映画を見た。
『REMEMBER THE TITANS(タイタンズを忘れない)』

まだ人種差別が色濃く残る1970年代のアメリカ。ヴァージニア州アレキサンドリアの町では、人種融和政策によって白人の高校と黒人の高校が統合され、白人・黒人混成のフットボールチーム「タイタンズ」が誕生した。ヘッドコーチに就任した黒人コーチ(デンゼル・ワシントン)は、白人選手と黒人選手がいがみあうチームをまとめ、偏見や嫌がらせと闘いながら、彼らを“最強のチーム”へと導いてゆく。
実話の映画化であり、登場人物もほとんどが実在の人物である。

正直に言うと、スポーツ映画としてみた場合、
アメフトが分からない人にはよく分からないと思う。
最後の場面、コーチの指示は、
いわゆるスペシャルプレーで、QBを2枚入れた上で、リバースフェイクからピッチしてラン。
残り時間が少なく、ディープに守りがちなディフェンスの隙をついた、見事な作戦だった。

しかし、この映画はただそれだけではない、
もっとも大きな主題は、1970年代のアメリカで根強く残る、白人x黒人の人種差別。
人種差別というのは、日本人からすると本当に遠い遠い問題…
嫌悪感を表す人や、差別的な発言をする人もいることはいるけど、
隣にいたくない、握手もしたくない、会話なんてまっぴら…そこまでの敵意はこの国にはない。
それに対してまず、『アメリカンフットボール』というチームの中で壁を乗り越え、
徐々に、学校に、街に広がっていく、
でも平坦ではない、
元来、アメフトというのは、白人のスポーツとして生まれた。
チーム内では一つになっていても、周りはそうではない、
その温度差に戸惑う選手達、コーチ。

白人に、黒人を理解しろ、と訴えるのではなく、その逆でもなく、
お互いがお互いを知ることが重要なんだ、と。
たとえ嫌いでも、相手を認めろ、そうすれば見えてくるものがある。
人種差別が無いが故に曖昧になってはいるけれど、
この国の僕らにだって当てはまるメッセージだったと思う。

この映画、いや実話だから、このエピソード、は、
実はアメリカの放送局や、アメフトの放送などでたまに伝えられるエピソードだ。
人種問題がクローズアップされるような事件がおきたとき、
人種を超えて結束しなければならないとき、
REMEMBER…と持ち出されるような。


個人的には、アメフトの描写もしっかりしていて良かった。
いかにも、アメリカ的、という感じだ。
1970年だから、高校のアメフトが、
ショットガン(ディフェンスコーチが『NYジェッツか…?』と呟いてるから、
1969年のジェッツが勝ったスーパーボウルで使われていたんだろうか?)に
対応できないのも当然だし、
決勝戦、身体能力の優れているRBを、ディフェンスラインに入れたり、
同じく身体能力の優れるQB(たびたびスウィープを決めている事からも分かる)を、LBで使ったり、
人材をやりくりする高校アメフト、という感じがしてなんとなく感慨深かった。
全米選抜に選ばれたLBを事故で欠いたら、ディフェンスの核を失ったも同然なのに、
それをチームで補っての勝利。
多分、これ以上の喜びはないと思う。
自分が良いプレーをしたら、他の選手におごる、そんなスポーツなのだから。


いろんな切り口があって、一口に言えない映画でしたが、
(なので、この映画のレビューはその人の持つ知識によって全く違う)
エンターテインメント的にも、ドキュメント的にも、スポーツ的にも、
非常に面白い映画でした。満足。
(敢えて言うと、深夜じゃない時間にやってください…眠い)