井戸の多重構造と「出井のススメ」

大人のカエルのイラスト(カエルの成長)
昼間働いている会社との付き合いは2002年からだから約18年。2013年5月に一度退職している(2017年10月に非正規として復職)ので実際には13年ちょっとなのだけど、それにしても割と長い期間付き合ってきました。その中でずっと感じていたことは、社長が社員をバカにしているということ。


社長の人格の問題と言うよりも、根本的に仕事が出来ない社員が揃っていることや、仕事が出来ない人間でも一通り出来るようにするようなシステム、マニュアルの整備が遅れていて、バカにされるだけの理由があってのことではあるのですけど、でも会社はワンマン経営なわけです。会社の決定事項の99%に社長の決裁が必要であり、システムやマニュアルの整備に関しても、実際に手を動かすのが誰かはともかくとして社長にすべて責任があることで、言ってみれば社員の能力が低いのは社長にも責任があることだったりします。



監督責任という言葉があるわけです

2013年まで正社員として働いていたときは、僕も社員の仕事の出来無さ振りに大概迷惑を被っていたので、厳しく指導することもあったのですが、一度離れて遠くから見てみると、なんというかな、そもそも誰も偉くないんだよなという事実に行き当たるわけです。小さな会社の中で社員を叱責し、すべて俺の言うとおりにやってくれといっている社長はさも仕事が出来る風に見えているけれど、根本的な解決を20年以上出来ていないという点では、マネージメント業務に心底向いてない。

恐らく自分で自覚もしていなくて、何か問題が見つかるたびに「これぐらいのこと、なんでわからないんだ!」と怒り心頭なんだけど、そりゃそうだよ、そういう仕組み作ってないもん。雇ってるのはここで社会人始めました、他の経験はアルバイトですみたいな人ばっかりだし、地頭で事務処理能力はあっても仕組みを作るノウハウみたいなのはゼロっていう人ばかりだしね。人件費がネックになって、経験がある人間は雇えない。そもそも業務を改善するためのポストみたいなのはないから雇用して改善するということは起きえない。

この状況が20年以上続いてるんだから、そりゃもう誰に能力があるのかっていう話になりますよ。こういう会社であるのは創業者でもある社長の責任以外あり得ませんね。監督責任だよなあ。社員を叱責しているけど、その何割かは自分のせいなんですよね。



井戸の中をのぞき込む

2017年に復職してからずっと感じている印象はずっとこれです。井戸の中をのぞき込むと、少し体の大きい蛙が、自分より小さな蛙たちを前に怒鳴り散らしている。お前たちは小さな井戸のことしか知らない、もっと考えて働けというのだけど、でも彼だって実はその小さな狭い井戸の中とその周辺ぐらいのことしか知らなくて言っていることもさほどすごくない。それでも小さな蛙たちは井戸の中で恐縮してあちこち働いている。

よくよく考えればその小さな井戸というのは、その井戸を含むちょっとだけ大きな井戸の中にあるだけであって、社会から見ると本当に狭い範囲のことでしかない。僕自身がいるのもせいぜいその中ぐらいの井戸をのぞき込む程度の場所であって、僕が大きな蛙を見て「偉そうなこと言ってんなあ」と思って呆れているのを、上から誰かが見て「そういうお前だって別にその程度じゃねえか」って言われているぐらいの立ち位置。でも社会ってその程度のことなんですよね。

言って、広くない。



出井のススメ

常々思っていることは、小さな井戸で体の大きな蛙に怒鳴られている蛙たちは、早くそんな小さな井戸からでて他の世界を知るべきであるということ。人によって家庭があったり、潰しがきく能力がなかったり、いろいろと事情はあるとは思うんですけど、ミクロな井戸の中で安月給で働いていてもいい事なんか1つも無いと思うんですよ。今の仕事が気に入っているんだとしても、その仕事、たぶん3年後でもあります。

一旦井戸からでて他の世界のことを知ってから、「ああ、やっぱり僕にはあの仕事が一番だな」と思って戻っても同じように仕事にありつける。他の蛙の言うことに対して感じることも変わるだろうし、もし社内にそういう人が増えていけば、たこつぼ化していて問題があっても「なんとかしろ」としか言わないような会社の環境も変わるでしょう。そういうの、大事だと思うんですよね。



まとめ

  • 自分の井戸にいる大きな蛙の言うことが正しいとは限らない
  • 「井戸」というのは多重構造になりうる
  • 自分の井戸の正しいサイズを把握しよう

問題は、10年前にはまだ若くてどこへでも行けた社員たちがそのまま歳だけ重ねてしまっていて、もうそんなにあちこち行けなくなっていること。誰かそのことを教えて上げられる人はいなかったのか。彼らの将来、大丈夫なのかな。まあ、僕には他人の将来を心配するような余裕はありませんけども。