【今日のニュースから】大坂なおみ選手が全仏オープンを棄権

精神的な問題を抱えているとして大会中の記者会見を拒否する宣言をし、大会主催者から非難され4大大会からの締め出しも示唆されていた大坂なおみ選手が、2018年から長く患っているうつ病の状態が良くないとして全仏オープンを棄権することになりました。


大坂はツイッターで棄権を発表し、初のグランドスラム・タイトルを獲得した2018年の全米オープン以来、「長いうつの状態を繰り返し苦しんできて、対応が本当に大変」だったのだと明らかにした。

(中略)

「私は決して騒ぎを起こして迷惑をかけるつもりはなかったし、自分のタイミングは理想的じゃなかったし、自分ももっと明確に発言できたと思います。何より私は絶対にメンタルヘルスを軽視したり、その言葉を軽々しく使ったりしない。実を言うと私は2018年の全米オープン以来、長く続くうつの状態を繰り返していて、対応が本当に大変だった」と大坂は書いた。

大坂選手、全仏から棄権表明 2018年から繰り返しうつに – BBCニュース


「メンタルヘルスの調子が悪いので記者会見をスキップさせてもらえないか」「記者会見以外で自分に出来ることは出来るだけする」(試合中のインタビューには応じていた)、そう語って既存のシステムとなんとか妥協点を見出そうとしていた大坂選手に対して、大会側がした仕打ちは極めて冷淡で理解がなく、「どうせ一流選手特有の我が儘な振る舞いなんだろ」とでも言いたげなで実際の選手のことを理解しようとしない態度であり、現代社会における人のあり方として非常に疑問です。

水面下で話し合った上で大会側が「彼女は精神的な部分で問題を抱えているので、今大会においては記者会見に応じることは出来ないが、試合後出来る限り早くコメントを発表することで取材には答えたいと語っている」ぐらいの発表をすれば、なにも問題はなかったし、彼女自身が大々的に公表する必要だってなかった。


米バスケットボールのステフィン・カリー選手は、「そもそもこんな決断をしなきゃならないのがおかしい。お偉方が自分たちの選手を守らない時に、自ら正道を進むなんてすごく天晴れだ。大いに尊敬する」と述べた。

大坂選手、全仏から棄権表明 2018年から繰り返しうつに – BBCニュース


これまでの推移を見返してみると、割と強い拒絶のコメントが目立ち(「会見場に座ると、これまで何度も質問されてきたことを聞かれたり、不信感を覚える質問を受けたりする。私に対して不信感を抱えている人たちの前には、もう出ない」)、もう少し事情を説明しコミュニケーションを取れるような表明の仕方はなかっただろうかと思う反面、精神的にきつい時に適切な言葉を選ばなければならない、そして結果として自らの状態について自らの言葉で詳しく公表しなければならない、テニスをやって有名になった、ただそれだけのことでなんでそんな重荷を背負わされなければならないのか。そうしたことを想うだけでも心が張り裂けそうです。



大坂なおみ選手のメンタルヘルスが時間を経て安定していくことを祈るとともに、不安定な部分があるアスリートにもプロテニスプレイヤーとして生きていく権利を与えられる、そんな社会であって欲しいと僕は思います。フィジカル的なハンディキャップを持つ選手がパラスポーツという舞台で輝けるのと同じように、メンタル的なハンディキャップを持つ選手が輝ける舞台があってもいいんじゃないか。それをサポート出来てこそのスポーツなんじゃないか。

スポーツビジネスが、社会の文化的な側面をになう非常に重要な人間的活動の一部として、その寛容さを持つことを願います。




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