3週連続で世界最多
WHO=世界保健機関は10日、今月7日までの1週間の新型コロナウイルスの新規感染者数をまとめ、日本は149万人あまりと3週連続で世界で最も多くなりました。
新型コロナ新規感染者数 日本が3週連続世界最多 WHO発表 | NHK | 新型コロナウイルス
(中略)
それによりますと今月1日から7日までの1週間の新規感染者数は、世界全体で698万516人と前の週より3%増加しました。
このうち、日本は、149万6968人と、前の週と比べて9%増え、世界全体の新規感染者数のおよそ2割を占め、3週連続で世界で最も多くなりました。
(中略)
WHOは、一部の国では検査の方針の変更に伴って検査数自体が減少していることから、実際の感染者数や死者数はさらに多い可能性もあるとしています。
というわけで世界で発表される新規感染者数のおよそ2割が日本での新規感染者らしいです。人口比で言うと日本の人口はせいぜい1.6%程度ですからこの割合は非常に高いのですが、世界で新たに感染している人の2割が日本で感染しているかどうかというと、、なかなかそうも言えなさそうです。
例えばイギリスでは
イギリスのボリス・ジョンソン首相は21日、イングランドで新型コロナウイルス対策のすべての法的規制を撤廃すると発表した。隔離措置は今月24日に廃止し、無料の大規模検査も4月1日から取りやめるとした。
英イングランド、コロナ規制を全廃へ 隔離措置は24日に廃止 – BBCニュース
(中略)
2月21日からは、ほとんどの教育・保育現場において、職員および生徒に対する週2回の無症状検査の実施の指導を取りやめる。
2月24日からは、新型ウイルス陽性と判定された人は、法的に自主隔離する必要がなくなる。ただし、少なくとも丸5日間は自宅待機し、他人との接触を避けるよう勧告される。定期的な接触者追跡は終了し、ワクチン接種済みの濃厚接触者と18歳未満に7日間毎日ウイルス検査を求める法的義務も廃止される。
陽性判定を受けた低所得者に対する、500ポンドの自主隔離支援金は支給されなくなる。法定疾病給付金はさらに1カ月間適用される。
4月1日からは、一般市民を対象とした無料の大規模症状検査は終了となるが、新型ウイルスの影響を最も受けやすい人を対象とした検査は行われる。有症状の人は個人の責任において自宅待機を求められる。COVIDパスポートに関する政府の現行のガイダンスは終了し、施設側にパスの運用を推奨することもなくなる。
症状がある人に対する検査はなくなりませんが、陽性と判定されただけでは自主隔離する必要がなくなります。濃厚接触者は検査を受ける必要も隔離される必要もありません。PCR検査などの検査の規模を縮小しながら症状がある人に対してだけ対策を行うという感じの方針です。必然的に新規感染者数の報告は減りますよね。
アメリカでは
米国疾病予防管理センター(CDC)は2021年12月27日、無症状の新型コロナウイルス感染者に対する自己隔離の推奨日数を、現行の10日から5日間に短縮すると発表した。なお、5日間への短縮は、自己隔離終了の翌日から5日間、人がいる場所ではマスクを着用し続けることが条件となっている。
米CDC、無症状の新型コロナ感染者の自己隔離推奨期間を10日から5日間に半減(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ
また、濃厚接触者に関しては、(1)ワクチン未接種の者、(2)mRNA型ワクチンの接種完了(注)から6カ月以上経過し、追加接種(ブースターショット)未接種の者、(3)ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種から2カ月以上が経過し、追加接種未接種の者に対して、5日間の自己隔離と自己隔離終了の翌日から5日間のマスク着用が推奨されている。ただし、5日間の自己隔離が不可能な場合には、新型コロナウイルス感染者と接触があった日の翌日から10日間、周囲に人がいる際にはフィット性の高いマスクを着用することが必須になる。なお、追加接種が完了している濃厚接触者は自己隔離の必要はないが、10日間はマスクを着用することが勧められている。上記いずれの場合も、濃厚接触から5日後に感染検査を受けることが最善で、症状が出た場合にはすぐに自己隔離し、検査で
アメリカでは無症状の濃厚接触者は隔離する必要はなく、マスクの着用が求められているのみです(重症化リスクがある人は5日目以降にPCR検査を受けることが勧められている)。陽性になった場合も無症状であれば5日間の隔離で済み、感染拡大防止は「フィット性の高いマスク」の着用で行われているようです。それ日本人が今もみんなやってるやつや……。
スポーツの現場では以前行われていたような「バブル化」(関係者のみが立ち入り出来る場所を作ってウィルスの侵入を防ぐ)や「スクリーニング検査」(全関係者を対象に定期的かつ短いスパンでのPCR検査を継続的に行って感染拡大を最小限にする)は行われなくなってきていて、症状を訴えた陽性感染者のみを隔離し無症状であれば必要な感染拡大措置(マスク着用など)を講じた上で競技への参加を認める形になってきています。もうあんまり感染自体にフォーカスしなくなってきてるんですよね。
つまり:他国との比較はもうあんまり意味がない
NHKの別の記事でも東京医科大学の濱田篤郎特任教授がこんなことを言ってました。濱田特任教授も「ワクチンや感染による免疫の効果、季節的な要因などで現在、世界的に感染者数が減っているというのは傾向としては言える。ただ、各国で検査戦略が見直される中、もはや感染者の絶対数を把握しようとしていない国もある。国別で感染者数を比較することの意味は無くなりつつあり、各国の感染者数は増加や減少などのトレンドを国ごとに把握するという意味で見るべきだ」と話しています。
コロナ感染者数 世界中で減少傾向 要因は “検査数減”指摘も|NHK
日本の新規感染者数が増えているということは、日本国内で感染が拡大しているということの証明にはなります。でもそのことが他国(例えばアメリカ)と比較してより拡大しているかどうかと言うと、それはわかりません。実際に死者数で見て日本よりアメリカの方が多いわけで(これももちろん日本とアメリカの医療事情は異なるので単純に比較は出来ません)、どちらがどうかというとよくわからない状況ではあります。
また、同じ期間の日本の1週間の死者の数は1002人と、前の週と比べて53%増え、アメリカやブラジル、イタリアに次いで世界で4番目に多くなっています。
新型コロナ新規感染者数 日本が3週連続世界最多 WHO発表 | NHK | 新型コロナウイルス
もちろんいずれも「日本で感染が拡大している」という事実を否定するものではありませんし必要な対策を取る必要はあると思いますが、ワクチンのおかげなのか変異のおかげなのか結果的に弱毒化しているように見えますし、新規感染者数の増大を理由に過剰に恐れることにはもうあまり意味はないのかなと。日本での新規感染者数の増大も8月上旬でピークアウトしたようにも見えますし、日本でも徐々に無症状の陽性者や濃厚接触者に対する規制を見直していく必要があるんじゃないのかなと僕も思い始めています。
いや、アメリカやイギリスのようにやれとまでは思いませんけどね。ものすごい数の死者を出して国民の感染させてむりやり免疫を付けさせたアメリカやブラジルが正しいとは全く思いません。同じように今でも厳しい規制を敷いて「ゼロコロナ」を目標にする中国もそれはそれでどうなのか。日本には日本なりの合理的なソフトランディングが可能だと思いますし、政府にはその辺り上手く舵を取って欲しいなと思うばかりです。
国民だけでやれるならこっちで勝手にやれるけど、どうしても制度的な問題もあって政府にも参加してもらう必要があるからなあ。
物価高にもかかわらず徐々に景気が良くなってきているところなのでね……なんとか水を差さずにコントロールして欲しいですね。