Googleバス問題の簡単なまとめ

Googleバスへの抗議運動がカラフルになった | TechCrunch Japan

オー、サンフランシスコ。

低所得若年層の公共交通機関利用を無料化するために680万ドルを補助することにGoogleが同意してからわずか1ヵ月後、活動家たちは再び出動した。彼らは、IT通勤者用シャトルバス運用のパイロットプログラムを、環境レビューの対象とするか否かの市民投票に先立ち、抗議活動を行った。

活動家らは24番街とバレンシア通りの角で、今回はバウンスボールとカラフルな出立ちでバスを封鎖した。彼らの市への要求は、プライベートシャトルバスの公共バスゾーン利用禁止(ただし労働者が乗降するための代替地は提案せず)、運賃値上げ中止、公共交通の全市民への無料提供、および無過失立ち退きの中止だ。



この記事を読んで、サンフランシスコで何か問題が起きているらしいことはわかったのだけど、なんで活動家が出動したりGoogleが訴えられそうになっているのか、3回読んでもちっともわからなかったので軽く調べてみた。




この問題の背景

「グーグルが運営する通勤バス」をめぐるさまざまな問題 « WIRED.jp

グーグルは現在、通称「グーグルバス」を運営している。本社のあるマウンテンヴューとサンフランシスコを結んで社員たちを運ぶ乗り心地のよいバスだ。

グーグルで通勤関連の業務を担当するアンナ・ワルターによれば、同社は現在100台のバスを所有しており、ベイエリアの7つの郡から、1日に約5,000人がこのバスを利用しているという。この数は、グーグルのメインキャンパスで働く従業員総数の1/4を越えている。

(中略)

一方でこのバスは、経済格差による対立や、ジェントリフィケーション(比較的貧困な層が多く住む地域に、豊かな人々が流入する人口移動現象。家賃相場が上がる等の問題が生じる)の象徴にもなっている。

サンフランシスコでグーグルのバスが争点になっているのは、バスの運営によって、稼ぎのよいグーグル従業員が、好きな場所から通勤することが簡単になったからだ。バスが運営されたことで、グーグル従業員が会社近くのひとつの地区に集中せず、流動するようになった。これにより、特にバス停近くの家賃が上昇しているのだ。



問題の背景はこういうことらしい。


  1. Google従業員の通勤のためにGoogleはシャトルバスを運行している
  2. シャトルバスがあまりに便利なため従業員は本社近くに住む必要が無くなり、サンフランシスコ全体に広く分布するようになった
  3. その影響でこれまで家賃が安かった地域の、特にバス停周辺の家賃が上昇し、貧困層の生活を圧迫している
  4. 活動家がバスの運行に反対


なるほどね。

二酸化炭素排出量の削減などを目的として「良かれ」と思って自費を投じて行ってることなので、「それで家賃が上がって迷惑してる」ってなんか「言いがかり」みたいなもんだけど、でも実際、貧しい住民にとっては死活問題なのかもしれん。
(でも「地域」が変遷していくだけではないのという気もするのだけど……土地はあるのだし)



サンフランシスコ市の規制案

シャトルバスを運行しているのは実はGoogleだけではないということで、サンフランシスコ市としてはこういう決定に。


サンフランシスコ市交通局、Googleなどの社員バス規制案を可決 – ITmedia ニュース

これを受け、エド・リー市長は6日に、無料シャトルバスを運行するGenentech、Google、Apple、Facebook、Bauerらとともに合意した規制案(リンク先はPDF)を発表した。

 この規制案は、無料シャトルバスの市の交通への影響を最小限にすることが目的で、無料シャトルバスが市の停留所に1回停車するごとに1ドルを徴収することなどが含まれる。まずは7月から18カ月、パイロットプログラムとして実施する計画だ。



あー、一流企業はみんなやってんのか。そりゃなんかもう殆ど公共交通機関ですねえ。家賃への影響もそうだけど、なんらかのルール作りは必要なんじゃないのかな。交通的な意味で。まあもちろん、活動家としては「バスの運行が止まるわけじゃない」と言うことで反対。


さらにGoogleは「低所得若年層の公共交通機関利用を無料化するために680万ドルを補助することにGoogleが同意」てことで、さらに資金を拠出して貧困層への援助も。


Google、サンフランシスコ市交通局に680万ドル寄付──社員バス問題緩和目的か – ITmedia エンタープライズ

米Googleが、サンフランシスコ市交通局(SFMTA)の低所得世帯児童のための無料バスプログラムに680万ドル(約7億円)を寄付した。エド・リー市長が2月27日(現地時間)に発表した。

 SFMTAが2013年3月1日に立ち上げた「Free Muni for Low Income Youth」と名付けられたこのプログラムは、低所得世帯の5~17歳を対象に、SFMTAの交通機関を無料にするというもの。3万1000人以上の子どもたちが無料で公共交通機関を利用できる。



これは先に活動家が掲げた「公共交通の全市民への無料提供」に繋がるものだと思うんだけど、やっぱり活動家は反対。とにかく運行を止めさせたいみたい。なので、環境レビューから免除されそう(=新計画にゴーサインが出そう)な今のタイミングで再び抗議活動を活発化させると。

んー。なるほど。わかったような。



それにしても

社員のために公共交通機関(的な大規模なシャトルバス)を用意するとか、スケールが違うなあ……ただ単にお金をつぎ込んでるということじゃなく、環境的にも交通費的にも福利厚生的にもそれが一番合理的だったからやってるんでしょうけど。すごいな。


でも……富裕層が乗り込んだバスが、次から次へと家の前の道路を通る、それに対して不満を感じる、そういう心境もわからないでもないです。格差社会というか階級社会というか。抗議のやり方、それで良いのかという気もしますけど、Googleがどうこうではなく社会問題ですもんね、帰着するところは。

あと、環境系の活動家の人がどう評価してるのかも気になります。