まさかの全車種不適合と何が問題だったか?の話【京の洛スク】

電動アシスト自転車で坂道を登るお父さんのイラスト
先日お伝えした「京の洛スク」(株式会社TheNeO)の電動アシスト自転車の件で、国民生活センターと京都府警から注意喚起が出てました






報道はこちら

国民生活センターによりますと、「京の洛スク」のブランドで販売した「SYLPHIDE700C」と「GRAN BATTEMENT」の2種類の自転車が電動モーターによるアシスト力が道路交通法上の上限を大きく超え、基準に適合していませんでした。

スピード出過ぎる電動アシスト自転車“基準外”に注意喚起 国民生活センター

国民生活センターが電動アシスト自転車の10車種について、法律の基準を上回るアシスト力があり、事故を招くおそれがあるとして、使用を控えるよう呼びかけました。

国民生活センターが注意を呼びかけているのは、京都市の自転車販売店「京の洛スク」が販売する電動アシスト自転車、10車種です。

基準上回るアシスト力…「京の洛スク」10車種に対し国民生活センターが注意呼びかけ | TBS NEWS DIG (1ページ)


ちょっと車種の数で報道が食い違っていますが、国民生活センターの記事を参照するとこうなっていました。


これを踏まえ、警察庁から、当該事業者が販売していた車両のうち、2銘柄が京都府警察本部等における捜査の過程で、道路交通法の基準に適合せず、原動機付自転車に該当することが判明していることに加え、他の8銘柄についても警察官が確認した結果、道路交通法上の基準に適合せず、原動機付自転車に該当するおそれがあるとの連絡がありました。

 なお、8銘柄のうち、2銘柄については購入した消費者から消費生活センターを通じて、「使用している電動アシスト自転車が公道を走れるものなのか不安を感じる。アシスト比率に問題がないか調べてほしい。」というテスト依頼が続けて寄せられました。

「電動アシスト自転車」と称し販売された製品でも、道路交通法の基準に適合しない場合は道路の通行をやめましょう!-まずは、お持ちの銘柄を確認しましょう!-(発表情報)_国民生活センター


京都府警の検査では10車種全てが基準不適合判断され、国民生活センターでは4車種が不適合であると確認したということのようです。



元々の問題は「自走機能」だったはずなんですけど

京都府警での記載はこうなっています。


京都府警察では、道路交通法の基準を超えた電動アシスト自転車販売業者を摘発しました。この業者が電動アシスト自転車として販売していた商品は、道路交通法で定められている電動アシスト自転車の基準を大きく上回っており、さらに、手元のスイッチを押すことで自走する機能があることを確認しています。

京都府警察/道路交通法の基準を超えた電動アシスト自転車に注意!!


この時点では2車種が対象だったのですが、先に書いたとおり問題があった車種は10車種となって特定車種の自走機能どころではなくなりました。つまり全10車種において道路交通法の基準に適合していなかったということみたいですね。えええ、全然ダメじゃん。マジか。スピード感を重視するスポーツタイプの話だけかと思ったら、子供を乗せて走るママチャリタイプでも法律守ってなかったのかよ。やべえな。



ちなみに:僕がいた頃は

僕が「京の洛スク」こと株式会社TheNeOにアルバイトとして在籍していたのは、2014/11/17から2016/5/20までのおよそ1年半の間です。ハローワークの紹介だったかな。仕事内容はWebデザイナー、プログラマ、グラフィックデザイナーにまたがる「Webのお仕事全般」で時給は1,000円でした。正直言ってものすごい買いたたれ方してますが、まあ当時のメインの仕事は居酒屋で昼の空き時間に副業として5時間ぐらい働いていただけなので、アホみたいに安い時給でもそんなに気にしてませんでした。


で、これは京都府警の事情聴取でも喋ったのですけど、電動アシスト自転車とは何かをまったく知らずに入った僕に対して「電動アシスト自転車は電動自転車と違う。法律で決まった範囲でアシストを制御しなければならない」といったようなことを当時よく言われていました。降りてくる指示もそれに合わせたものでしたし、用意されたイラストやテキストも商品がその基準を満たしている前提で作成されていました。つまり、少なくとも当時は遵法精神はあったということだと思うのです。



どこが問題だった?

京都府警に摘発された直接的な理由は「自走機能が付いていると知って電動アシスト自転車を販売し、自走機能が付いている電動自転車は公道では走行出来ないにもかかわらず「通勤に便利」などと購入者を欺く記述をしていたこと」でした。それに関しては社長も認めているようですしはっきり意図的だったと言えると思うのですけど、全車種そうだったかというとどうかな。例えばママチャリでアシスト力を多少強力にしたところでメリットがあるとも思えないんですよね。お母さんたちは30km/hみたいなスピードが欲しいわけじゃないですし。


全商品中国の現地工場で設計・製造されたものを輸入して販売していたわけですから、「輸入した電動自転車のコンピュータがあるときから基準に適合しなくなった」と考えるのが自然です。本来であれば京の洛スクがその確認を行い品質を担保して販売することになるわけですけど、それをやってなかったんでしょうね。今や確認のしようがありませんが、場合によっては最初から適合していなかったのかも知れません。

つまり販売している製品に問題がないことを確認していなかった、その体制が一番の問題だったと言えると思います。ダメでしょ。


……ただ、ここまで考えて思うのは、実質的にただの輸入販売店であった京の洛スクが販売店として「販売している製品の品質に対して販売店が責任を持つ必要はあるのか?」ということです。京の洛スクの場合は「当社の製品」と言い張っちゃってるので申し開きは苦しいですけど、一般論としては製品の品質に対して責任を持つのは製造元だと思うんですよね。。



この話続きます。