消費税の処理ってそんなクソめんどくさいものだったのか

減税に喜ぶ人達のイラスト
不景気に直面するに当たり「消費税を廃止しようぜ」という話がよくでます。個人的にもそうなったら有り難いなあと思うし、下手に給付金だ商品券だと新しいことをするよりは、消費税免税のほうがよっぽどシンプルなような気がしていたのですが、消費者の方はそうでも税理士さんの方では今でさえ地獄なのにそんなことになったら無間地獄、戦々恐々とされているとか。


詳しくはこのあたりの記事にわかりやすくまとまっています。


新型コロナウイルス感染症による経済の冷え込みに対して、消費税をどうするのかが話題になっています。報道によると、国は減税に否定的ですが、広く国民を支援するには消費減税が最も効果的だと訴える論者も多数います。 一方で消費減税となれば実務上は困難が山積しているという指摘もあります。実務家はどう捉えているのか、国税当局で消費税部門の統括官として勤務した経験のある能渡洋一税理士に聞きました。(ライター・拝田梓)

「消費税を減税したら、現場で大混乱が起きる」元国税の税理士が語る「複雑地獄」 – 税理士ドットコム



税理士さんの実務に詳しいわけではないのですが、ただでさえ個別に8%と10%にわかれていたのをさらに0%にするとなると記帳のパターンがさらに増えてさらに面倒くさいものになり、税理士も泣くし経理担当も泣くし国税庁の現場も泣くし場合によってはシステムエンジニアも泣くし、「それでもやるべきだ」ってなったらやるんでしょうけど、下手したら死人が出かねない。一朝一夕にやったり止めたり出来ないもんなんですね。まあこういうの、エンジニアとかデザイナにとっては、自分の仕事に置き換えれば眉間にしわが寄りそうな案件ではあります。そりゃそうだなあ。



現在の消費税は、国税たる消費税と地方消費税とに分かれています。

消費税増税の際にこの地方消費税の取り分が変わり、標準税率(10%)の場合、消費税率は7.8%、地方消費税率は2.2%、軽減税率(8%)は消費税率6.24%、地方消費税率1.76%、さらに増税前(8%)は消費税率6.3%に地方消費税率が1.7%となっています。これらを分けて記帳しているのが現状です。

もし減税となった場合はこの地方税に当たる部分から減らすのか、国税から減らすのか、両方から減らすのか。これを全部計算しないといけないので、非常に担当者泣かせになると思います。議論は簡単ですが、申告上は非常に複雑になるでしょう。

「消費税を減税したら、現場で大混乱が起きる」元国税の税理士が語る「複雑地獄」 – 税理士ドットコム




ちなみに能渡先生の提案は消費税を廃止するのではなく、納税時に申告書の金額から差し引く。減税のタイミングがちょっとずれる、事業者に吸収されて消費者が効果を実感しにくいという点はあるものの、とにかく事業者を支えないとヤバいというのがいまいまの状況なので、それがあったら良いかもですね。



実務的に一番良いのは、現状の通りに消費税を申告して、申告書の金額から納税額を直接1割なら1割差し引くことでしょう。申告の段階での減税措置となるので消費者に還元されることはないでしょうが、事業者にとっては大変助かるかと思います。今回のことで大変な事業者に対する救済策ですね。

また、今、支払いの電子化を進めるためにキャッシュレス・ポイント還元を政府がやっていますが、これをキャッシュレス化していない事業者にも拡大・延長するというのも考えの一つじゃないでしょうか。

これも、申告を作る側は一度計算して消費税を納めて、減額した分について、国から助成金をもらう、補填を受ける形です。消費税を申告上いじらないでいい。そして、最終消費者が得したなという感覚がある。

「消費税を減税したら、現場で大混乱が起きる」元国税の税理士が語る「複雑地獄」 – 税理士ドットコム



消費者への還元と言えば今やってるキャッシュレス・ポイント還元ですけど、最初は「そんなの大した額じゃないでしょ」と思ってて実際最初の月は40円とかで気にもしてなかったんですけど、Amazonなど購入時点で差し引かれるところもあったりして割とバカにならないなと思えてきました。それを拡大してくれたら消費税変えなくてもかなり助かりますね。一律給付もいいんだけど、持続的で基礎的な支援の方が最終的には助かるんじゃないのーという気はします。「貯金に回させないための商品券」みたいな古くさい手法より、消費したら還元の方がよっぽど消費拡大に繋がると思うしなー


未曾有の大災害で官公庁の人たちも毎日死ぬほど大変だろうと思いますが、なんとか上手い方法を考えて実施してほしいものです。頼りにしてます。頼むよ。