『マイヨ・ジョーヌへの挑戦-ツール・ド・フランス100周年記念大会』を見てきました。


前日に引き続き、メトロ大學。
昨日は、『マイヨ・ジョーヌへの挑戦-ツール・ド・フランス100周年記念大会』の上映でした。

…っとその前に、それ以上に目玉だったのは、
昨年の全日本チャンピオン、野寺秀徳選手がゲストだったこと。
お客さんの数は変わらなかったんですが、
客層が違っていて、お?という感じでした。
前日は来てなかった、大学時代の友人が来てたり。
(お前、自転車好きだったっけ?と思ったけど言わなかった)


野寺選手は…あれだね。
F1の、佐藤琢磨と同じニオイのする人でしたね。
同じヨーロッパで活躍する日本人、かつ、
競技は違えど自分のしていることが好きでたまらなくて、
それ全体を愛してる…みたいな。
明るく前向きで、物事の本質を捉えて進んでいく、みたいな。
考えてみれば、中島悟も、鈴木亜久里も、同じような輝きを持ったひとだよなぁ。
きっと、共通したものがあるんだろうな。
(日焼けしてるだけかもしれないけど)

あ、そういえば、佐藤琢磨もレーサーだったんだ。
高校と大学で優勝してるはず。

うーむ。


あ、そうそう、今日は、baba氏とBlacky氏の2人進行ってことで、
なんかビミョーに役割分担もしながら(ボケとツッコミ?)、スムースな進行でありました。
質問の途中でクイズ入って、話戻って質問振られて、
野寺さんは大変そうでしたが(苦笑)

『ジロ・デ・イタリアはどうでした?』

なんていう捉えどころの難しい質問にも、真摯に答えてくれる姿が魅力的というか。
んー、やはり、自動車/バイク競技と共通するものがあるなぁと思うのだけど、
一流選手は、メディアへの対応も一流だよね。
きっと、そういうことを学んでいくんだろうなぁ、と思う。

野寺選手、格好良かったっす。
お茶目だったし(笑)
(TVに映るかなーと思って風よけから出てみた、とか)


で、映画の方ですが。

前日のものが、ツール・ド・フランスというよりも、
CSCチームを描いたドキュメンタリだったのに対し、
今作は、『チーム・テレコム(現T-モバイル)からの視点を通し』つつも、
それに熱狂するマスコミや、これまでの歴史、レースのある風景など、
むしろ、ツールに焦点を当てた感じの映画。

言ってみれば、ライブ中継のカメラを、1画面分横に振ってみた、そんな感じの映像。

親戚隣人集まって、街道脇にテーブルを置いて、ワインでも飲みながら、
プロトンがくるのを待つ老人達や、
アルプスのかなり上まで、キャンピング・カーでやってきて、
熱心に応援する人達、
とくに、道幅が全くなくなる光景、観客が通過の一瞬前まで、
通り道をふさいでる光景なんて言うのは、何度見てもハラハラする。
恒例なんだろうけど。
(マスターズの最終日だっけ?似たような光景があったような)



この映画を見て、一番印象に残ったのは、音楽。
音楽、それから音の使い方が上手いなぁ、と。

レース前、序章の部分はロック、そこから、ビートが刻まれていって、
最後はジャズでエンドロール。
それも流しっぱなしではなく、
映像とシンクロしているのは当然で、
BGMのない箇所でも、背景の音…
人のざわめきや、携帯の着信音や、ギアの音や、雨の音、
石畳を舐める音や、シャッター音、薪が燃える音や、ヘリが通過する音…
ツールを構成する音を、余すことなく盛り込んでいるような。


正直に言って、全行程をきちんと見たことはないし、
雑誌で読んだこともない。
ずっと、『興味はある』という感じの対象だった。

なので、どんな選手でも2?3回は落車するって聞いて、驚いた。
アームストロングが落車したシーンと、
最後の個人TTでウルリッヒが落車したシーンで、
思わず声を上げてしまったのだけど、
似たような状況は、常に、全ての場面で起きていて。
それでもなおかつ、下りを90km/hオーバーでぶっ飛ばすわけだから、
いやーもう理解を超えてる。

昔、途中峠からの下りで、車を抜きまくって下りたことがあるけど、
それでも50~60km/hくらいでしょう。
ガードレールもろくにないとこで、その走行はヤバイ。
でも、もう、ブレーキを意識し始めたらダメだろうしね。

1つだけ感じたこと。
それは、ツール・ド・フランスってのは、
今も昔も、
『何人かのスター選手とその他の選手』という構造よりも、
『ツール・ドフランスそのものと、多くの選手』という構造の方が顕著なんだな、と。

成績だけ見ればスーパースターな選手達が、
裏では簡単に弱音を吐くし(もちろん、ポジティブに捉え直すため、ではあるけど)、
多くの怪我をして、ダメか、まだ行ける、っていう繰り返しで、
勝てることと勝てないことの間には、ほんの少しの差しかないけどそれは決定的で、


そうそう、見終わって帰るときに思ってたんだけどさ、
ツール・ドフランスってのは、
23日間で、F1の1シーズンをやるような競技だな、と思ったよ。
毎日、毎日、全く違うコースを相手に、選手の調子を見て、戦略を練って、
それが当たるときもあれば外れるときもあって、
データを取り、分析し、心身を整え、幸運を祈る…みたいな。

“ドライバー”が多いから、その分コミュニケーションに割くエネルギーも大きいかもしれないけど、
なんとなく、そんな空気を感じた。


やっぱり、ヨーロッパはいいなぁ。
日本は日本で素晴らしいけど、
こういう感性は日本人には未だ持ち得ないなぁ、と思う。


なんか凄いまとまらないけど、
“ツール・ドフランス 2003 ダイジェスト”ではなく、
ツールとは、何かを、文化的な面からきちんと見せてくれてるなぁと思ったのだ。


で、二日間通して、
トークショー(内容もそうだけれども、楽しそうに喋る人達という存在そのものが既に)や、
映画を通して、それに触れることができて、嬉しかった。

いやー楽しかったなぁ。


さて、次回はいつになるんでしょうね?