良かれと思って電動アシスト自転車を両親に勧めたけど、、な話

父親は70歳を超えた今でも現役で仕事をしていて仕事の都合で毎日車によく乗っています。先日帰省した際に確認したところ今でも運転技術に問題がなく(多分僕より断然上手い)、かつ判断力低下を自覚して慎重に運転しているようなのでまだ大丈夫かなと思っているのですけど、それでも数年のうちには車に乗らなくなる日は来ます。50年近く毎日車で移動していた人がいきなり徒歩で動くのは大変だと思うので、せめて電動アシスト自転車を利用したら?と勧めたのですが、あれってそういう用途のための乗り物じゃなかったんですね






母「電動アシスト自転車って凄い怖いのよ」

「筋力が衰えた高齢者でもアシストしてもらって楽に走れる」 ―― そんな風に気楽に考えていたのですけど、高齢者の感覚としてはそうではなく「自らの意思とは無関係に加速して高速に走り出してしまう乗り物」、それが電動アシスト自転車というものに対する認識のようでした。

それは「乗らず嫌い」ということではなくて、実際に身の回りに子供たちが心配して電動アシスト自転車を買ってあげたけど、スピードが出すぎて怖くて乗るのを止めたり事故を起こしたりという友人が何人もいるそう。確かに……電動アシスト自転車はざっくり言えば「時速24kmまで加速する自転車」であり、時速24kmというのは普通自転車としてはかなりの高速です。ただでさえ判断力や反射神経が低下している高齢者がそんな自転車に乗ったらそりゃあ怖いでしょうね。

アシスト機能の付いていない自転車をゆっくり漕いでいる高齢者を見て「大変そうだな」「かわいそうだな」と思っていたんですけど、あれが高齢者の身体能力に合っていたんだと。自分の能力の範囲内にスピードを制御できるし、自転車本体も軽いし。



実際に事故は増えているという記事も

Facebookでフォローしている静岡新聞にもこんな記事がありました。


新型コロナウイルス下で密を避けて移動したり、アウトドアを楽しんだりする人の増加を背景に、普及が進む「電動アシスト自転車」。静岡県内でもシニアや子育て世代、通勤通学者など幅広い層に利用が広がる一方で、同自転車による交通事故が急増している。

(中略)

電動アシスト自転車の事故では、急加速で速度が出たまま交差点に進入し、出合い頭事故を起こす例が多い。21年の死者は6人(前年比5人増)で、いずれも高齢者。坂道や交差点で補助機能や速度を制御できず、事故に遭ったとみられる。

基準外「アシスト自転車」注意を 普及進み事故急増 知らずに道交法違反も|あなたの静岡新聞


若くて反射神経がしっかりしていれば、急加速してしまっても即座にブレーキを掛けられるのでしょうけど、高齢者となるとなかなか難しいこともあるでしょう。車でコンビニに突っ込んでしまうのと同じ。とっさのブレーキがなかなか出来ない。



より速く走るための機械

電動アシスト自転車の方でも、発進時の加速を緩やかにするとか、最高時速を時速15km程度に抑えるとか、そういった高齢者対応モードみたいなのを用意してくれたら良いんじゃないのと思うんですけど、一般的に「楽にスピードを出せる方が良い」と思われているだろうしなかなかね。最大手パナソニックの機能を見てみましたが「より速くするモード」はあっても「よりゆっくりするモード」ってのはないみたいです。


エコナビ|特長アイコン一覧(電動アシスト自転車)|電動アシスト自転車/自転車|Panasonic


つまり電動アシスト自転車ってのは高齢者向けに用意された製品じゃないんですね。そうかー。そうだったか。



解決策は今のところ「電動カート」なのだけど

たまに街で見るこれがいまの「社会的な解決策」なのかなと思うんですが、






でもこれだといかにも高齢者な感じがしてそれはそれで抵抗あると思うんですよね。時速6kmは安全だけどつまり徒歩と変わらない、歩行が困難な人が乗る乗りものでちょっと遠くにというときに乗るものじゃありませんからね。

そう考えるとアシスト機能のない普通の自転車で、バランスを考えて三輪車ってのがベストかなあ。こんな感じのヤツね。







場所は取るものの荷物もたくさん積めて便利そう。ただこれに父親が喜んでまたがるかというと……うーん。想像できねえなあ。車を失って出不精になる前になにかいい移動手段を用意して上げたいと思っているんですけどね。なかなか難しい。みなさんどうされてるんでしょう?