お葬式の雑学 (扶桑社新書)お葬式の雑学 (扶桑社新書)

扶桑社 2009-10-30
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どこで見かけたかは失念してしまったのだけど、同居人に紹介記事を教えてもらって、嫌正確に言うと同居人が紹介記事を読んでいるのを聞いて、それだけで面白そうで欲しくなってしまったので購入。感想は...これ、めちゃくちゃ面白いね。
内容は表題から推察できるとおり、全国のお葬式の様々な習慣の違いを紹介している本。また葬式における正しいマナーや、その由来を、宗教、歴史、社会生活の変遷などをキーに考察を加えながら詳しく解説してくれている。


例えば...

  • 火葬をしてからお葬式を行う地域がある

僕は静岡出身なのだけど、葬式って言えば、「通夜→葬式→出棺→火葬→納骨→...」っていう流れ以外にないと思ってたよ。でも、東北地方は雪でお葬式が出せないから、船乗りの多い地域では次に帰ってくるまでお葬式が出来ないから、遺体保存のためにまず火葬しておいてそれから葬式を行うと言われると、なるほど納得できる。


  • 葬式の時に赤白水引の香典を出す地域がある

色が逆転しているのかと思いきや、これは「ついに機会が無くてお見舞いに行けなくてごめんなさい、これはお見舞いの代わりです」という意味らしい。お葬式のお悔やみとは別に、お見舞いだから赤白で良いんだそうだ。これそんな習慣無かった面食らうよな...



その他にもマナーとして、

  • 実は通夜は平服で行くのが正しい(取るものもとりあえずという意味で)

とか、

  • お葬式で正装しても遺族より立派な格好をしてはいけない(遺族が簡易喪服(黒のスーツなど)で参列者がモーニングではいけない)

とか、なんかもう色々と。

「御霊前」「御仏前」の違いも知らなかったよ...人生でそう何度も何度もあることじゃないからなぁ。



ただ本書は単なる「常識紹介本」とはちょっと違う。そうではなくて「葬儀」という文化に関する"フィールドワーク"をまとめ上げたような本。だから前述のマナーにしても「こうするのが通例になっている」「この宗教ではこうする」としつつも、「大切なのは気持ち」「習慣が違うところでは間違えて当然なのだから気にしすぎない」などと、違うことを受け入れつつ本質的には何が大事かもきっちりフォローしてくれてる。もちろん違いが生じた背景についても、宗教上の戒律や、歴史的な経緯などを含めながらきちんと説明してくれているので受け入れやすい。ていうか普通に面白い。「雑学」で片付けてしまうのは少しもったいないほど。


葬式の話は通常あんまりおおっぴらにはしないし、だからあまり平準化することなく独自性が保たれてきたのかもね。それも「独自性を守ろう」とかいうことじゃなくてなんとなく自然とその様式じゃないと気持ちが悪いって言うかなんかそんな感じの。そういうのはもうなんか理屈じゃないもんね。地域性とか個人との関係とかいろいろあるから。ただ「平準化して独自性が無くなっていくのは寂しいけれども、もともとは独自性から始まってるわけではないから、またその流れの中で新しい葬式の形が生まれて、新しい文化が生まれていくのでしょう」という感じの筆者のスタンスは、なんか良いな、と思った。なんか、大事なことは何なのよ?ってところをきちんとふまえていて、知識優先になっていないところが凄く好感もてるなと。




葬式は故人を送り出す場であり、かつ遺族にとっては気持ちに区切りを付けるための儀式の場。本書の冒頭に「忌野清志郎 AOYAMA ROCK'N ROLL SHOW」について書かれていたけど、全くその通りだよね。出来ればなるべく出席したくないのは変わらないけれども、もし次出席することがあっても、少しは楽な気持ちで故人への感謝の気持ちを表せるかもなぁ。