年払いだと2ヶ月分無料になって13,000円。今の富士マガジンサービスでの定期購読が13,125円なので、それよりも安い。
しかも驚くのは、雑誌も付くプランがあってそれだと年間15,000円。NumberPREMIERベースでいうと2,000円でフィジカルな雑誌が読めるということになりますが、定期購読ベースでいうと年間1,875円、月156円余分に出すと全記事がWeb上でも読めるということにもなります。フィジカルな雑誌は購読を止めると言ってる僕にとっては検討対象にはなりませんけども、そういわれるとなんかお得ですよね。
果たしてこのサブスクリプションが上手く行くのか、これが出版社や編集部の苦境を救うのかどうなのか僕にはわかりませんけど、僕にとってはとても魅力的に映るので前向きに検討中です。
少し前に「サブスク契約してCD全部捨てたけどサブスクが終了してCD聞けなくなった」という話があって、好事家の皆さんがフィジカルなものの大切さを大いに語るというのを見掛けましたけど、今回に関していえば基本的に消費される前提である雑誌の話なので、仮にサブスクが失敗に終わってサービス終了となっても特にダメージはありません。まあサービスが終わるってことはNumberが休刊ということとほぼ同義なので、今までありがとうございましたということかなあ。それはそれでうん、仕方ないんじゃないでしょうか。