アイドルの「セカンドキャリア」は大丈夫なんだろうか

卒業するアイドルのイラスト
今週月曜日から水曜日にかけて「乃木坂46時間TV」というイベントがありまして、YouTubeの公式チャンネルで配信もされていたので、パソコンに向かうときのBGMとして大いに楽しみました。皆さんお疲れさまでした。楽しかったなー

イベントの中で新しく加入する「5期生」の紹介もありまして(学業で3名、新型コロナウイルスの濃厚接触者で1名欠席だったので11名中7名参加)、10代半ばですごいなあ、頑張って欲しいなあと思いながら見ていたわけですけど、40代半ばのおっさんからすると15歳とかでアイドルグループに参加して忙しく活動をすることに対してちょっと不安を感じることもあります。



実質的な最終学歴が「中卒」

15歳で加入ってことは人によっては実質的な最終学歴が「中卒」みたいになってしまうわけですよね……もちろん芸能界では昔からあることで今に始まったことではありません。芸能界では普通のことなんでしょう。ジャニーズだって他の芸能事務所だって似たようなものだと思いますし。

ただジャニーズみたく長く所属して活躍できるならともかく、AKB48を始点とした「多人数所属」「随時入れ替わり」スタイルのアイドルグループってメンバーの多くは20代初めから半ばぐらいで「卒業」していきます。人によってはそこで引退して芸能活動を止める人もいる。そうなったとき、彼女らのセカンドキャリアはどうなってしまうんだろう?と。



スポーツの場合

こうした芸能界と似たような仕組みはスポーツにもあります。特にメジャーなスポーツであればあるほど若くから競技に集中することになって、最終学歴は高卒だけど高校では勉強はほとんどしてなかった、中学だって怪しいみたいな人は普通に存在しています。例えばカズだって、最終学歴は静岡学園中退ですけど学校では授業中もグラウンドでボール蹴ってて授業を受けてなかったという有名な話が地元にはあります(地元の噂なので真偽は知りませんけど)。そのままサッカー選手として成功したから良いけれど、もし社会に戻ってくるとなったときにきちんとした職に就けたかどうか。まあ実家のもんじゃ焼き屋を継いでたのかも知れませんが。

ただスポーツの場合は芸能界に比べるとセカンドキャリアに対する意識が強く、学業を支援したりセカンドキャリアのためのサポートがあったりといったことがあります。例えばスペイン・FCバルセロナの育成組織「カンテラ」だとこんな感じです。



カンテラ(FCバルセロナの育成組織)

バルサのカンテラ育成哲学で特筆すべきなのは、ラ・マシアが勉学も含めた人間形成の場であり、一流のスポーツ選手であると同時に、一人前の大人にならなければならない、というものです。

よってマシアに入寮した少年たちは、フットボルの練習だけではなく、勉強にも励みます。
学業が疎かになり、進級できなければ、退寮。無断外泊など、規則違反をしても退寮。
トップ選手として成功するのはほんの一握りであり、それ以外の子供たちが社会で立派に生活していける道を、ラ・マシアは開いているのです。

クラブの宝、カンテラ | BlauGrana


僕が思っているのはこういうことなんですよね。アイドルグループ卒業後に女優であったりタレントであったりアナウンサー、モデルなどなどで活躍できる人もいるけれど、多くの人はそうじゃありません。身の回りに芸能界で育った人がいないので、そこでの経験がアイドルを引退して普通の社会人として社会に出てからどれぐらい役に立つのかよくわかりませんが、その間になんらかのアクションが必要だと思うんですよね。普通の人が経験してきたことが10年分ぐらいないので。

個人的に15歳でグループに入れてアイドルとして活動させる大人の側には、カンテラのような意識が必要なんじゃないかと思うんです。堀越高校のトレイトコース(いわゆる芸能コース)みたいな感じ?乃木坂46の場合大学生のメンバーもいますし、元メンバーの中には活動しながら大学受験した人や加入時に既に社会人だった人もいます。乃木坂46はじめ各アイドルグループがどういう対応をしているのか僕にはわかりませんし(既に色んな活動がされているのかも知れませんが)、若くして大人の中で活動して行く彼女らにさらに重荷を背負わせることになるのかもしれないのはいい事かどうか判断が付きませんが、「本人の強い意志で大学生と両立」みたいなのが(メンバーやスタッフや事務所がサポートする形で)ナチュラルに志向できるようになったらいいのになと、「15歳で加入」みたいな話を聞くたびにほんのり思うのです。



卒業していく元アイドル達に、幸せな人生が待っていますように。