以下は「レッツダンス署名推進委員会」からの抜粋です。
Let’s DANCE | レッツダンス署名推進委員会 風営法からダンスの項目削除を求めます。
「ダンス」が法律で規制されているってご存じですか?
現在の日本では、営業目的で「ダンス」をさせることが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)という法律で規制されています。ダンスが許可制になり、さまざまな条件が設けられています。同法は、「風俗営業」を対象に、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持」することを目的にしています。
しかし、ダンスをすることが、風俗や環境を乱すというのでしょうか。
率直に言いましょう。
『「ダンス」が法律で規制されている』というのは誇張表現であり事実と異なります。「ダンス」は法律で規制されていません。本文中で『営業目的で「ダンス」をさせることが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)という法律で規制されています』という言い回しになっている通り、規制されているのは、
- ダンスをさせることを目的に店舗を営業すること
であり、
- ダンスをすること
ではありません。
些末なことだと思いますか?僕はそうは思いません。このことは活動全体に漂う「ちょっとした誤魔化し」を象徴していることだからです。こうしたちょっとした言い換えを少しずつ継いでいることが、僕にとってはもの凄く気になるのです。そんな接ぎ木をしていったら結論が本線からずれてしまわないかと。
微妙ですがよく考えてみてください。
多くの人に知って貰うためには多少の誇張表現は許されるでしょう。でも…
この「誇張表現」については以前から気付いてはいました。でも、言いたいことは大体合っているし、ここでいう「ダンス」というのは「踊る」という表現では無くて主に「クラブミュージックに合わせてリズムを取る」と言うことだと解釈していたので、受け入れられやすい言い回しとして「ダンス」という用語を選択するのは許容範囲内だと思っていました。いわゆる「踊る」意味でのダンスと混同して使うことは無いだろうと。ところが先日Twitterのタイムラインを眺めていたらば、そこのところをはき違えてる人が少なからずいるらしいことに気付きました。自分のTLには直接出てこないので知りませんでしたが、なんだかとてもおかしな事になっているようです。直接は知らない人のツイートなので掲載は控えますが、友人がRTしたツイートはだいたいこんな趣旨のツイートでした。
- ダンスを授業で教える一方でダンスを規制するとかこの国はどうなってるんだ
- もう30万人くらいで踊って全員逮捕されてみたら良いんだ
普通の人であれば知っていることだと思いますけれど、ダンスをしたことで逮捕されることはありません。仮に深夜2時に営業中のクラブに警察が踏み込んだとして逮捕者が出たとしても、それはクラブを営業した人間が逮捕されるのであって、客がダンスをしたことを理由に逮捕されることにはなりません。路上で踊っていた場合には騒音に対する迷惑防止条例などを理由に逮捕されることはあり得ますが、ダンスをしていたことを理由に逮捕されることはありません。
ですから例え30万人で踊ったとしても道路交通法などの許可が下りていれば誰も逮捕されませんし、30万人を収容可能な建物がありクラブ営業が風営法の規制下にあったとしても、逮捕されるのはイベントの主催の何人かだけです。
大事なことなのでもう一回書きますよ。
ダンスすることは規制されていません。
規制されているのはダンスを目的とした店舗の運営です。間接的にダンスパーティも規制されていると言えるでしょう。法律の監視下に置かれ0時以降(地域によっては1時以降)の営業が禁止されているなんて鬱陶しいにもほどがありますが、ともあれダンスをすることは規制されていません。深夜2時に路上でダンスをしていた場合、不審に思われて職務質問を受けることはあるかも知れませんが、迷惑防止条例などに引っかからない限り、ダンスをしていたことを理由に逮捕されることはありません。そういう法律じゃ無いんですよ。ゲームセンターは風営法で営業が規制されていますが、ゲームをすることは特に規制されていません。それと同じ事です。
学校でダンスを教えることになったからどうだというのでしょうか。いつ、どこで、どのようにダンスをしても、ダンスをしたという理由では逮捕されることはありません。学校で習ったダンスを披露する場はいくらもありますし24時間自由に楽しむことが出来ます。ただ店舗の深夜営業が規制されていることを理由に「ダンスによる表現の自由が侵されている」と主張できるでしょうか?本当に?
これは、店舗営業の論理を人間の権利や文化の話にすり替えること
みんな、薄々感づいているんだとは思います。クラブの深夜営業の問題を「ダンス」という文化に「すり替えること」の違和感を。でもその違和感は単に解釈の問題かも知れません。そんな解釈の話よりも、眼前に広がる風営法の規制による影響の方が大きいから、細かいことには目をつぶって懸命に運動しているんだと。身近なことを話題にすれば一般の人たちにも興味を持って貰えるはずだからと。ほとんどの人はそうであろうと僕は信じています。でも実際には「ダンスが法律で規制されている」と誤解する人間を生みだしてしまっています。元々クラブの深夜営業から始まった話なのに、そこまで風呂敷を広げてしまうのは少しやり過ぎだと思いませんか。ダンスの重要性を説くことが、クラブの深夜営業の説得力を上げることだと、本気で考えているのですか。この件について署名を求める際に「このままでは自由に踊ることさえ出来なくなる」「盆踊りも無くなる」などと言うのは、現状とは反していますよ。そういうことを一般的に「扇動」や「FUD」や「ミスリード」と呼ぶのです。
僕にはそういう人たちの言っていることがよく分かりません。
僕はダンスの表現の自由なんか知ったこっちゃありませんが(今だって十分に自由に活動しているじゃ無いですか)、クラブの深夜営業は勝ち取りたいと思っています。それはクラブを深夜に営業することが治安を悪化させているわけでは無いし、風営法などと言う大物を持ってこずとも迷惑防止条例(騒音)などで十分に対処できると考えているからです。本来の目的である「踊り子による売買春」が現実として存在しない以上、風営法の適用を外すのは至極当然のことでは無いですか。
クラブの深夜営業を勝ち取るために僕たちがすべきことは
細かいことを言うなよクソが、といわれるのでしょうけれど、自分たちの運動がどのように見られているかをそろそろ実感している頃ではないでしょうか。一言で言って「大事なことだけど何か胡散臭い」。主催者を明記しないサイトで署名を集めることに始まり、事実を誇張したり事実で無いことを説得の材料として用いたりすることは、運動として誠実さを欠いているのではないでしょうか。『「ダンス」が法律で規制されている』というキャッチフレーズは確かにわかりやすいです。でも事実とは異なります。読んだ人間が「うーん?ちょっとどうなのそれ」といって署名を躊躇してしまうような標語を、大事な運動に掲げるべきでしょうか。
好みの問題かもしれませんが、クラブに興味が無い人たちなど関係が薄い人たちに対して「表現の自由」「憲法で保障された」といった言葉を出して「無関係では無いのですよ!」と煽るやり口も僕は好きではありません。その運動に参画するのも好きではありません。主張には明確な筋が通っていて欲しい。
僕たちが主張すべきことは「ダンス」の重要性なんかではありません。風営法によってクラブを弾圧することの無意味さと、クラブの健全性、それだけで十分じゃないですか。なぜ事実でないことや、「人権」「憲法」といったイデオロギーを併記して運動を行おうとするのですか。そんなことは全然必要ないじゃないですか。
もっと問題の本質を、直面している現実を、大事にして欲しいと思います。