喫煙と増税の話

禁煙マークのイラスト
5月31日は「世界禁煙デー」らしいです。



では、実際に2010年のタバコ増税後、タバコ税の税収はどう推移したのだろう。増税前はあれだけの報道が各紙でなされたのに、実際の税収推移について大手メディアは全く触れていない。しかし、この点について、日経トレンディが2か月前に「たばこ増税の不都合な真実」という記事をだしている。

結果を述べると、タバコ税収は増税後、激増している。2010年度のたばこ税8224億円が2011年度には1兆315億円と2千億円も増加している。「21世紀に入って初めてたばこ税の税収が1兆円を超えた」とのこと。2012年度も堅調のようで、2012年12月時点での税収の進捗は7012億円、昨年度同時期の7016億円とほとんど変わっていない。ちなみに、ここで言う「たばこ税」とは国に入る税収のことで、この他にもやや多い額が「地方たばこ税」として地方の税収になる。つまり、1箱70円の増税効果は税収4千億円増ということだ。

「世界禁煙デー」にタバコ増税の効果を考える – まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛


この記事が元2ちゃんねるまとめ系ブログ「ハムスター速報」に引用されていて、こういうコメントが付いていたんだけど、あーうん、元喫煙者でありかつ現在は非喫煙者である自分としては、あーこれって差別だよなあと思ったりするわけです。


1 :ハムスターちゃんねる2013年05月31日 14:24 ID:n31oozoN0
どんどん増やそうぜ!
あいつらバカだから買い続けるだろ

タバコ増税は喫煙者が減り税金の収入は増えないという反対論が間違っていたことが明らかに!21世紀に入って初めてタバコ税収が1兆円を超える:ハムスター速報



タバコ増税を「差別」だと感じるためにはある前提が必要です。
それは何かというと、

喫煙というのは中毒であり病気


という認識です。


これは自分が喫煙を止める中で感じたことなのですが、煙草というのは、吸っている本人は自分の意志で吸っているつもりでも、実際にはそうではありません。煙草を吸うという「習慣」、煙草を吸わないことによる「苛立ち」、その苛立ちが解消することで錯覚する「ストレス解消」、そういった感覚に「吸わされている」というのが喫煙の実体です。喫煙者は自分でそういう実感がないから、つい強気な発言をしてしまいますが、いやこれ、病気なんですよ。実際の話。それを治療するかしないかは、本人の自由というだけで。

そういう側面から税収増を期待した「増税」を見てみると、これがなんとも差別的に思えます。病気に囚われていることを良いことに、どんどん負担を重くして金を巻き上げようとする措置ですね。要するに先ほど引用したレスと全く同じことを体現しているわけです。社会としては真っ先に、病気の治療を促すべきだと思うんですけどそうじゃ無い。

これは、ソーシャルゲームにカネを突っ込んでる人からさらに金を巻き上げようとすることとあんまり大差ないでしょう。だって、言ってること同じだし。仮に結果として「税収増」という結果が得られたとしても、そのことを意義として並べるのは不適切じゃないのかと僕は思います。というか気持ち悪い。



たばこ税の増税のもう一つの目的、健康増進については、先のブログの中でも以下のようなアメリカのデータが紹介されています。


さらに注目すべきは、増税・値上げによって喫煙を辞めるのは、中年以上の喫煙者よりも若者とのこと。「米国ではタバコの価格が10%値上がりすると喫煙者全体は4%減るが、10代の若者については12%も喫煙人口が減る」というデータが日経トレンディで紹介されている。健康被害が大きいが、まだ喫煙が完全に生活習慣になっていない若者がタバコを辞めることは、大きな意味があると思う。

「世界禁煙デー」にタバコ増税の効果を考える – まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛


ですよねー。

煙草は、吸わないなら吸わないで良いものだと思うんですよね。人生のどこかのタイミングでくわえて火を付けて始まる習慣ですが、大人になってから楽しみを知ることがあるお酒とは違って、大人になってから「煙草、始めました」なんて人はまあ滅多にいません。若いうちに喫煙する習慣を持たなければ、将来も持たない可能性が強い。そういうことの目的のためにたばこ税は増税されるべきで、増税の評価はその視点でのみ測られ、最終的にたばこ税の税収が「ゼロ」になることを目標とすべきじゃないんでしょうかね。


たばこ税の増税の話になるとどうもいつの間にかカネの話になってて、すんごい気持ち悪いです。
そんなに病人からカネを巻き上げたいですかね?よく解りませんが。