私は、東京オリンピック開催に向けて努力を続ける人たちを、応援します。

多くの反対意見があることはわかっていますし、それを否定するつもりはありません。人間の安全以上に優先されることがあるとは思いませんし、現状、日本に住む人々の安全が確保されているとも思いません。それでも、僕は、東京オリンピックを開催して欲しいと思っています。また、開催するだけの意義があると思っています。






Amazonのコメントも否定的です(現在1件しかありませんが)。新型コロナウイルスの影響がなくてさえ若干白けていたところにこの状況ですから、否定的な意見があって当然だと思います。でもね、僕は東京で開催されるオリンピックを見たいんですよ。そして、それは開催出来るとも思っています。



スポーツとは単なるビジネスではなく、人間の生活に寄り添う形で存在する大事な文化だと思っています。「日本ではそうした意識が希薄だ」なんてことを言いますが、日本でだってスポーツを生活の一部として楽しむ人たちはたくさんいます。オリンピックというと陸上100メートル走に代表されるような「超人の祭典」的な側面が強調されがちですが、真に意味のあることは、その競技が有名かそいうでないかにかかわらず等しく「1競技」として集まるという点だと思います。



オリンピックとは、スポーツに接する人たちが集まり、競い、そしてほとんど人生で唯一のスポットライトを浴びる場です。オリンピックとは、人々が本当に多くのスポーツに取り組んでいるのだということを実感し、それを愛で、スポーツが人類の文化の一部であることを実感するための舞台装置です。オリンピックとは、人間が人間らしく生きるために必要なもの、それが何であるかを感じる機会です。

オリンピックとは、新型コロナウイルスによって我々が実際に失い、意識の中でも失い掛けている、生きるために必要なものとは何か?を内包している存在です。この1年半ですっかり視野が狭くなってしまった、いまや針の穴ほどの世界しか見えなくなってしまっている私たちに、あるべき姿とは何かを見せてくれるのがオリンピックだと僕は考えています。



もちろん、安全の確保は重要です。単なる予防措置だけでなく、実際に感染者が出た場合にどう対処するのか、競技の進行をどうするのか。感染者だけを除外して続行するのか、中止するのか。そういったことまできちんと考えて実行することが必要です。JOCに掛かるプレッシャーは非常に大きいですが、この1年半の間に世界で行われてきたトライを見るに必ずしも不可能ではありません。

初期の頃こそ、イベントを開催して感染を拡大させ非難を浴びるということもありましたが(2020年6月にノバク・ジョコビッチがバルカン半島で強行し自身含め多数の感染者を出したテニス大会など)、その後は如何に封じ込めるか運営していくかという点がかなり洗練されてきました。同じテニスの大会でも今年2月に開催された全豪オープンでは安全対策をしながらの開催が成功したと言われています。


21日までメルボルンで行われたテニスの四大大会、全豪オープンは新型コロナウイルス対策が徹底された中で全日程を終えた。感染の抑え込みに成果を挙げているオーストラリアで、大規模イベントをいかに運営するか。5カ月後に迫った東京五輪にヒントを与えるケースとして注目された。

全豪テニス、五輪のヒントに 小池都知事「分かりやすい例」:時事ドットコム


全豪オープンの責任者に話を聞いているのか、ないしは参画してもらっているのかはわかりませんが、ひとつだけ確かなことは、開催する方法はあるんです。内村航平選手の言葉が注目されましたが、それは、そういうことだと僕は理解しています。


「国民の皆さんが(一部ニュースによると)五輪は(開催)できないんじゃないかという気持ちが80%を超えている、というのは、少し残念に思っています。『できない』じゃなくて『どうやったらできるか』をみんなで考えて、どうにかできるように、そういう方向に考えを変えてほしいと思います。非常に大変なことであるというのは承知の上で言っていますが、国民の皆さんとアスリートが、同じ気持ちでないと、大会はできないのかなと思う。どうにかできる、なんとかできる(という)やり方は必ずあると思うので、どうか『できない』と思わないでほしいと思います」

五輪開催諦めない 心打つ内村航平の言葉 「できない」でなく「やる」方法の模索を – 東京オリンピック・パラリンピックガイド – Yahoo! JAPAN


人によって様々な意見があると思いますが、僕にとってオリンピックというのは、「何とか開催する方法を見つけようと努力するだけの価値があるもの」という認識です。理由は先ほど書いた通り、その存在自体が人間のあるべき姿を現してくれるからです。開催を諦めるのは簡単です。いつだって止められます。でも開催するためには主体的に「どうやったらできるか」を考えなければなりません。日本に住む人々もそのために不便を強いられることもあるかも知れません。でも時間がないなかで十分な準備をし、全豪オープンのように無事開催出来たとしたら、それは新型コロナウイルス禍におけるイベント開催という意味でも非常に大きな意味があるんじゃないでしょうか。その上で、スポーツの素晴らしさを表現出来たなら、そんなに素晴らしいことはないです。


あ、そんなの絶対出来ないと思っていますか。絶対失敗すると。

まあそうかも知れませんけど、成功するための道を探さない限り成功しないんですよ。成功する努力をしても失敗することはありますが、成功する努力をしなかったら絶対に成功しません。オリンピックじゃなくても。人生のあらゆる場面において。だから僕は、「やる」という前提でその方法を一生懸命考えることが無価値だとは思いません。それが、直前に「第5波」がやってきてオリンピックが中止になってしまったとしても。



始めに述べたとおり、東京オリンピックの開催に反対する人がたくさんいることは知っています。それを否定はしませんし、反対するのは当然だとも思います。でも、それでも僕は東京オリンピックを開催して欲しいと考えています。また感染拡大などの影響を出すことなく開催することは十分可能だとも考えています。海外からの入国は選手とその関係者だけと最低限、無観客、派手な開会式・閉会式はなし……そういう形式であったとしても、今、開催することに意義があると僕は考えています。


私は、東京オリンピック開催に向けて努力を続ける人たちを、応援します。