京大吉田寮における大学側の退去要求退けられる

まだまだ第1ラウンドかも知れませんがとりあえず






ニュース記事

日本最古の学生寮・京都大学の「吉田寮」をめぐり、耐震性に問題があるとして大学が学生らに明け渡しを求めた裁判で、京都地裁は学生側の訴えを認め、在寮契約が認められている14人の学生らについては明け渡しを認めませんでした。一方で、すでに寮を退寮していた人や大学側が新規入寮募集を認めない状態で寮に入った3人については、学生らに明け渡すよう命じたということです。

【速報】京都大学「吉田寮」訴訟 学生側の訴えを認める 入寮していた学生らに明け渡しを求めず | MBSニュース


記事をざっくり読んだ感じでは京都地裁的には学生、大学双方が好んで主張したイデオロギー的な部分には触れないようにしつつ、契約と権利に焦点を当てて判断したって感じでしょうか。契約があるんだったらそれを一方的に破棄させるような命令は無効とする一方で、退去した学生は既に契約が終了しているし、新規募集を停止したあとは適切な契約が結ばれたとは言えないわけなので、そういう視点でいうととても合理的でわかりやすい判断かなと思います。


ちなみに双方がどんなイデオロギー的主張をしていたかというと、こんな感じ。


これまでの裁判で寮生側は「建物を補修しながら継続的に居住できる」としたうえで「戦前から受け継がれてきた寮自治という他には得難い『営み』そのものを守るべきだ」と主張。

一方、大学側は「現棟は震度6強の地震で倒壊の危険がある」としたうえで、「代わりの宿舎を提供するため、大学周辺への居住は可能」として退去を求めていました。

【速報】京都大学「吉田寮」訴訟 学生側の訴えを認める 入寮していた学生らに明け渡しを求めず | MBSニュース


個人的な感想

学生側の営みどうこうの話は、それが大事か否かとは別に契約上は最優先されないよね、ということを京都に住んでいろんな文化財が壊されている日常を目にしている人間としては感じます。現実は理想を上回りがちです。

また京都全体としては、歴史的に見ても、「残すこと」はそれほど最優先で守られてきたことではありません。もし新しく作られる「シン・吉田寮」が、次の100年を象徴するような素晴らしい出来なら、それが一番「京都的」であろうと僕は思います。ただのアパート・マンションだったらクソですが。


大学側の話は「吉田寮がやべえ」ってのはそうでしょうけど、それの対策が取り壊して建て替えのみってのはどう考えても無理があるし、お前それ京都で言うのかよ?というのもやはり京都人としては思います。古くなり消防法の問題で建て替えられない町家を大枠を維持したまま補強しリフォームして生まれ変わらせるということが、京都の街中では日常的に行われています(もちろん取り壊されてしまう町家の方が圧倒的に多いですけど)。

大学に対してはあなた方にもそれが出来るだろうと僕は思うし、「京都」大学という名を冠す以上、それをやってもらいたいとも思います。まあ、経済優先の今の京都大学経営陣には出来ないでしょうけどね。金がないなら出資を募る方法だってあるし、京大OBから募れば集まるだろうし、PRとしても最高だと思うのにね。そんなことも出来ない今の経営陣はクソですよね。



今後はどうするんだろう

今回はこれで良かったですけど、大学は恐らく控訴するでしょうし、もし最高裁までいくなら解決までまだ何年もかかります。新規入寮者の契約が認められなかったことで、現在の学生が学生ではなくなって契約要件を満たさなくなったら退去を求めなくても誰もいなくなる状況にはなります。最後の学生がいなくなった段階で、そこにいる人は全員不法占拠ですよね。そういう意味で大学としてはもう焦らなくて良くなったとも言えます。交渉にも応じず放っておけば人がいなくなることになったわけですから。


そう考えると今後もまだまだこの話は続くんでしょうね。


上の段落でも書きましたけど、もっと上手い、双方にメリットのある解決方法があるはずだと思うんですけどね。もったいないなあ。