近藤 史恵『サクリファイス』を読んだっす。

4103052511サクリファイス
近藤 史恵
新潮社 2007-08

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ジャンルで言うと、ミステリになるんだろうけども、
舞台が日本ではそれほどメジャーではない、自転車ロードレース競技なので、
そのあたりの環境描写が緻密で、ある意味でスポーツ・ノン・フィクションでもあるかなと。


メトロ大學で見た野寺選手を思い出したりとか。

野寺秀徳とは - はてなダイアリー

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チーム内で起きた“事故”を軸に主人公の成長を描いていくのだけど、
スポーツ競技での事故にはよくあることながら、
全てが記録され証拠があっても、それが事故ではなく事件であるとされるのは難しい。
そうなるためには、動機や意図が証明され、
場合によっては競技者本人による告白が必要で、結局は噂の領域を出ることはあまりなく。

本書が最高に面白いのは、その動機の部分と、
自転車ロードレースという競技における競技者の複雑な心理を上手く絡ませて。
しかもそれが、『競技紹介』的な説明調でなはない、
小説としてナチュラルな方法で読ませているからだと。
それはやはり、著者の巧さだろうなぁ。


自転車ロードレースに興味が無い人は取っつきにくいかもしれないけれど、
競技のことを全く知らなくても、読み進める内に競技のこともわかってくるし、
ミステリとして楽しめるかなぁと思います。