日銀の金融緩和策終わりの始まり
日銀は20日、今の大規模な金融緩和策を修正して長期金利の変動幅の上限をこれまでの0.25%程度から0.5%程度に引き上げることを決めました。
日銀 大規模な金融緩和策を修正 日本経済への影響 焦点に | NHK
(中略)
円相場が円高方向に進めば、物価上昇に歯止めがかかり、家計や企業の負担が軽減されるという見方が出ている一方で、長期金利の上昇につながり、企業向けの融資の金利や住宅ローンの固定金利が上昇する可能性があるなどマイナスの影響も指摘されています。
このため日銀は、今回の修正が日本経済にどのような影響を及ぼすのかを見極めながら金融緩和を継続し、賃金の上昇を伴う2%の物価目標の実現を目指すとしています。
というわけで日銀が金融緩和策の修正を発表しました。といってもアメリカFRBがやってるみたいな「政策金利0.75%上げるぜ!」みたいなわかりやすい話ではないので、識者は「始まりましたね」みたいなリアクションである一方、素人の僕らは「えっ!これからどうなるの!?」みたいな軽いパニックが起きてるようです。
住宅ローンの比較サービスを提供している会社では一時、サーバーがダウンするほど、問い合わせが殺到しているといいます。
日銀“異次元緩和”転換…“住宅ローン借り換え”アクセス殺到でサーバーダウン
住宅ローン比較サービス「モゲチェック」・塩澤崇取締役:「日銀が金利0.25%を0.5%まで引き上げる発表があったと。これが変動金利にどういった影響があるのか、その見通しを教えて下さいと、そういった声も多く頂いています」
アクセスが殺到したのは、住宅ローンの借り換えに関する問い合わせです。
「変動金利を利用しているが、今のうちに固定金利に変えたほうがよいのか?」という相談もあるといいます。
住宅ローン金利に関しては以前書いた通り、
- 変動金利 → 政策金利が上がると上がる
- 固定金利 → 長期金利(国債の金利)が上がると上がる
となっているので、今回はまだ変動金利の方には影響が出ないのですがそれでも我々庶民にとってはバカにならない額の変動なので、焦る気持ちもわかる。でもまあ、まだ落ち着いてて良いんじゃないですかね……わからんけど。
それにしても一気に1ドル132円かよ
前回の記事を書いたのが10月でその時は1ドル147円だったんですよ。【ドル円】ついに1ドル147円になってしまいました (執筆時点で147円15銭)
そこから2ヶ月後にまさか15円も円高になるなんて誰が思うよ。思わないですよねえ……金融政策決定会合前の報道では「物価は上がりつつあるけどこのまま緩和策が続くぜ」みたいなこと言われてましたしね。
日銀はこの物価高はエネルギーなどの輸入価格の上昇が要因で、賃金の上昇などを伴った安定的な物価上昇ではないとしています。
日銀 きょうから金融政策決定会合 金融緩和継続を確認の見通し | NHK | 株価・為替
黒田総裁は、新型コロナの影響から回復しつつある日本経済を下支えし賃上げを後押しするため、大規模な金融緩和を続ける方針を繰り返し示していて、会合ではこうした方針が確認される見通しです。
これもある意味で黒田サプライズなのですかね。黒田さんは来年春までの任期で続投はされないそうなので必然的に引き継ぎが発生するんですが、それまでにやりづらい抵抗があるようなことはある程度やっておいて、次の人たちのための地ならしをしておこうということみたいな記事も読みました。本当かどうかはわかりませんけど、まあ、黒田日銀の幕引きとしては適切なのかなとは思います。
黒田日銀の10年は、結果的に言えば「何も変わらなかった10年だった」とも言えるし「悪化するのを必死に防いだ10年だった」とも言えると思うんですが、ここで出口戦略の先鞭を上手に付けられたら「後者だ」と言ってもいいのかも知れません。世界経済が減速する中で相対的に日本の状況がよくなりつつあるので、なんとかこのチャンスを逃さずに行って欲しいところです。
他の通貨はどうなってる?
ユーロ円
ポンド円
当たり前と言えば当たり前なんですけど、どちらもグググッと円高になってます。ヨーロッパは新型コロナウイルスとウクライナ戦争の影響で景気のいい話をさっぱり聞きませんが、W杯優勝もアルゼンチンに持って行かれてしまったし、最近どうなんでしょうね。
欧州中央銀行(ECB)政策当局者は2桁台のインフレ率を抑制すべく追加利上げの必要性を相次ぎ主張しており、これをトレーダーも注視している。
ECB利上げ観測加速、ピーク金利は来年7月までに3.5%と織り込む – Bloomberg
中銀会合の日付を対象としたスワップによれば、短期金融市場では中銀預金金利のピークについて来年7月までに3.5%と織り込まれている。これが現実となった場合、同金利は2001年以来の高水準となる。
日本が消費者物価指数3.7%の上昇でざわついてる中、ヨーロッパでは2桁のインフレの話をしてます。上昇量だけで3倍ぐらい。これはツラい。アメリカの金利上昇は落ち着いてきましたがヨーロッパの方はこれからがピークらしく、金利差や経済状況による円高圧力とどう関係してくるのか興味深いですね。どうなるんだろう。
タイバーツ円
今年こそ行きたいと思っているタイのバーツ円を見てみますと、さすがにこっちも円高になりつつはあります。ただそれでも影響は限定的でまだ1バーツ3.8円台。直近5年で見てもまだまだ円安で、以前ほどの割安感は難しいかも知れません。
まあでもそんなこと言ってたらいつまでも海外旅行出来ないので、ある程度の所で割り切って行くべきだとは思ってるんですけどね。どうしようかなあ。あ、その前にパスポート期限切れてるんだった……更新(再発行?)に行ってこないと……
今回はそんな感じで。年明けどうなりますかね。