科学的、マーケティング的には正しいんでしょう
おそらくマーケティングで「風呂掃除で大変なことってなんですか？」的なアンケートを採ったんだと思うんです。で、その中で「洗剤を塗布したあとごしごしこするのが足腰的にも腕的にも大変」みたいな話があって、- マーケティング「じゃあこすらないで綺麗になるように出来ないですかね？」
- 開発「いや実はこすらなくても汚れって落ちてるんですよ」
- マーケティング「マジですか。じゃあそこのところもうちょっと押していきますね」
- デザイン「こんな感じでデザインでけたで」
という流れがあったかどうかは定かではありませんが、ともあれなんらかの裏付けがあってこういう押しになってると思うんですけど、でもねえ、それが正しいかどうかなんて使ってる人間にとってはどうでもいいんですよ。検索するとこのことにフォーカスした記事も見つかりますけど、花王さんの考えは終始ピントがずれてるんです。違う、そうじゃない。
ホームセンターカインズのオウンドメディア内の記事
いえいえ、そんなことはありませんよ！ もちろん、年数の経過で蓄積した水垢などは落ちませんが、毎日のお風呂掃除で落としたい、ライトな湯垢汚れはこすらず落とせます。
バスマジックリン最大のタブー「実はこすってる」問題を花王に聞いてみた | となりのカインズさん
（中略）
いえ、こするという物理力で落ちることはあります。ただ、泡の力で汚れが浮き上がる前にゴシゴシこするのはもったいないですね。
（中略）
節約のために泡をピンポイントにしかスプレーしていなかったり、スポンジに直接スプレーしてお使いになる方が多くいらっしゃいます。その場合は、泡の力を最大限に発揮させるためにも、泡を浴槽の隅々まで行き渡らせるために、『塗り広げる』目的でのこすり洗いが必要になりますね。
いやあ……風呂掃除をやってる身からすると、（釈迦に説法であることは重々承知の上で）お前、本当に風呂掃除やったことあんのか？と思うんですよ。
「節約のために泡をピンポイントにしかスプレーしていなかった」あのねえ、じゃあ言わせてもらいますけど、浴槽や風呂の壁面全体にくまなくスプレーしろって言ってるんですか？そうしてない人間は節約してるだけだって？いやあ、ほんとにねえ。風呂掃除やったことあんのか。毎週風呂掃除やって、バスマジックリンがなくなったら薬局に買いに行ってってやったことあんの？もしあるんだとするなら、どうして思い至らないんだろう。
くまなくスプレーするなんて無理に決まってるじゃ無いですか。
汚れを落とすためにゴシゴシこする？いやいや、目に見える汚れが残るぐらいまで放置するタイプの人ならともかく、普通の人はそこまで放置しませんよ。だからこすってるのは今目の前にある汚れを落とすためじゃありません。全体にスプレーしてたらキリがないから、良い感じにスプレーした上で全体に広げてるんですよ。で、その広げる行為のことを動作の性質上「こする」と呼んでいるだけであって、汚れを見えなくするために力を入れてこすってるわけじゃないんじゃないですか。
世の中の人々が風呂掃除でしているこするは、ブラシ掛けのようなこするではないわけですよ。同じ言葉ですけど。その世の中の人々がしていることに対して「ああ違う、こすらなくていいんですよ」といわれてもね、そもそもそういうことじゃないから、意図したとおりにはなりません。こすり洗いしてるんじゃなくて、そもそも全体にくまなくスプレーなんかしてらんないんですよ。
もう無駄だからこすらずにとか言わんでいいです
どう書こうが我々は洗剤を風呂全体にのばすためにこすり続けます。そしてそのたびにパッケージを見て、「なんでこんな意味不明なこと書いてるんだろう？」と思うわけです。こすらずにどうやって掃除するんだろう？って。メーカー側と消費者の「こする」がズレてるんですよ。それに気付かずにいつまでも言ってるからいつまでも「何言ってんの？」って言われるわけです。いい加減諦めた方が良いんじゃないですか？「こすらずに」を推すのは無理だって。もし意図したとおりに使って欲しいのであれば、洗剤を塗り広げるのに特化した専用の風呂ブラシを一緒に販売し「スプレーして広げて30秒待つだけ！」とかにしたらより僕らの実感に近い形になります。そうしたら納得性が上がるし、満足出来る。多分僕じゃなくて全国民が思ってると思うんですけど、なんで気付かないんでしょうね。一生懸命マーケティングしてると思うんですけどね。
不思議ですよねー。
気に入ってもう何年も使い続けてる、香りが残らないタイプ。掃除直後に風呂入れても洗剤臭が気になりません。素敵。こするけど。
