「鋼の錬金術師」を読了

年末から年始にかけて、スクウェアエニクスの提供するコミックアプリ「コミックUP」でマンガ「鋼の錬金術師」が実質無料で全108話公開されていました(1/11まで)。ちょうど読む漫画がなくなって探していたところだったし、名前は聞いたことがあったけれど読んだことが無かったので軽い気持ちで読み始めたところこれが望外に面白くて。最初は12/31までの限定公開だった(後に1/11に延長)ので読み切れるか不安でしたが、毎日もらえるポイントを朝晩欠かさずもらってなんとか最終話まで読み終わることが出来ました。間に合って良かったーそしてすごく良い作品だった!



読む前の印象は「少年向けファンタジーもの」。月刊少年ガンガンに連載されていた作品ですが、僕のイメージとしては週刊少年ジャンプもしくは週刊少年マガジン的な感じ。いわゆる「剣と魔法」が出てくる中世を舞台としたファンタジーもの、それに連なる感じかなあと思っていたのですが、読んでみたら全然違いました。



ファンタジーだけどファンタジーじゃないリアル

まず舞台は近代ヨーロッパ。設定では「ヨーロッパの産業革命期」というから19世紀半ばぐらいかな。タイトルにもあるように「錬金術」という魔法のような技術が登場するけれど、一般的な少年漫画と違うのはその錬金術がインフレしていくことがないこと。主人公の錬金術は登場時点で既に完成していて、また構造がシンプルなので変化することもなく最後まで続く。変化するのは「錬金術」という技術に対する理解とそれに対する姿勢で、そういう意味ではアクション漫画というより人間の内面の変化を描いた作品という印象の方が強い。ファンタジーなんですけどね。そうなんですけど、設定に書かれた「錬金術」という技術が成立しうる条件はどういうものか?を深く深く掘り下げていってやっと突き当たる先が「鋼の錬金術師」の本当の主テーマ。





メインキャラクターが死ぬシーンも何度かあるけれど、途中で主人公たちが宣言して以降は出来る限り犠牲が回避されていき、最終的にはほとんどすべての人間が生き残って最後を迎える、敵ですら可能な限り生かす、それもまた終わり方としてとても良かったです。口でどんなに素晴らしいことを言っても敵はすべて撃滅、味方の犠牲も厭わないでは、それでは真に救うことにならない。個人的に合成獣(キメラ)のおっさんたちがなんとなく緩く合流してくる様がとても好きで、しかもすべて終わった最後の最後まで出番があってなんかとてもほっこりしました。良かったなあと。



幸せな終わり

最後は失われた技術と未来への希望が示されて幕を閉じるわけですが、伏線はすべて回収され、いるべき人がいるべき場所に辿り着き、幸せに終わる。こんなに終わりが幸せな漫画はそうそうない。しみじみ思いました、ああ、これは良い作品だなあと。連載終了は2010年7月ということなので10年以上読み逃してきたことになるけれど、今ここで読むことが出来て良かったです。ありがとうスクエニ。

さて、今年はどんなマンガが読めるかな。






オマケ:「コミックUP」無料で読める話数

「コミックUP」ではマンガの1話が3~5回に分割されていて、1回を読むのに30ポイント必要。ポイントは課金して取得することも出来るけれど、以下の仕組みで無料でもらうことも出来ます。1日の流れはこんな感じ。

  • 0時 …… 30秒程度の宣伝動画閲覧で30ポイント獲得
  • 8時 …… 無料ポイント120ポイント付与、ポイントがなくなったあとは宣伝動画閲覧することで3回読める
  • 15時 …… 30秒程度の宣伝動画閲覧で30ポイント獲得
  • 20時 …… 無料ポイント120ポイント付与、ポイントがなくなったあとは宣伝動画閲覧することで3回読める

0時/15時に1回ずつ、8時/20時に7回ずつ読めるので1日に読めるのは最大で16回。話数に換算するとだいたい4~5話。鋼の錬金術師は全108話なので、全部読み切るまでに掛かる日数は25日ぐらい。アプリ的には課金して読んで欲しいんだろうけれど、頑張ればぎりぎり全話読み切ることも可能でした。ただなー、クライマックスで「続きは明日」ってなるのは結構なストレスなので、最後の方になったら1,000円ぐらい課金して一気に読み切った方が良かったかも知れないですね。