イチロー・インタヴューズ (文春新書)イチロー・インタヴューズ (文春新書)

文藝春秋 2010-04
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石田雄太さんと言えば、イチローを始め様々なアスリートに密着し、距離感の短いインタビューをすることで定評のあるスポーツ・ライター。その石田さんが今までしてきたイチローのインタビューを一冊にまとめたって言うんだからこれは買わない手はないでしょ、ってことで購入。
届いて早速読んでみたけど、うん、やはり看板に偽り無し。
イチローのインタビューを読むならやっぱり石田雄太さんしかいないね。
イチローは特に「前提」や「言外の定義」が多い人だから、長く追ってきた人でないと上手く引き出せない、伝えられない部分はあると思う。



本書は、イチローがメジャーに渡った2000年から、今シーズン、つまり2010年開幕直前までのインタビューを網羅しているのだけど、やはりその中で一番思うことは、イチローもやはり変化しているのだなぁと言うこと。


時間軸的に一部分だけを抜き出すと、どの瞬間でもイチローは「今感じていること」を自信満々に話しているように読めて、それから暫く経ったインタビューを続けて読むと、「なんだよ、随分言ってること違うじゃないかよ」と思うこともあるのだけど、そこに至るまでに起きたこと、感じたこと、そうしたことを丹念に拾いながら、その時に何を考え、どう変化し、今はどう思うかを追っていくと、その変化に凄く納得させられる気がします。

「あのときはああ言ったけど今はこう思う」と言うような単純な構造では無しに、あのときは置こう思ってこう動いていたけれども、あのときには自分に見えていなかったこんなことが解って、新しく周りの環境がこうなって、自分が歳を取って果たすべき役割が変わって、あれからさらに実績を積み上げて、今はこういう状態だからそこではこう考える、そういう考え方の構築が凄くわかりやすいし、個人的には凄く共感できます。


以前言ったことがいつまでも効力を持つ...というのは幻想で、やっぱり人間は誰しも、その時その時でその都度判断して生きているわけだし、もし、過去に自分が勝手に決めたことに縛られ続けたら、それは結局自分のためにはならないわけで、自分なりに多くの経験や思考を経た結果たどり着いた今の結論がこれならば、それが以前のものと異なっていても、胸を張って口に出すべきことなんだなぁと、少し勇気を貰った思いがしました。やっぱりイチローは格好いいなぁ。



本書を読む上では、一部、野球の基礎知識やルール、WBCなどのスポーツイベントに関する情報が必要になる部分もあり、どんな人でも楽しく読めるとまでは言えませんが、そうしたイチローの考え方の姿勢を感じるだけでも、十分に興味深い一冊だと思います。
もし解らない事情があれば、それを知っている人に尋ねるかWikipediaで調べるかなりして貰えれば、より楽しめると思いますし、もし興味を持たれたら是非そうしてみてください。



石田さん、GJ!

今後も変わらず、体温の残るアスリートの言葉を届けて欲しいと思います。




ちなみに

もともとは、Number誌の書籍紹介コーナーで見たんだけど、やー意外と侮れないんだよね。
Numberの書籍紹介コーナー。

自社のものだけでなく、スポーツ全般に関わる様々な書籍を紹介していて、触手動きまくり。もっとも、予算の関係上その全てを買って読むわけにはいかないんだけど、自分が今まで全く知らなかったスポーツの世界も垣間見えてすごく楽しい。

さっき届いた最新号(755・756・757号)での「読んでみたいなー」本は、これ。



報道なんかで聞きかじったことはたくさんあって、自分なりにおぼろげな印象を持ってはいるのだけど、やっぱりこういうドキュメントを読むと印象が全然違うのよね。いずれ読んでみたいと思います。