新型コロナウイルスの感染拡大で一変した地方在住Webエンジニアの転職環境(後編)

オンライン打ち合わせのイラスト
紆余曲折あって行うことになった2021年の転職活動は、時代の変化を強く感じるものでした(「前編」からの続き)。






新型コロナウイルスの感染拡大で変わったこと

ビデオ会議のイラスト



というわけでようやく本題です。新型コロナウイルスの感染拡大で変わったことは次の3つです。


  1. リモートワークを前提とする企業が増えたため応募範囲を関西に限定する必要がなくなり、東京の案件に自由に応募できるようになった
  2. リアル店舗の売り上げが下がる一方でECサイトやWebサービスの需要が高まり、案件数が増えた
  3. リモートワークを前提とすることで働き方に変化がおきて「週3日」「週4日」という働き方が許容されるようになってきた


1. リモートワークを前提とする企業が増えたため応募範囲を関西に限定する必要がなくなり、東京の案件に自由に応募できるようになった

生鮮食品のオンライン商談のイラスト


最初に案件を探し始めたときに強く感じたのがこれです。これまでの転職活動では京都で魅力的な案件が見つかるなんてことはまずなく、良くて大阪、条件面から探すと軒並み東京という感じでした。地方でWebエンジニアの仕事を探したところで求人なんか無かったんです。会社そのものがありませんからね。

ところが新型コロナウイルスの影響でリモートワークを前提とする企業が増え、正社員もリモートワークだし会議もリモート場合によっては営業もリモートなんだし、契約社員もフリーランスもリモートワークでいいじゃん、ちゃんとコミュニケーション取れれば回るでしょという感じに意識が変わって行った結果、常駐を求められる案件が極端に減りました。2019年頃の資料では常駐の案件が全体の8割ぐらいと書かれていたんですけど、今は全然そんなこと無いです。

おかげで東京の企業の案件にも割と気楽に応募できるようになり、チャンスが広がりました。今まで契約した2社は2社とも東京の企業です。2社はどちらかというとベンチャー的なポジションの企業ですが面談した中にはそれなりの規模の企業もありましたし(結果が出る前に他でOKをいただいたので断り)、この影響はかなり広い範囲に広がっているようです。地方のフリーランスにとっては有り難いことこの上なし。


2. リアル店舗の売り上げが下がる一方でECサイトやWebサービスの需要が高まり、案件数が増えた

ネットショップのイラスト


あくまで体感ベースでしかありませんが、2020年より2021年、2021年春よりも2021年夏のほうが案件数は明らかに増えています。2020年あたりでは希望の条件に当てはまる案件は決まっていて、それに全て応募した上で担当者が紹介してくれる案件や、先方からのお声がけを待つといったスタイルでしたが、2021年夏は希望条件に当てはまる案件に応募しきる前にお声がけいただき面談が決まるということが続出しまして、環境がまったく変わっていることを実感しました。

Webエンジニアの需要が高まった結果、人手不足になり半端な待遇では応募がないという話を聞くこともありますし実際にそういうことなんでしょう。出歩けなくて店舗に行けなくてもECサイトならお互いに売り買いできますしね。

前職の給与(それも交渉して渋々上げてもらった)と比べて今の僕の報酬は時給換算で倍以上になってるんですけど、その辺りもそうした需要の高まりの影響を受けたものなのかも知れません。前職の会社は以前の僕の待遇の1.5倍ぐらいの待遇で僕がやっていたような仕事(プロジェクトマネージャ兼リードエンジニア)を募集していますが、ただのエンジニアである僕の報酬がこの水準なんだからその待遇では人は来ないんじゃないかなあ。せめて今の僕の報酬の1.5倍、つまり以前の僕の給与の3倍ぐらい払わないとちゃんとした人は来てくれないんじゃないでしょうか。知らんけど。


3. リモートワークを前提とすることで働き方に変化がおきて「週3日」「週4日」という働き方が許容されるようになってきた

ノマドワーカーのイラスト


これも2019年頃の資料では「週5日の募集が圧倒的に多い」と書かれていました。フリーランスとは言ってもエージェントを通したときのWebエンジニアの仕事というのは基本的に「週5日常駐」であり、肩書きが正社員から契約社員に変わっただけの存在というのがかつての姿であり、フリーランスとはほど遠いものでした。

それが2021年になって変わってきました。リモートワークの影響だろうと僕は思っているのですが、「週3日」「週4日」でOKという案件がものすごく増えています。人手不足の影響なのか「週2日以上」といった感じで幅を取って募集して、週5日の人が来てくれたらその人を優遇しつつ、スキルさえ十分なら「週3日」でも働いて欲しいみたいな感じ。今僕が働いている会社もそんな感じで、飲食の仕事の先行きが見えず「週3日」で契約しているものの僕と会社の状況が一致すれば「週4日」以上の契約に切り替えましょうという話はしていて、実際12月からそうなる予定です(開始日は未定)。

企業としては週5日きちんと働いてもらった方が進捗が読めて管理しやすいんだろうなとは思うんですけど、働く方としては「週3日」「週4日」というのは本当に有り難い。しかも今の会社は、正社員は勤務時間が決まってるけどフリーランスはほぼフレックス(コアタイムが10時-16時ぐらいにやんわり決まってる感じ)で稼働日も自由に決められる環境で最高。稼働日の都合で1週間スプリントのミーティングに参加出来ないんですけど、それも代替手段用意してくれてて強制されることは一切無いという。こっちとしてもそこまでしてもらえるならモチベーション上がりますよね。



まとめ

Webエンジニアの環境は社会情勢の変化に応じて今後もどんどん変わって行くだろうとは思いますが、2021年末現在はフリーランスにとって非常に働きやすい環境になりつつあります。

僕が利用しているクラウドテックやレバテックのようなサービスは、間に彼らが入ることで企業のコストを増やしており、結果的にWebエンジニアの報酬が低く抑えられているとも言えるのかも知れませんが、僕が自分に有利な条件で契約できているのは彼らの持つネットワークや交渉スキルがあるからこそであり、これが報酬額アップを目指し全部自分で切り拓いていくぞってなったとして彼ら抜きで上手くやれるか?というと、うーん。自信ありません。個人的にはプロ野球選手と代理人のような関係だと割り切って、本来受け取るべき報酬の何割かを代理人に渡して面倒なことを引き受けてもらっているぐらいの意識です。そうしたサービスがきちんと機能するようになったことも個人的には大きなトピックでした。


今後も契約の延長または新規契約の獲得を続けられるようにスキルアップを続けつつ、いつか辞めるであろうその日まで(将来は自分の飲食店を開きたいと考えているし、エンジニアの仕事はその経営が軌道に乗るまで)頑張って働こうと思います。焚き付けるわけじゃないけど、正社員としての働き方に悩んでる人にとってはフリーランスというのも1つの選択肢じゃないかと思いますよ。そこから正社員に戻る人もいますしね。ホントに良い時代になっていると思います。ええ。