準委任契約で働いているエンジニアは勝手に契約外の業務を引き受けてはいけない

プログラミングをする人のイラスト(男性)
最近ずっとフリーランス(という名の準委任契約)で働くときの働き方について少し整理してるんですけど、最近クライアントで横行しつつある「それ誰の仕事なん」的な作業をガン無視してる自分がほんとに正しいのか補強するために調べてみた結果がこれです。やらなくていいんじゃなくて「引き受けてはいけない」



準委任契約の特徴

色んな契約があると思うので詳細は個別でということにはなるんですけど、一般的なエンジニアの準委任契約の場合次のような特徴があります。


  • エンジニアが契約しているのは業務を依頼した会社(委託会社)ではなく業務を受託した会社(受託会社)
  • 委託会社と受託会社との契約に基づき、受託会社に依頼された事務作業を行う
  • 完成品の納品義務はない
  • 指揮命令者は委託会社ではなく受託会社


……わかりにくいですね。

働き方としては派遣と似た部分もあるんですけど、身分が派遣先の準社員になる派遣とは違って準委任契約の場合は派遣元のままです。また業務内容や進め方などについて、委託会社(クライアント)から指示されることはなく、受託会社と結んだ契約に基づいて受託会社の指示で作業を行うことになります。


わかりやすい図があったのでお借りしました。





(引用:【かんたん図解】請負って何?業務委託・派遣・受託…どんなとき、どれを選べばいいの? | d's JOURNAL(dsj)- 採用で組織をデザインする | 採用テクニック



契約外の業務を引き受けるとどうなるの?

委託会社の人間からの「技術に明るい人についでにこれやってもらいたい」的なリクエストって割とカジュアルに起こると思うんですけど、これに応じることは自分がしている受託会社との契約に反することになるわけですね。ただ報酬の話で終われば良いですけど、ひどい場合には「偽装請負」という状態になります。


勝手に契約外の仕事を請けてはいけない
これが、請負・準委任問わずで、客先常駐での立ち回りにおいて、最も重要な事。 請負であれば契約で作るものは決まっている。準委任であれば、単価分の作業量をやれば終わりである。 それ以上の作業を受けてしまうと、追加の売上が発生しない限りは作業分、自社に損失が発生してしまう。清算条件の良し悪しやサービスとして行うかどうかの判断が必要になるが、通常はまず自社に確認すべき事案だろう。 ファールボールを取りに行くかどうかの判断に近い。楽にアウトひとつ取れるのか、逆に取れるけど取らないのか、はたまた怪我の危険があっても取りに行くのか。

SES契約での客先常駐時はこう立ち回れ! ってのを書いてみた。 | BAMV合同会社


委託会社から契約で定められた業務内容と異なる業務依頼を受けた場合には、それを受ける前に受託会社に相談する必要があるということです。その相談は「依頼を受けて良いかどうか」といことよりも「契約外の業務を求められているので断って欲しい」ということになろうかと。それで業務を受けて欲しいということになれば契約の変更が必要だし、場合によっては報酬の変更も必要になるでしょう。



実際に起きていること

社員や長く契約していたっぽいエンジニアがやっていた「非エンジニアの開発環境を整える」だとか「非エンジニアの本番環境やstaging環境へのデプロイを手伝う」だとかそんな感じの依頼がSlack上で飛び交っています。気付いた誰かが手伝っているみたいですけど、申し訳ないけれど僕は手伝う気がまったくありません。上記の通りそれは僕の業務ではなく、それを手伝って生じたコストを払う義務が誰にもないので、下手に手伝うと色んな人に迷惑を掛けるわけです。


自社リーダーすっ飛ばした作業指示は受けるな。
自社のリーダーの頭越しに発注者からの作業指示を受けるのはとてもマズイ。リーダーをすっ飛ばされる事により、自社リーダーもメンバーの作業見積もりができなくなり、メンバーがどんな作業を抱えているのかがわからなくなってしまうし、助けることもできなくなってしまう。納期に追われて直接作業者に指示したくなる発注側のSEも多いが、そいつは法律もしくは契約がわかっていない。法的な根拠があるのだから、それを盾に断る必要がある。 請負であれ、準委任であれ、客に言われたからと全て『やります』と返答している人はマジで考えたほうがいい。 フォローに入る周りのメンバーまで巻き込まれてしまう。

SES契約での客先常駐時はこう立ち回れ! ってのを書いてみた。 | BAMV合同会社


何度か書いてきた上流工程より上の部分にどこまで踏み込むべきかという話も、それが開発に関することであれば「善管注意義務」(リスクに気付いているときにその回避を進言すること……みたいな感じ)を考慮し踏み込むべき点は少なからずあろうかと思うのですけど、企業戦略だのシステム要件だのといったプロセスに関してはあからさまに契約外なので手伝うことが出来ないんですね。人事担当は多分そういうのわかってるはずなんですけど、現場の人間はあんまりわかってなくて、よかれと思って業務を拡大してくるという……それダメなのよ。



何か言われたら断るけどそれまでは沈黙の方向で

他にやってくれる人がかろうじているっぽいのでその人が在籍してる限りはその人に全面的にお任せで。たぶんその人も準委任契約だと思うし僕と同じような契約だと思うんですけど、まあそれはその人の責任の範囲で引き受けてることだろうから僕は知らん。


てか人員の補充ないのかなあ。エンジニアはどこも人手不足らしいし、コスト上がってるのかしら。もちろんそれもまた僕のあずかり知るところではないですし、ひたすら自分の義務を果たすのみなんですけども、補充なくて同僚が働きすぎて心身壊しでもして辞めたら、確実にこちらにしわ寄せが来るのでねえ。なんとかならんか。