護憲を考える。

今日は、憲法記念日。 というわけで、憲法について『一般的日本人の雑感』を述べてみたい。 恐ろしく真面目な主題だが、出来るだけ短めに。 憲法の内容に素晴らしいところがある(例えば第9条)のは認める。 そういう意味で、僕は、再軍備など内容の変更を前提とした改憲主義者ではない。 でも、僕は護憲論者に問いたい。 果たして今の憲法は、『我々の憲法』だろうか?と。 『わたしたちの憲法』なんていう教本を昔手渡された記憶があるが、 果たして本当にそうなのか? 現在の憲法は、厳密には我々が作ったものではない。 (非常に省略して言うと)戦後、憲法の改正が指摘された際に、政府も改正案を作成した。 それがあまりに保守的であったため、GHQが介入、草案を作成し、 それに沿った形で日本政府が草案を作った、という経緯がある。 (『国立国会図書館 – 日本国憲法の誕生』に詳しい) つまり、現在の憲法の善し悪しはともかく(それに関してはここでは一切論じない) 我々日本人は、憲法草案を一から起草するという作業を、 戦後50年以上たった今でも放棄したままなのではないだろうか。 何かを作るという作業は、それがなんであれ、 多くの場合は、なんらかの『解体 – 再構築』を含むものになる。 ものを作る上で一番大事なのはそこで、作られたものが、結果それ以前と変わらなくても、 制作者には意味のある活動になる。 僕らはそれを奪われたまま、取り返すことを忘れていると思う。 それは、きっと、日本人が、日本人としてのアイデンティティに 自信を持てない理由の1つになっているはずだ。 巷で最近耳にする、 『中国も韓国も古い話を今さらだして来やがって』と言う言葉が、 空虚に、薄ら寒く聞こえるのも多分、その辺だ。 今の憲法を遵守することは大事かもしれない。 でも、改憲と聞けば第9条しか思い浮かべない、無能な人間ばかりでは話にならないのである。 憲法は、そんな単純な話じゃないはずだ。 全てを第9条に集約し、そこだけで憲法を語ろうとする一部の識者や政治家は、 果たして本当に憲法を大切にしているのだろうか。 憲法を考えると言っている奴らの話は単純化されすぎて聞くに堪えない。 それを聞くあなた、憲法を易しく見過ぎていないか? 僕はもっと、大事に考えたいと思う。

続きを読む

[NHK] 公共放送とは何か

毎日新聞のWEBに、公共放送に関するコラムが掲載されている。 筆者は、先日ここでも取り上げた受信料に関するコラムを、ITMediaに寄稿した西正氏である。

デジタル放送: 公共放送とは何か 改めて注目されるBBC
一連の不祥事に端を発したNHKの受信料不払いはまだおさまっていない。この中で公共放送の役割という本質的問題が問い直されざるを得なくなっている。その視点でもう一つの世界的な規模の公共放送である英国のBBCについて、改めて注目すべき時が来ている。そのあり方に学ぶべき所は学び、日本型を貫く所は貫き通すことが肝要である。放送のジャーナリズムを語る上で不可欠なことと言えよう。【西 正】>> 記事を読む

続きを読む

[NHK] 受信料をどうするのか。

ITMediaで西正氏が、受信料に関するコラムを書いていたので、 もう一度、受信料について確認しておきたいと思う。 ITmedia ライフスタイル:NHKの受信料制度についての1つの考え方 まずはじめに、受信料というのは、法律で支払いが義務づけられている料金であると言うこと。

放送法32条1項より抜粋
『協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。』
つまり、テレビもしくはそれに準ずる、何らかの受像機を購入したものは すべからく収める必要のある公共料金、なわけだ。 先日のMUTTERで、『それならテレビなんか捨てちゃってPCで見るよ…』なんて嘯いたが、 チューナーカード+モニターだって、十分に受信可能な設備であるわけで、 厳密に言えば、受信料の発生する環境であろう(薄々思っちゃいたが) ただし、この法律には罰則規定はなく、 現在のところ、そう決められているだけのこと。 また、2台目、3台目のテレビには受信料は掛からないことになっている。 実際に、NHKが運営を存続させていくためには、受信料を徴収しなくては行けない、 僕ら国民はすべからく受信料を納めなくてはならない、というのは理解できる。 しかしまぁ、それと自分が払うべきだと思うこととは同義ではなくて、 よくわからないままに、払えと言われて払わされるのは気分が悪い。 受け取るサービスもよくわからないのに。 前述のコラムの中で西氏は英国BBCの受信料徴収を例に挙げつつ、 しかし今さら受信料未払いに罰則規定を定めるのは無理があるし、 何らかの方法で、受信料を払わない人間は放送を見られない、 というようにはできないか、と述べている。 BBCの受信徴収方法というのは、このコラムを見て初めて知ったのだけど、 かなり極端な仕様になっている。 とにかく、払うことが義務。払わないものには、懲役または罰金刑。 テレビを買うときには、受信料を支払っているという証明書が必須。 初めて購入するときには支払申込書にサイン。 とにかく、テレビを持つことは、受信料を支払うことなわけである。 さすがにここまで徹底されると、従わざるを得ない。 消費税みたいなもんだ。 (ところで、イギリスではテレビ付携帯とかも受信料掛かるんだろうか? 携帯買うときにも、申込書にサインしなくちゃならんのだろうか?) これに代わる方法としてあげられているのが、スクランブルを掛ける、という方法だ。 WOWOWや、その他有料放送によくあるヤツで、 使用料を払うと、スクランブル解除用のキー(カードなど)が送られてきて、 試聴が可能になるっていうヤツだ。 まぁ確かに、受信料の支払いを拒否している人間のほとんどは、 何らかの形でNHKに触れる機会があるだろうから、モラル的にどうかという話ではある。 であるならば最初から、スクランブルを掛けてしまおうというのだが… それも1つの案ではあるけれども、個人的にはどうもしっくりこない。 何がしっくりこないかと言えば、スクランブルを掛け、受信者を限定することで、 NHKを商業放送の世界へ放り出すだけにならないか?ということだ。 NHKの特徴は良くも悪くも、視聴率やそれに伴って決まる予算を気にせずに、 自らの基準で番組を制作していけるところだと思う。 その特徴については西氏も認めてはいるが、それが可能であるためには… と言う部分について、少し技術先行になりすぎている嫌いがある。 まぁ、ITMediaの視点で切るわけだから、 何らかの技術に結びつかなければ行けないのだろうけれども。 前回も書いたが、結局一番良い方法は、諦めて税金を投入することだと思う。 これは、潰れかけの銀行に無駄金を使うこととは違う。 そうではなくて、国が徴収代行を行うということだ。 財源として、それ名義の税金を新規導入しても構わない(僕個人は) 実質的に国営放送なわけだし、別に構わないだろう。 出来る・出来ないは別にして、国から直接改善を促すことも出来る。 税金で有れば、使い方を明らかにする義務もより強くなるし、 国民の目は、払うことよりもどう使われるかに向くことになるだろう。 (現状、国民が使い方を見ているとは到底思えない…今のままでは単純に払いたくないだけだ) 西氏もコラム冒頭で指摘しているけれども… 一度払わなくなってしまった人が、再び支払うようになることはあまり期待できない。 当然、僕だって払わない。 どんなに素晴らしい番組を作っても、賞賛の形は決して出資ではないわけである。 それが、日本のテレビというものだし、仕方があるまい。

続きを読む

中国外交。

さすがである。 韓国政府には悪いが、役者が一枚も二枚も違う。 先刻からの中国における反日運動について、僕はずっとしっくりこないものを感じていた。 韓国における反日運動は、竹島条例制定に伴う、韓国の権利を侵害したという、 非常にわかりやすいきっかけがあった。 中国における反日運動も、根っこのところは同じ(日本の姿勢が気に入らない)なのだが、 きっかけがイマイチはっきりしない。 何故今なのか、という部分で、これと言って大きなことがあったわけでもない、 (問題の教科書は前回の検定にも合格しているわけだし) 主張していることは理解は出来るのだが、タイミングが理解できなかった。 運動に対する、政府の発言、行動ものらりくらり。 市長が反日を諫める発言をした後で、副市長が日本を批判する演説を行ったりと、技も豊富。 暴動を犯した犯人を一気に20人以上逮捕したかと思えば、 怪我人が出ても、私闘であって当局は関知しないと言ってみたり。 とにかく、加熱しすぎない程度に、できるだけ長く引っ張ろうという姿勢が見え隠れする。 中国と日本の利害関係で言うと、本来、歴史的歪曲なんてものは小さいはず何である。 むしろ、国威発揚のネタ程度のことであって、それを武器に対日本外交など行うはずもない。 大臣が問題発言をしたときに、警告を発して貸しを作る、それだけのことだ。 (その辺り、ひたすら感情的な韓国とは違う。むしろよっぽど怖い) だから、歴史問題だけで、反日運動を煽動するのは得策なわけがない、とすれば、 答えはただ一つ、これで日本にプレッシャーを掛けつつ、 なにか交渉を有利に持っていこうという戦略。 じゃ、直接的に利害関係が有るものと言えば何か? それは韓国と同じく領土(領海)問題、そしてアジアの盟主の地位。 領海問題は、石油油田の利害も絡む尖閣諸島の問題と、 先日『あれは島ではなく岩だ』と大臣が発言した、沖の鳥島の問題。 尖閣諸島に関しては、日本は中国と交渉を持とうと声を掛けてきたがなんのリアクションもなく、 仕方無しに日本独自の行動をとる、と宣言して試掘権を設定した。 でもそれは無視というか、試掘権を設定するのを待たれていたような気もする。 反日運動というカードを見せつつ、それを大々的に批判することになるだろう。 もしかしたら、同じレベルで、沖の鳥島に関しても批判を開始するかもしれない。 中国にとっての最大の目的が何であるかはよく分からない。 ただ、指摘する多くの問題は、もちろんそれ自体も大事ではあるが、 最悪、事態が好転しなくても中国にダメージはない。 でも与えるダメージはある、日本のネガティブなイメージを内外に示せるし、 中国の外交主導権を保持できる。 今日、中国外務省の報道『副』局長が、日本の試掘権設定に対して不満を示し、 共同開発をしたいなら応じる、中国はずっとそれを主張している、と表明した。 呼び掛けに答えなかったのは中国のハズなのだが、いつの間にか『自分勝手な主役』は交代していて、 協議の主導権も中国が握っているかのようだ。 これが、中国なんである。 このやり口を見れば、一連の韓国政府の対応、韓国マスコミの主張が 如何に幼稚であったかわかると思う。 あんなものは放っておけばよい。 でも中国を放っておくと、本気でヤバイことになる。 持ってるカードの数が、圧倒的に違うからだ。 さて、日本の官僚達は、この手練手管に長けた中国官僚達に対抗できるだろうか? 田中眞紀子がラジオで、『中国と仲良くできない小泉は頭が悪い』と言ったそうだが、 (田中家は角栄の代から親中派なんだし割り引いて聞く必要があると思う) 首相は頭が悪くたっていいのが、日本の政治システムだし、 優秀な人材は他にきちんと揃っているのだから、これは彼らの戦いである。 常任理事国入りなんて、はっきり言ってどうでもいい。 拒否権のない常任理事国なんて、目立つだけで金を払わされ、旨味なんか1つもない。 大事なことを見極めて、きちっと交渉してもらいたいと思う。 中国に美味しいところだけ持って行かれないように。 で、近い内に起きるだろう、中国のバブル崩壊に巻き込まれないように。 そろそろ、策士っぽく働いても良いんじゃないかい?

続きを読む