【レビュー】最近読んだ本をざっくり紹介してみる(2021年9月)

読書感想文のイラスト
8月に引き続いて9月も「読書感想文」まとめというのをやってみました。必ずしも9月に読んだ本のピックアップというわけではありませんが、「しっかりとした感想を書こう」と思いながら放って置いた本もこの短文形式なら紹介出来る気がして取り上げてみました。しかしこうしてみると僕、かなりの数の京都本読んでますね。どんだけ京都好きなのよ。






書籍一覧

板谷 敏彦 / 日本人のための第一次世界大戦史 世界はなぜ戦争に突入したのか



はっきり言って日本人にとっての第一次世界大戦ってものすごく影が薄いと思うんですよね。近代・現代史で勉強するときも一番のクライマックスはどうしても第二次世界大戦であり、第一次世界大戦はその前振りぐらいの立ち位置。日清戦争があり、日露戦争があって調子づいた日本が第一次世界大戦にちょろっと噛んでますます調子に乗り、第二次世界大戦で痛い目に遭った。大体そんなストーリーだと思うんですけど、これをヨーロッパの地政学的な見地から見てみると各国の利害と歴史が錯綜し絡み合い、第一次世界大戦こそが近代と現代を分ける分岐点であり、第二次世界大戦はむしろ第一次世界大戦の後片付けにしか見えてこなくなるから不思議。この本を読んで初めて、「そうか第一次世界大戦ってそういう戦争だったんだ」ということがストンと落ちた気がします。

かなり丁寧に描かれているので慣れない人にはしんどいかもしれませんが、読むと読まないとではヨーロッパに対する印象が変わるかなと思います。特に最近はヨーロッパでもいろいろと動きがありますしね。イギリスとかドイツとかフランスとか。



梅林秀行 / 京都の凸凹を歩く2 名所と聖地に秘められた高低差の謎



「京都の凸凹を歩く」の続編。今回の見どころは何と言っても伏見の徹底解説。交通の要衝としての伏見、豊臣秀吉、徳川家康にとっての伏見。どう開発されてそれがどう残っているのか。京都在住ではあっても伏見のことはほとんど知らない自分にとって、なるほどあの坂はそういうことだったのか!ということがたくさんあって非常に興味深く読みました。1回桃山の辺りをビシッと散策してみたいところです。



浅井 建爾 / 地図・地名からよくわかる! 京都謎解き街歩き



京都の地名に着目していろんな京都ネタを展開してくれる一冊。個人的には第四章「京都にはなぜ「対」が多い?」が一番読んでて楽しかったですね。全体的にライトな感じの京都ネタ本ですが、京都観光の基礎知識として一読の価値はあるかと思います。街を歩いてるときのアンテナ感度が上がります。



大平一枝 / 東京の台所



東京の様々な家を巡ってそれぞれの台所を紹介する連載の書籍化。持ち家に限らず、人が住んでいる場所にはそれぞれそこに住んでいる人の生き方というのが現れるものだと思うのですけど、特に台所はそれが顕著に出るなあというのを改めて思い知らされました。家族の変化といったような「歴史」もにじみ出るしね……取材対象の方達と適切な距離を保ちながら丁寧に取材を重ねていらっしゃる大平さんはほんとすごいと思います。



大平一枝 / 男と女の台所



「東京の台所」の続編。「東京の台所」と同じようなコンセプトながら、取材対象を特に男女または家族に絞って整えた一冊。こちらもまた大平さんの目を通して様々な人たちの暮らしや歴史が見えるようでとってもいい。「人」の良さってこういうところにあるんだよなあというのを感じます。大平さんの写真もまた良いんだよなあ。



ヨシノサツキ / ばらかもん



有名書道家の息子で同じく書道家の主人公が、壁にぶち当たり東京から長崎の離島(恐らく五島列島)に移住して暮らしていく田舎ライフ漫画。田舎ならではの和やかでゆったりした生活がとても良く描かれていて「いいなあ」と思うのだけど、この漫画で一番スゲえなと思ったのは、主人公が田舎で受け入れてもらえたのは父親が同じように若い頃村で暮らしていてその縁があったからというのがきっちり描かれていること。いくら田舎だって見ず知らずの人を無制限に受け入れることはないし、「田舎移住」ってそんな簡単なもんじゃないんだぜっていうのを描いてるあたり、作者がその出身だと言うことを考えてもリアルだなあとちょっと感動しました。

そんな環境で少しずつ自分を見つめながら成長していく主人公がほんと微笑ましい。「これから」が見えるところで物語は終わるけど、彼らには幸せになって欲しい。

ちなみに連載終了後に発売されたおまけ本「ばらかもん 18+1」に後日談ちょろっと乗ってます(本編ではない&半分ぐらいはイラスト&設定集なので注意)。





ハラユキ / オラ!スペイン旅ごはん



ご主人の仕事の都合でスペインに住むことになったハラユキさんによる、スペイン各地の料理紹介。スペイン料理って言うとパエリアとアヒージョみたいな感じですけど、結構地方によって違うんですよね。そもそも北と南では民族も違うし、気候も全然違う。またハラユキさんのイラストが美味しそうでとにかくいい。スペインってなんかこうこういうポジティブな感じあるなあ……死ぬまでに1回は行ってみたいです。



あとがき

書店に行かねばならぬ、と強く思いました。

本を買うときのきっかけは、誰かの紹介とかPR記事とかを通してというのが最近は一番多いです。昔だったら書店に行って気になる本を手に取ってということもよくあったんですが、書店には随分行ってません。もしかすると待ちあわせ以外の目的では年単位で行ってないかも知れません。書店に行った方が気になる本をたくさん見つけられるということは重々承知の上で、それでもやっぱり面倒くさいんですよねえ。こうして最近読んだ本を並べてみて、中途半端に偏ってることに気が付いてやっぱりダメだなと思いました。近々書店に行って、偏るなら片っ端から、まんべんなく行くなら政治経済や学術系まで含めて広く浅く、色んな本を買ってきたいと思います。

ただ今回紹介した板谷 敏彦さんの「日本人のための第一次世界大戦史」、これだけは紹介を読んで買ってみてほんと良かったと思いました。多分ここ2年ぐらいに買った本の中で一番いい。もし興味ある方は是非読んでみてください。面白いから。