パソコンの寿命って普通の人が思っているよりもずっと短いんですけど、縁遠い人に限って「大事に使えば永遠に生きる」みたいに思っていてクレームの原因になりがち。「うちの洗濯機はもう15年使ってる!」と言われても、シンプルな「機械」である洗濯機に比べてパソコンは電子機器だから仕方ないんですよ。消耗するパーツもたくさんありますしね。
ノートパソコンの寿命は大体5年
ノートパソコンの寿命は5年って本当?寿命を10年に延ばしたい人に
ノートパソコンの寿命は大体5年と言われていますが、3年を過ぎると徐々に故障が増えてきます。 これは、ノートパソコンの核となるHDDなどのストレージが劣化することによるものです。
こちらのサイトでノートパソコンの寿命に関する解説がありますが、まあだいたいこんな感じですよね。寿命の根拠は各パーツが消耗するまでの期間です。経験上一番壊れやすいのがバッテリー、次が液晶、次いでファン、HDD、マザーボードぐらいの順でしょうか。モデルによって差はあるとは思いますが、満充電出来なくなってきたバッテリーを騙し騙し使っているうちにパソコンが熱くなって落ちたり(ファンやHDDの故障)、異常に重くなったり(HDDの問題か、技術の進歩にスペックが付いていけなくなったか)して寿命を感じるというのが一般的でしょう。もちろん5年と言わず10年も20年も壊れずに使える方がいいとは思いますが、あの小さい薄っぺらい箱にすごい量の機械を詰め込んでるわけですから……なかなか難しい。
それにノートパソコンが手に入りやすくなったのなんてここ20年ぐらいのことですよね。技術者だけでなく一般の人が普通に持つようになったのはここ10年ぐらいかな。そういう意味ではまだまだ発展途上だから、5年前の設計が古くなるのなんて当たり前なんですよ。洗濯機みたいに製品として成熟していれば、追加される機能は洗濯そのものとは別の役割のものばかりみたいなこともあるでしょうが、ノートPCはそうじゃない。
この10年でのスペック比較
東芝DynaBookのスタンダードノートパソコンを例にとって見てみると、2010年春モデルのスペック(ハイエンドモデルであるTX)は、CPU2.13GHz、メモリ4GB、HDD500GB、液晶16型、重量3kg、バッテリー駆動1.2時間で実売16万円。高品質ノート dynabook TXシリーズ トップページ
dynabookの主力機が基本システムを一新――「dynabook TX」 – ITmedia PC USER
一方の2019年春のハイエンドモデル(dynabook T9)はCPU最大4.60GHz、メモリ16GB、SSD128GB+HDD1TB、液晶15.6型、重量2.4kg、バッテリー駆動9時間で実売22万円。
T9・T7シリーズ|dynabook(ダイナブック公式)
Dynabook、15.6型プレミアムノート「dynabook T7/T9」など店頭向け2019年夏モデル6機種を投入 – ITmedia PC USER
詳しくない人にもわかりやすい部分で言うと、バッテリー駆動が全然違いますね。昔よりも高性能になって電気を使うようになったはずが、駆動時間が飛躍的に伸びてる。CPUやメモリの数字を見ても、性能が何倍かになっているのがわかります。ノートPCって壊れなくても何年か経てば「相対的に」性能が落ちるんですよ。ネットやアプリケーションは、最新のスペックを基準に設計されるので、相対的であっても実際に動作が遅くなったりもする。電子機器ってそういうもんなので、もう仕方ないんですよね……洗濯物なら、たかだか10年で内容が劇的に変わったりしないんですけどね。服が金属製になるとかさ。
というわけで
購入前に「5年を目途に買い換えよう」とあらかじめ考えて購入してください。それは高いPCを買っても、安いPCを買っても同じです。高い方がスペックに余裕がある分、「相対的な性能劣化」を感じるまで猶予があるかも知れません(つまり故障が原因ではない寿命が延びる)。そして5年経って不自由を感じてきたら、買い換えを検討する。そうですねえ、車みたいなもんですね。昼間働いている会社では、7年前のWindows7 PCに重要なアプリケーションを入れて動かしていて、しかもすごい熱く遅くなっててハラハラして見ていますが、「今使えてるから使い続ける」ってのは現場の素直な意識ですよね。出来れば何は無くても定期的に交換してあげて欲しいんですが……もしもっと成熟してこれ以上大きな変革はないという状況になれば、パーツを交換しながら何年も使えるノートパソコンも出てくるかも知れません。デスクトップは今既に割とそういうところがあります。でもノートPCはまだまだ難しいかなあ。むしろますます素人には開けられない機械になりつつあるしなあ。