オンラインで買えるうなぎパイは「うなぎパイミニ」だけ
うなぎパイは浜松市にある「有限会社春華堂」さんが製造・販売していますが(もしかすると販売は「株式会社うなぎパイ本舗」さんかもしれないけど)、オンラインで買えるうなぎパイはオンライン専用の「うなぎパイミニ」だけです。1961年9月に浜名湖特産のうなぎをヒントに誕生した「浜名湖名産・夜のお菓子 うなぎパイ」。 その後、「うなぎパイ ナッツ入り」「真夜中のお菓子 うなぎパイV.S.O.P」とうなぎパイシリーズが発売され、 1993年1月より手軽にお買い求めいただけるようにと「うなぎパイミニ」が誕生しました。
うなぎパイミニ アニバーサリー|ギフト|春華堂オンラインショップ(しゅんかどう)|静岡 浜松スイーツ・和洋菓子のお取り寄せ
他にもうなぎ系のお菓子や洋菓子はあるんですけどうなぎパイはこれだけ。でもある程度の人数の人対象に差し入れとなるとこれでは足りないんですよね……静岡駅などお土産屋さんにあるボックス入りのうなぎパイ(レギュラーもしくはVSOP)が欲しいんですけど、それはオンラインでは販売してません。Amazonや楽天で検索すると高値で転売してる人がたくさん見つかりますが、それを買って贈り物にするのはさすがにあかんだろという。
(なのでアフィリエイトは貼りません)
というわけで実家から送ってもらいました
「別にうなぎパイじゃなくても良いじゃん」とも一瞬思いましたが、せっかくなのでということで実家に電話して母親に依頼。聞いたところ、北海道の友達からも「送って」と言われるそうでやっぱりそういう需要ってあるんだなー。静岡人にとってはいつもそこにあるものなので気付かなかったけど(もっとも僕はもう静岡人とは言えないと思いますが)、静岡以外の人にとっては特別感あるものなんですね。そしてそれはきっと「オンラインで販売していない」ということも寄与してるんでしょうね。ざっくり言えばブランディングですけど、特別感を維持することでいつまでもお土産としての価値を維持出来るというかね。
「ブランド価値を維持する」
先日ITmediaビジネスにて、「乃が美」と「いきなり!ステーキ」の話を窪田順生さんが書かれていました。「贅沢(ぜいたく)品」を扱っている有名店がそろって“泥沼”にハマっている。
「乃が美」と「いきなり!ステーキ」の共通点は何か 両社がハマった沼:スピン経済の歩き方(1/5 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン
まず、2斤972円という「高級生食パン」で知られる「乃が美」のフランチャイズ加盟店の多くが赤字に陥って閉店が相次いでいると、『週刊文春』が報じている。(参照リンク)
さらに、ステーキを立ち食いスタイルで提供している「いきなり!ステーキ」も業績が悪化して130店舗を閉店したが、まだ苦しい戦いが続いているという。
苦戦している理由について窪田さんは、
このように聞くと、「フランチャイズ展開してるんだから全国制覇を目指して当然だろ」と感じるかもしれないが、贅沢品を扱う店がこれをやってしまうのは自殺行為だと言わざるを得ない。
「乃が美」と「いきなり!ステーキ」の共通点は何か 両社がハマった沼:スピン経済の歩き方(1/5 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン
「ブランド価値」がただ下がりになってしまうからだ。
と書かれていて「あーーー」となりました。そりゃそうですよね。
何年も前の話ですが、「乃が美」っていう高級パン屋があるって話題になり始めた頃、廊下で偶然お会いしたお隣さんになぜか乃が美の食パンをいただきました。戸惑いながらいただいてあとで最近話題になっているということを知ったのですけど(滅多にお会いしないのでそのままお返し出来てません……ごめんなさい)、要するにそういうことです。当時、お持たせになるぐらいにブランド価値が高かったんです。
しかしその後「全国制覇」することで「買いに行ける高級パン」になってしまったことで、その価値はなくなりました。今お隣さんにいただいても「ああ、乃が美」っていうだけで贈る方も受け取る方も特に何のリアクションも取れないでしょう。そうなると知名度は上がるけど売り上げは落ちますよね……そりゃそうだ。
見習うべきは「さわやか」と「551」
「さわやか」は今やかなり有名になってしまった静岡県にあるハンバーグレストランのチェーンです。満足度が非常に高いハンバーグを出すことで有名で、僕も子供の頃父親に連れて行ってもらったことがあります。昔はそんなに店舗数が多くなく「わざわざ食べに行く」という感じのレストランでしたが、最近は店舗数も増えて気軽に食べに行けるようになりました。ただ会社の方針として「出店は静岡県内に限る」としていて関東にすら進出していません。そのため静岡県民にとっては「身近に利用出来る美味しいハンバーグレストラン」であり続け、県外の人にとっては「これがかの有名なさわやかのハンバーグ」という存在であり続けています。現社長は会社の体制が整えば県外への進出を検討する可能性は否定しないということを以前述べておられましたが、といって県外に進出する計画があるという話でもなく、このブランディングはまだしばらく続くのでしょう。
人気が高く、長い入店の待ち時間が生じている状況について問われると、「新規出店では客を分散できない。予約制を導入したとしても、すぐに埋まってしまうために難しい」と答えた。県外出店の可能性には「若い社員が店長になる機会を増やすためにあるかもしれないが、いつとは言えない」と語った。
客との意思疎通重視 炭焼きレストランさわやか 富田社長が講義|あなたの静岡新聞
関西限定の有名ブランドと言えば「ある時」でお馴染みの中華まん「551蓬莱」です。これも関西圏にしか販売店がなく関西圏以外では購入することが出来ません。そのため関西圏の各駅では「551」をお土産にしたい人たちが販売店に長蛇の列です。僕も実家に帰省する際に妹へのお土産として購入したことがありましたが、30分ぐらい並んだかな?僕の注文数は至って控えめでしたけど、まわりの注文を聞いてると20個30個はざらで、君たちそんなにたくさんどうすんの?
しかしこれもうなぎパイと同様に「ここでしか買えない」という希少価値を大事にした結果の人気でしょうし、もし仮に東京駅とか新横浜駅とかに進出していった場合、表面的な売上高は伸びるんでしょうけど相対的にお土産としてのブランド価値は下がって、将来的には売り上げを損なうことになるんでしょう。お土産ってそういうもんだろといわれればそうですが、でも「551」はそもそもお土産として企画されたものでは無いですからね。結果的にそうなってしまっているだけで。
地元関西以外には 出店しません。 おいしさの質が保てる範囲を 大事にします。
ブランドストーリー|会社情報|551HORAI 蓬莱 大阪名物の豚まん[肉まん]
鮮度の高い食材をセントラルキッチン(自社工場)から各店に1日2~4回配送しています。特に重要なのがネタ(皮の生地)の発酵状態です。最適な発酵状態のネタを届けるため、セントラルキッチンから150分圏内にしか店舗はありません。物流時間を通じて適度に発酵し、独特の甘味ある、モチモチの皮に成長します。
ブランディングって大事なんですね。改めて思いました。