悩ましい券売機の話

牛丼屋のイラスト
効率が良いのはわかるんですけどね






松屋の券売機がカオスだと話題に

「デザイナーいないんですか?」松屋の食券機のUIがどんどん悪化してきたがここに来て『極み』に到着した感が出ている

後ろに人がいると焦る

「デザイナーいないんですか?」松屋の食券機のUIがどんどん悪化してきたがここに来て『極み』に到着した感が出ている – Togetter




どうやら牛丼に簡単なトッピングを付けて注文するのにストレートに行ってもかなりの回数タッチしなければならないらしく、初めて券売機を触る人や高齢者の人はかなり時間が掛かってしまうとのこと。僕も松屋の券売機使ったことないので、時間掛かる自信あります。

森永卓郎さんによるとトッピングを付けようとしなければ割とシンプルに注文出来るらしいですが、売り上げを支えるコアなリピーターというのはいろいろ頼みたいものだと思うので……問題ですよね。


「もちろん、松屋さんの券売機を利用したことがありますが、何度も何度も画面をタッチしないといけない人は、複雑な組み合わせを選ぶからだと思うんですよ。私は『牛めし』しか食べないので、そういう人にはそれほど不便ではありません(笑)。松屋さんの券売機は昔から、(物理)ボタンがたくさんあって、ワケがわからないと言われていました。それをさらに(商品のカテゴリーごとに)グループ化して選択していくかたちにしたら、ぐちゃぐちゃになったというのが実態ではないでしょうか。技術者が頭で考えて作っちゃったんだろうなという気はします」

松屋の券売機「使いにくすぎる」の声に運営元「見直しを実施」 牛丼愛好家・森永卓郎氏は「私は吉野家の注文の仕方が好き」 | マネーポストWEB


「技術者」の1人として技術者の名誉のために言いますが、技術者にデザインさせたやつが悪いよ。デザインはデザインが出来るやつにやらせるべき。



それはそれとして気になるのは行きつけだったとんかつ屋に導入された券売機

森永さんのコメントで真に気になったのは松屋の券売機に関する見解ではなくて、こちら。


森永氏は、「私は昔から吉野家がいちばん好きで、口頭での注文も好きです」と話す。

「注文から精算まで券売機になると、店員さんと話す機会がなくなってしまいますよね。吉野家さんはねぎだくだとか、汁なしだとか、細かいことを言う人にも店員さんが対応してくれたじゃないですか。まあ、私も色々とやってみて、結局、普通の牛丼がいちばん美味しかったんですけど(笑)。それに、高齢者には口頭注文のほうがわかりやすくていいと思います。でも、若い人は話すのが嫌だと思うのかもしれません。だから券売機があることの良し悪しは一概には言いにくいでしょうね」

松屋の券売機「使いにくすぎる」の声に運営元「見直しを実施」 牛丼愛好家・森永卓郎氏は「私は吉野家の注文の仕方が好き」 | マネーポストWEB


正直言って牛丼チェーンでそんなにスタッフとコミュニケーションを取る必要があるのかと思わなくもないですけど、この話で思い出すことがあっていやあもうなんというかね。


学生の頃から行きつけだったとんかつ屋さんがありましてね。美味しくて安くて最高だったんですけど、ご主人が亡くなりまして店がなくなることになりました。いや、なっていたんですが、跡を継ぎたいといってくださる方が出てきて、お母さんの許可も出て名前を継いで2代目に。諸事情により旧店舗は解体されてマンションに建て替え、1年ほどの仮店舗期間ののち、マンション1階に出来た新店舗にリニューアルオープンしました。おめでとうございます。


で、オープンしたというので行ったんですよ

代替わりはしたけれど、先代の奥さんに当たるお母さんはまだ接客で働いてらっしゃるし、前回行ったら覚えててくれてたのでお元気かなと言うご機嫌伺いも兼ねて。結果、店は繁盛していたしお母さんは元気だったので良かったんですけど、口頭で注文していたのが店頭の券売機で食券を買うスタイルに変わってました。


これがねえ……確かに便利ではあるんですよ、店側はね。食券購入と同時にオーダー通るから注文聞きに行かなくて良いし、食券購入時に決済終わってるからお金のやり取りもなくて良い。でもさあ、個店でこれやるともうほんとに完全に店の人とのやり取りゼロになるのね。

大学に近いとんかつ屋で大事にしてることと言えば、例えば体育会系の部員相手に「今度試合なんでカツ丼食べに来たんです」「あらそう、頑張ってね」「この間の試合、勝ちました!」「良かったわねえ」みたいな温度感であって、腹を満たして帰ることだけが最重要かといわれるとそうじゃないと思うんですよ。


そういうのがまったくゼロになった個店に、個店である意義があるのかどうか。。



回転を求める店舗以外の個店には食券機は向かないと思います

代替わりしてもとんかつの美味しさに変わりはなかったし、一般的なちゃんとしたとんかつ屋に比べて安価な値段を維持出来る理由は経営の効率性にもあるだろうから、そういう意味では食券機導入に完全に反対というわけでは無いんですけど、でもね、僕はシンプルに寂しかったんですよ。「出された料理を食べて黙って帰る」このシステムには体温がないと。


従業員の仕事は食券を受け取り、料理を出し、帰った後の器を引いてテーブルを拭く。
こんなん、やよい軒と同じやん!


客が「ごちそうさま!」といえばご主人も「ありがとうございました!」と答えてくれるけど、黙って席を立ったら気付かない。パッと顔を上げたらお客さんが入れ替わっていて、誰が何を食べているかもわからない。そんなんでいいんかなあ。それで楽しいかなあ。僕だったらそんなの嫌です。続けられない。



1人1人と接客をしていく個店には、券売機は向かないですよ。回転重視のラーメン屋とか定食屋とかなら話は別ですけどね。今からでも遅くないし食券機は止めて、口頭での注文にもどした方がいいと思うなあ。それかすき家のテイクアウトだけ券売機使うスタイル。好きだった店がただの「とんかつを食べられる店」としてだけ消費されてしまうのは、僕は嫌だなあ。