グダグダ言う前に『ゲド戦記』を『読んで』みるか。

宮崎吾朗氏監督の『ゲド戦記』。 宮崎氏が、かの有名な宮崎駿氏のご子息ということもあって、 何かと注目を集めていたわけですが、 いくつかの点で、前評判がえらいことになってますね。 僕自身、例によって、エントリ書いてから、原作と映画を読む(見る)という、 ブロガーとしてあるまじき無責任さなわけですが、 その身軽さから現状を整理しておくと、

・長編の原作(全6巻)を2時間の映画にまとめるのは無理がある ・キャラクターの解釈に一部問題がある ・監督の態度が横柄
という感じになるようですね。 正直、作品自体にはそれほど興味がわかないので、 原作を読むかどうかも微妙ですが(この時点でタイトルに偽りあり)、 監督自身の物言いが、何というか、突き抜けてて、 非常に好奇心をそそられます。 今のところさして実績もないのに、 他の監督を批評する(それも上から見た感じで)っていう態度は、 あーそうだ、映画評論家と同じですね。 まぁ、映画関係者としてはあんまり無い感じです。 で、興味もないのに何でこんなことを書いてるかというと、 RSSをつらつらと読んでたら、Ogawaさんが、こんなエントリを書いてはったからで。
ジブリの「ゲド戦記」を100%愉しむためには、やはり何はなくともまずは原作を読まなくては(ニヤリ)とか思ってしまった。折りよく先月末から2日にかけて高知への出張があり、出張費を抑えるために鉄道(品川?岡山[のぞみ]、岡山?高知[特急南風])を使うことにしていたため、たっぷり時間はあった。何と言っても片道6時間、往復12時間だからね。
おお、そうか。 近々、青春18で旅行に出ようと企画してるので、僕にも時間が大量にある。 旅行の予定をどうしようか、と考える一方で、 その間に読む本も模索している状況。 というわけで、その候補の一つとして、『ゲド戦記』もありだなーと。 (全6巻持ってたら重いんじゃないか…ってのが若干不安だけど) そういうわけで、『ゲド戦記』にも(少しは)興味がありつつ、 痛々しくて好奇心をそそられる、『宮崎吾朗』という人間にも興味があるので、 より、踏み込んで書けるように、実際に体験してみようと思います。

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『The Color Purple』(1985)

The Color Purpleを見た。 時代感覚の調整が上手くいかなくて、衝撃的だった。 次第にそういう描写にも慣れたけれど、 極端な男尊女卑に対しては、嫌悪感を抱かずにはいられなかった。 加えて、テーマに、徐々に人種差別が入り込み始めると、 僕の中で、人間性と、価値観とは区別しうる、という思いが沸き上がってきた。 暴力をふるう(そして妻以外の女に入れあげる)夫が最低なのは言うまでもない。 しかし、その息子が、妻に暴力をふるうようになっていった過程が示唆するように、 そうした行動は決して、彼自身の人間性だけによるものではなく、 周囲の環境によって作り上げられた価値観、 つまりは、女も子供も言うことを聞かないヤツは殴って黙らせろ、 そんな価値観によって決められた行動なのだと。 必ずしも、悪いのは彼だけではない。 そして同時に、そうした価値観から逃れられない、 人間性としての弱さ、そんなものも示唆されている。 (弱さ故、結局は多くの人を裏切ることになる) 見終わって、僕が一番不快だったのは、 暴力をふるう黒人男性、ではなく、 ボランティアを自己満足のために行い、親切とはき違えている、 白人市長の妻、だった。 黒人女性に対して、息子をメイドとして差し出さないか、と笑顔で言ってみたり、 助けようとした黒人達に囲まれていった言葉が、 あなたたちを支援して随分助けてきたのよ、寄らないで!であったり、 自分が(メイドとしてほぼ)監禁している黒人女性が、 実家に帰れたことを自分の親切と勘違いしてほほえむ様であったり、 僕の中で、人間、ああなっちゃおしまいだな、そう思う、 最低の人間だ。 最低の人間というのは、 必ずしも、最低なことをする人間ではない、と思う。 最低なことをしていることに、気づかず、しかも、 そのことに自分では誇りを持っているような、そんな人間なのだと思う。 以前僕は、ホワイトバンドのアホらしさを書いたことがあるが、 親切というのは、相手の価値観に沿ってなされるべきで、 自分の価値観、ホワイトバンドで言えば、 白いわっかを付けさえすれば、意思を表示したことになると言うローカル・ルール、 それに沿ってなされる行為は、親切ではなく、 もはや、悪意ですらない。 そこには、何も、ない。 この映画の唯一の救いは、 主人公の女性が、苦しみながらも、楽しみを見つけながら生きていたこと、 そして、最後には、本当に心から笑えること。 虐待してきた罪は赦されないが、 夫である男性が、罪滅ぼしをする機会を与えられたこと。 暴力をふるっていた息子、そしてその妻が、 その無意味さに気づいたこと。 それぞれの中に、何かが変わる、きっかけが生まれたこと、だと思う。 だから、美しい。

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SWIII 早くも登場。

スター・ウォーズの完結編、 『スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐』が、早くもリリースされるらしい。 …ホントに、早っ! 一度見た映画なんで、すぐに買う必要なんかないってのはそうなんだけど、

本編ディスクに、メイキング、削除シーンなど6時間以上の豪華特典を収録したボーナスディスク付きの2枚組。(ITmedia +D LifeStyle:“遠い昔、遥か彼方”のドラマ終幕――「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
とのことで、えーと、正直言うと欲しい。 価格も、Amazonで買えば、3,112円(税込み)。 うーむ。 (C) 2005 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.Used under authorization.

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Star Wars III

見てきました。 あんまり書くとネタバレになるんで書きませんが… (とはいえ、誰もが、『結末』は知ってるわけだけど) 面白い映画でした。 ただ… 僕は見終わって、もの凄くブルーで、立つ気になりませんでした。 若さ、 について、考えさせられました。 暗黒面の籠絡、では片付けられない、 複雑な人間性を見た気がします。 勧善懲悪が好きな人には耐えられない内容かもしれないし、 人間性を感じるには、 スター・ウォーズという選択である必要はないかもしれませんが、 僕は、この映画は好きだな、と思いました。 トリロジーを買って、 エピソードIVを見直そうと思います…

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本日のちょっとした世間話。

職場のAさんとBさんの会話。 A『最近なんか映画見た?』 B『見てないなぁ…見たいなぁとは思ってるんだけど、あ、宇宙戦争?アレ見たい』 A『…宇宙戦争?』 B『うん』 A『それって…、スターウォーズのこと?』 B『いやそうじゃなくて…ほら、トム・クルーズの出てる…』 (以下略) 確かになぁ。 スターウォーズをまんま和訳したら、宇宙戦争だなぁ。 でもいくら何でもそんな呼び方するヤツはいないだろうなぁ。 突っ込みたかったけど、 聞かないふり。 多分、当事者2人以外はみんな、聞かないふり。 まぁそういう優しさも時には必要ということで(笑)

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MOVIE, tonight – DOG DAY AFTERNOON

『狼たちの午後』(1975年アメリカ)
狼たちの午後◇75年、米。アル・パチーノ、ジョン・カザール。銀行を襲い、警察の包囲網に追い込まれて行員を人質に立てこもった強盗の男性2人。報道陣と応答するうちに彼らは群衆から英雄視され始め、人質たちとの間に奇妙な連帯感が生まれていく。シドニー・ルメット監督。
この映画は… 当時の社会背景がないと、凄くわかりにくいような気がした。 犯罪者が英雄視される状況、 『アティカ』=警察が刑務所で大量殺人をしたことで、警察が憎まれている、 ゲイがまだ市民権を得たとは言えず、一方で憎まれ、一方で運動も盛ん、 そんなことが織り交ぜられて、 また、人質と犯罪者の間にも、 加害者と被害者東端純な関係じゃなくて、在る意味楽しんでいるような、 でもなんとなく、 『銀行強盗』という設定は、 例えば、銀行強盗、というような、 必然性のない設定のような感じがした。 あぁ、設定がまずいとか、実話だから仕方がないと言っているんではなくて、 描き出したかったもの、描き出されているものに比して、 銀行強盗という舞台が、あまりに舞台設定、 ストーリーを追う上で、その設定に目を奪われるけど、 本当に重要なのはそこではないんだな、そういう印象。 だから、強盗としての手順が拙くても、 『素人考えなんて所詮はダメだよな』みたいなことではなくて、 ダメなのは分かってるけどそうせざるを得なかったというか、 アルパチーノ演じる男の、人格の一部というか。 まぁ、とにかく、 アルパチーノの演技、セリフがある場面はもちろん、無い場面も含め、 格好良かった。 格好悪かったけど、格好良かった。 見終わった後に、印象が様々に散らばって広がっていくような、 そんな映画だった。 見て良かった。

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MOVIE, tonight – LULU ON THE BRIDGE

『ルル・オン・ザ・ブリッジ』(1998年アメリカ)
ルル・オン・ザ・ブリッジ◇98年、米。ハーベー・カイテル、ミラ・ソルビーノ。発砲事件に巻き込まれて重傷を負ったサクソホン奏者。人生に絶望した彼は、偶然手に入れた石に導かれるように知り合った女優の卵と恋に落ちたのもつかの間、再び数奇な運命をたどる。ポール・オースター監督。
今日も今日とて映画。 今日はこれ。『ルル・オン・ザ・ブリッジ』。 昨日の、『スモーク』で脚本をつとめたポール・オースターが監督もつとめ、 ハーベー・カイテルを再び主役に起用している。 …と、映画の説明から話が入っていることから、 勘のいい読者はお気づきかもしれないけれども、 どんなに穿ってみても、特別に面白い映画ではなかった。 個人的には、音楽の使い方が好きだったけれども、 内容的には、30分ドラマでさえ作れるような気がした。 まぁ、素直に見ればね…人生の全てだった音楽を絶たれた男が、 不思議な石を通してある女優と出会い、そこに救いを見出しつつも、 結局は、救われない…わけだが、 なんだかなぁ。 どういったらいいのか分からないけど、 カット割りやセリフや感情表現や脚本や、全ての演出において エッジがきき過ぎてるような気がした。 こちらに考える暇を与えず、良く言えば力強く、悪く言えば強引に話を引っ張っていく感じ。 うーん、やはりスモークのたんたんとした流れは、監督の腕だったか。 悪い映画ではなかったけど、特に何も残らなかった。 ミラ・ソルビーノは魅力的だったんだけれど。惜しい。 ちなみに検索したら、 故・淀川長治さんの映画評があったので、 それもリンクしておきます。 淀川長治の銀幕旅行:ルル・オン・ザ・ブリッジ

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