居酒屋「庄や」などを展開する「大庄」(東京都大田区)で働くアルバイトの男性が9月7日、10割の休業手当を求めて団体交渉を申し入れた。
居酒屋チェーン「大庄」、アルバイトに休業手当支払わず 男性が団交申し入れ – 弁護士ドットコム
大庄は4月8日よりほぼ全店で臨時休業を実施。緊急事態宣言の全面解除にともない5月末から営業を再開したが、アルバイトには5月以降の休業やシフトカット分の休業手当が支払われていないという。
男性は8月後半以降シフトを入れてもらえず、シフト表から名前も消されたという。9月8日に都内で会見を開いた男性は「休業手当を繰り返し求めた私を厄介払いしたかったのだと思う。義務をきちんと果たさないばかりか、休業手当を求める労働者を排除しようとする会社は非常に悪質」と訴えた。
「シフトカットされた分」を休業とみなせというのは、非正規雇用者の視点から見ると至極当然のことだと思うんですよね。店の都合で減らされているわけだし、「減らす」っていうと違うニュアンスになるけど実質的に休まされてるわけだから。要するにレイオフでしょ。一時解雇じゃん。
ところが店の主張は、これまた多くの人が予想出来るとおりこうなるわけですねえ。
男性は課長に休業手当を求めたが、5月には「新型コロナウイルスや緊急事態宣言は会社のせいではない」と支払いを拒否され、8月には「都の要請により、売り上げが見込めない。正社員を優先的に使う。そんな時に人は使えない。それは会社のせいではない。よって休業手当を支払う義務はない」などと言われたという。
居酒屋チェーン「大庄」、アルバイトに休業手当支払わず 男性が団交申し入れ – 弁護士ドットコム
人事部からも「使用者の責に帰すべき事由により休業したわけではないので、休業手当を支払う必要はない」と言われたという。
売上が見込めないことを理由にレイオフするに当たり、それは会社のせいではないというのは、経営が苦しいことに対する同情を加味したとしても強弁じゃないんですかね。ていうか「雇用調整助成金」て休業に限らず事業活動の縮小を対象にしたものだから、本来であればシフトカットだって補填されるべきでしょ。実際、厚生労働省のサイトにはこう書かれています。
学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当等も助成対象となります。
雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省
それを「店の景気が悪いからお前らに掛けてる金はねーんだよ」っていっちゃうのって、どうなんかなと。このご時世だからこそもう少しそれに即した回答をすべきなんじゃないの。
まあ僕ももらってないんですけどね
確かに4月と5月は給付されました。直近3か月の平均給与額の7割ぐらいかな。でもそれ以降、6月7月はまるまるシフトを入れさせてもらえず、8月以降も月2回程度しかシフトイン出来ていないにもかかわらず、なにもありません。キッチン配属のアルバイトは僕と大学生1人を除いて全員辞めました。(2020/10/15追記:10月から3人戻ってきました)確かに雇用調整助成金は当初6/30以前の休業に対する助成を対象にしていましたが、今はそれが拡大されていて、
本助成金の支給限度日数は原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年9月30日)に実施した休業などは、この支給限度日数とは別に支給を受けることができます。
雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省
令和2年6月12日付けの特例措置により、助成金の「上限額の引き上げ」と「助成率の拡充」を令和2年4月1日 にさかのぼって適用します。既に支給決定を行っている事業主などに対して、追加の助成額をお支払いします。
雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省
といったことも行われています。事業を継続するためにこれを利用することも出来るはずですし、会社の痛みはゼロにならなくてもそれをアルバイトに押しつけることなく共有することぐらいは出来るはずです。
何回もブログで書いてきてますが、この辺が飲食店なんですよね。解雇するか、休業手当を払って雇用を維持して復活後に掛けるかどっちかであるべきところ、無償で関係を維持し続けるとかね、都合が良すぎるんじゃないですかね。僕はそもそもフルタイムではないけれど、最初の弁護士ドットコムの記事にあったようなフルタイム勤務のアルバイトなんて、こういうご時世だから正社員として雇用する、そういう判断があっても良いはずなのにね。苦しいときこそそういうことを考えていける会社、店であって欲しいと思うんですけどね。