未完成のものを見るのは楽しい

イタリアンシェフ14
4/8を最終出勤日として飲食店を移籍しました。前の店を辞めた理由はいくつかあるんですけど、理由の1つに店および会社の硬直化がありました。店の規模は大きくないのに経営に参加するプレイヤーが多すぎてものごとの決定に時間がかかり、そして散々会議した結果、無難な決着に収まるその過程がなんともだるかったです。会議の意味あんの。個人的には飲食の現場で勉強出来れば十分ではあったのですけど、人手不足のピークタイム中、キッチンに直接電話掛けてきて料理長を30分も引っこ抜いていく役員とか、ホント死ねば良いのにと思ってました。だる過ぎ。




そんなこんなで職場が変わったわけですけど、今の店や会社が素晴らしいか?と言われると必ずしもそうではありません。オーナーは良い意味でもそうではない意味でもワンマンだし、店は出来てからまだ1年も経ってないし、1年も経ってないのにオープニングスタッフが1人しかいないという有様だし、現在は年明けに入社した店長を中心として店を良い方向に変えていこうとしているところ。未完成な感じは否めない。でもねえ、それがいいんですよね。


なんですかね?


今後、例えば1年で今の店が超人気店に成長するかどうかはよくわかりませんが、僕の目から見て伸びしろしかないように見えます。店長も採用するかしないかは別にして色んな人の意見を聞いてフラットに考えている段階だから、大抵のアイディアに対して前向きだし、今現在の経営が順調とは言いがたいけれど、逆に言えば何でも出来る。そうなんですよ、やっぱりね、ものってのは作ってる最中が一番楽しいんです。

まあこの店自体は、1年前に1回完成したはずだったけど、新型コロナウイルスの影響やら人間関係による崩壊やらあって1回上手く行かなくなった状態なので、必ずしも「作ってる最中」ではないかも知れないけれど、結果的には同じです。この未完成な状態がいい。



今現在の課題は何か?と言うと、どうやって超人気店になるかということではなくて、店長以外のスタッフが若干「硬直病」に掛かりつつあることですかね。「状況が悪いから何もしないで耐える」という思考は、確かにリスクを取らなくて済むけれど、状況が好転したときのリスタートが遅れてしまいます。状況が悪いからこそ、小さい単位で出来るだけ多くのことを試すべき。何やったって失敗する状況、だったら失敗するなら今しかないんですよ。たくさんの試行の中から1つ正解が見つかれば十分です。上手く行ってない店に「この店はこういう店だから」なんておこがましいと思うんですよねー。

店長は大変そうだけど、近い将来、他のスタッフも納得して常に新しいことを試していけるようなそんな環境になることを願ってます。たぶんそうなるとは思うんですけどね。そうなった段階で今、料理長代理的なポジションにいる人が辞めなければ良いけど……それはわかんないなー。彼の能力は、常に新しいことを試せる環境でこそ活かされると思っているんですけどね。


未完成っていうだけで希望が持てるなあ、最近はそんなことを思っています。

将来のことを思い描きながら未完成のものを見るのは、とにかく楽しい。