産経新聞のコラム
立ち食いそば屋「名代 富士そば」の公式ツイッターでの投稿が、ネットユーザーの間で注目を集めている。
「めいだい」ではありません…「名代 富士そば」公式ツイッターの投稿に衝撃走る「みょうだい派でした」「初めて知った…」 – イザ!
「名代 富士そば」のツイートはこちら
(……きこえますか…みなさん…名代富士そばです…今…名代を「めいだい」と読むあなたの心に… 直接… 呼びかけています…名代は…「めいだい」ではありません… なだい…「なだい」と読みます…)
— 名代富士そば【公式】 (@fujisobar) March 1, 2022
これ昔、僕も知らなくて。手打ち蕎麦屋の前を通ってるときに「みょうだい……」と呟いたら「あれはね、なだいって読むんだ」って父親につっこまれたことがあります。いつか忘れたけど結構な大人になってからの話。
「名代」っていろんな店の看板に出てるのに露出の割に正しく読まれてないって言うの、不思議ですが、漢字「名」は訓読みが「な」で音読みが「みょう」「めい」なわけなので、普通に読めば「みょうだい」「めいだい」。「なだい」と読むのはいわゆる「湯桶読み」であり変則的な読み方なんですよね。知らなきゃ読めない。
湯桶読み(ゆとうよみ)は、日本語における熟語の変則的な読み方の一つ。漢字2字の熟語の上の字を訓として、下の字を音として読む「湯桶」(ゆトウ)のような熟語の読みの総称である[1]。広義では漢字二字のみに限らず前半を訓読みで後半を音読みで読むものをも言う。原則として規範的な読み方ではないとされるが、現代の日本語においては、漢語と和語が結合した混種語も日常語として深く浸透しており、慣用になっているものも少なくない。
湯桶読み – Wikipedia
読み方別の意味
みょうだい
ある人の代わりを務めること。また、その人。代理。「父の―として出席する」
名代(みょうだい)の意味 – goo国語辞書
なだい
1 名前を知られていること。評判の高いこと。また、そのさま。「―の色事師」 「竜閑橋 (りゅうかんばし) や、―な橋だがね」〈漱石・草枕〉
名代(なだい)の意味 – goo国語辞書
2 名目として掲げる名前。名義。名目 (めいもく) 。 「加賀一疋、旦那の―で買ひがかる」〈浄・曽根崎〉
3 江戸時代、歌舞伎・操り芝居などの興行で、奉行所から許可を得た興行権の名義人。江戸では座元と一致したので使われず、上方で用いられた。
なしろ
大化の改新以前の皇族の私有部民 (べみん) 。諸国の国造 (くにのみやつこ) の民から割いて設け、皇族名を付した。子代 (こしろ) とともに皇族の経済源となった。御名代 (みなしろ) 。
名代(なしろ)の意味 – goo国語辞書
要するに死語ですよね
国語辞典の例文を読むとわかるけど昔は(明治時代ぐらいまでは)日常会話で普通に使われていた単語だったんですね。さすがに流行ってすぐ廃れる流行語のような意味の死語ではないけれど、今は使いませんな。「竜閑橋や、名代な橋だがね」は現代語では「竜閑橋や、有名な橋だけどね」になるでしょうし、ある意味で「死語を使う」=「古い、歴史ある」=「権威ある」みたいな印象で使われ続けてるのかもしれません。死語になりすぎて伝わらなくなってしまったら意味ないけども、富士そばさんのおかげでもうちょっと延命したかな。