この投資に関連し、韓国の検察は今月9日、資金を運用していた会社と投資先の会社の代表2人について、横領などの疑いで逮捕状を請求していました。これに対して裁判所は11日夜、逮捕状の請求をいずれも棄却したことを明らかにしました。
韓国 チョ法相の投資疑惑 資金運用会社2人の逮捕状請求を棄却 | NHKニュース
その理由について、「この2人が事実関係をおおむね認め、関連する証拠が押収されていることなどから、現段階では拘束の必要性を認めがたい」と説明しています。
どこがまともかっていうと、逮捕状請求が妥当かどうかを判断しているところ。相手が閣僚の関係者ではなく普通の民間人に対する逮捕状でもここまで丁寧に判断するのかどうなのかまでは知りませんが、日本の場合こんな感じです。
平成27年度に、裁判所は逮捕令状を100,880出しています。 一方、却下数はたった62です。 【却下/発布=0.0006%】ですから、逮捕状却下の結論をもらうのは、万馬券をあてるより難しそうです。
令状審査の「実態」 | 南山法律事務所
逮捕状を請求するのは、基本的に警察です。警察は様々な捜査をして、それを「書類」にまとめて裁判所に出します。裁判官は、その書類だけを見て、逮捕状を出すか出さないかを決めます。逮捕発布の対象である「被疑者」から事情を聞くことは、もちろんありません。先日、韓国の前大統領が、逮捕状発布前に裁判所から事情を聞かれていたのには驚かされました。日本では、まずあり得ない出来事だからです。
上記の統計のとおり、よっぽどのことがない限り、裁判官は逮捕状を出しています。 少し疑問をもつと、裁判官は警察に電話をして、こういう点について判断がつかないので発布できないでいることを知らせます。つまり事実上、証拠を追加で出すようにというやりとりがされています。取下数が1,373にも及んでいるのは、こういうやりとりがあるからです。
逮捕状を請求して却下される割合は0.0006%だということなので、まあほぼほぼ100%に近い確率で逮捕状は出ています。まあ、ぶっちゃけ制度自体無意味ですよねー。裁判所が介在している意味とは。
定義と運用がズレてるんだよな
韓国みたいに裁判所が捜査の内容に踏み込んでいくのが良いのか悪いのか僕には判断が付きませんが、もし、「逮捕状の妥当性を裁判所が判断する」という要件通りに運用するなら、韓国みたいなことになるよねとは思います。そもそも逮捕は、
逮捕は、捜査機関または私人が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為である。
逮捕 – Wikipedia
という定義がされているわけなので、
「この2人が事実関係をおおむね認め、関連する証拠が押収されていることなどから、現段階では拘束の必要性を認めがたい」
という説明も妥当だと感じられます。犯罪を犯したら逮捕されるって僕らは考えがちだけど、犯罪を犯したら罰則が科されるというのはあったとしても、そのことと逮捕とは関係ないんですよね。逮捕は罰則の一部ではないんで。
国によって諸事情あり(人員の問題とかね)どっちが良いという話ではないのですけど、韓国が珍しくまともに見えたので書いてみました。このへん日本では改革とかされないんですかねえ。明らかにバグってると思うんですけどねえ。