原因は
16日に発生した福島県沖地震の影響で6基の火力発電所が停止している上、22日の東日本は気温が下がり暖房需要が高まった。天気が悪く太陽光発電の出力低下など悪条件が重なった。
東電管内、電力使用率100%超え さらなる節電呼びかけ【更新】 – ITmedia NEWS
東京電力管内の火力発電所はもちろん10とかそこらではないので(出力が発電所によって全然違うので数では計れないものの2018年度末で13箇所85機があるらしい)、6基が停止というのは全体のごく一部でしかないはずなのだけどそれでこの状態。現在の東京電力の電源構成はこんな感じです。
電源構成・非化石証書の使用状況|東京電力エナジーパートナー|東京電力エナジーパートナー株式会社
東京電力は唯一の原子力発電所である柏崎刈羽原子力発電所が現在7基とも定期検査中で発電していません。電源構成から他社から購入した電力(FIT電気、卸電力取引所、その他で合計16%)を除いた発電量での比率を計算すると、火力が93%、再生可能エネルギーが3.5%、水力が2.5%になります(ただし火力は株式会社JERA所有、株式会社JERAは東京電力と中部電力が出資している会社)。管内で発電している電力のほぼ全て火力発電所でまかなわれています。
もうやっちゃってるんですよね「脱原発」。
ベースロード電源のない電力供給
これまでは「ベースロード電源」としての原子力発電所があったから火力発電所の出力を調整しつつ安定した供給が出来ていました。電源のベストミックス|電気事業連合会
しかし上記の通り今や原子力はなく石油もほぼゼロ(0.5%)、ベースロード電源と呼べるのは水力のみ。主力は天然ガスなどのミドル電源でそれだけで調整するのはかなりピーキー。もちろん「だから原子力発電所が必要なんだ」などという短絡的なことは言いません。言いませんが、しかしもし原子力発電所が安定して動いていたらこんなにシビアな調整は必要ないわけです。全力を出さなくても常に97%ぐらいを保つことができ、定期的に停止してメンテナンスするのも容易、地震で止まったとしても代替が可能。
今現在の電源構成でそれを実現するためには火力発電所をガンガン建てなければなりませんが、例によって火力発電所も建てるのは非常に大変でかつ天然ガスが高騰していて安定しているとは言いがたい。そしてもちろん、カーボンニュートラルの問題があります。火力発電所の増設はそれに反する。何か起きたときに電気が足りなくなるのは必然です。
一体全体どうすりゃ良いのよ……という感じですけど、これが「脱原発」として描かれている未来であり、そこからさらにカーボンニュートラルとしてその先に望まれる未来です。望まれている未来を実現するためには、原子力発電所を再稼働しないのはもちろんのこと火力発電所の発電をも徐々に止めて再生可能エネルギーに代替していかなければなりませんが、今の技術では完全に不可能です。10年20年経っても可能かどうか。
不安定な再生可能エネルギー発電で電力を安定供給するには蓄電池の準備も必須ですが、たぶんそれすらまだ実験レベルなんじゃないかな。。
再生可能エネルギー(再エネ)のうち、太陽光発電や風力発電などは、発電量が天候に左右され、コントロールするのが難しいという弱点があります。
再エネの安定化に役立つ「電力系統用蓄電池」|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
そうした再エネの不安定性という問題を解決する装置として期待されているのが、「蓄電池」です。今回は、さまざまな場面で利用される蓄電池の中でも、電力系統で利用される蓄電池についてご紹介します。
そして今、声高に脱炭素社会の実現を叫ぶ
「実現に時間が掛かるからこそ声を上げ続けなければならない」という考えももちろんわかりますけど、ここまで実現性が低いと理想の方が間違ってるか、理想はあってるけど当面の目標の設定が間違ってるかなんじゃないかと思ってしまいます。どこかの活動家のように大西洋をヨットで渡って国際会議に出席するような日常に、人類が皆戻りたいというのであれば別ですけどね。冬期は22時消灯、みたいなね。無理じゃん。余計無理じゃん。理想の姿は崩さないままで今現在の活動の方を現実寄りから始めることは、出来ると思うんですが。なんでこうドラスティックにやろうとするんですかねえ。僕にはそれがわからない。