正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」
「フリーランス」として働く人が、安定的に働ける環境を整備するため、業務を委託する事業者に、業務内容や報酬をあらかじめ示すことなどを義務づける法律が、28日の参議院本会議で、全会一致で可決・成立しました。
フリーランスに報酬などあらかじめ示すこと義務づける法律成立 | NHK | 働き方改革
(中略)
今回の法律では、事業者に対し、委託する業務内容や報酬を書面などであらかじめ示すことや、業務を終えてから60日以内に報酬を支払うことを義務づけています。
また、不当な報酬の減額などを禁止していて、公正取引委員会などから出される是正を求める命令に違反した場合は、「50万円以下の罰金」を科すとしています。
さらに、ハラスメント対策のほか、育児や介護などとの両立への配慮も事業者に求めていて、違反した場合には勧告などの行政指導を行うなどとしています。
どんな内容なのか
国会に提出したのは内閣官房で、詳しい内容はこちらにあります。https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf
以下、抜き書きしてみます。
特定受託事業者に係る取引の適正化
- 給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければならない
- 業務終了後60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならない
- 以下の行為をしてはならない
- 一方的に受領を拒否する
- 一方的に報酬を減額する
- 一方的に返品する
- 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定める
- 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制する
- 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させる
- 一方的に内容を変更させ、又はやり直させる
こうしてみると色んな職種の「フリーランス」というか個人事業主、もっというと非正規雇用者の労働環境を整備出来るようになって、効力を発揮するならとても重要な法律だなあという印象です。例えばこういうやつは1発でアウトですよね。
『7時間15分で会社を辞めた話』 pic.twitter.com/UbX7c3j8Lz
— ZENZO|けもケ13 E07 (@zettdot) August 21, 2021
今回の法律が施行される前からこうした習慣は問題視されていました。ただこれまでは「裁判で訴えたら勝てるかも」ぐらいの話であって、直ちに違法というわけではなかったんですよね。
「会社が福利厚生の一環として、自社製品を割引価格で販売し、従業員に自社製品の購入を薦めること自体は問題ありません。
「店の服を買わないと働けない」アパレル店員が嘆く「自腹ルール」は法的に問題あり? – 弁護士ドットコム
しかし、会社は一般的に、従業員よりも強い立場にあります。会社がこの強い立場を利用して、従業員に対して自社製品等の購入を強制することは、問題です。
そうした場合は、公序良俗に反する商法として、従業員に対する不法行為が成立したり、売買契約自体が無効になる可能性があります」
それがフリーランスに関しては明確に違法になります。
美容師なんかもそうですけど、1人1人にお客さんが付く商売は社員っぽく見えて契約は個人事業主みたいなことがよくあるので、この法律によって救われる人は結構たくさんいるんじゃないかなと思います。そういう店の店長が法律を知っているかどうかはまた別の話になりますけど。
あとはフォローの仕組みがあれば
罰則規定についてはこう書かれています。公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができるものとする。
※ 命令違反及び検査拒否等に対し、50万円以下の罰金に処する。法人両罰規定あり。
通常の労働者であれば「労働基準監督署」という強力な味方がいるんですが、この法律ではそこが「公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣」となっていてちょっとふわっとしています。具体的に誰に相談に行けば良いの。資料にはこうも書かれているので、
今後整備する予定だけど今のところ未定って感じでしょうか。それで良いのって感じではありますが、法律はまだ成立しただけで施行は来年秋までに(公布から1年6ヶ月以内に施行日を決めるとなっている)ということなので、それまでになんとかするのかな。当面は厚生労働省が設置してくれている「フリーランス・トラブル110番」を利用するのが良いのかな。
早期の環境整備を期待しています。