Webデザインとかそれに類する仕事をしていると、友達から仕事を頼まれることがよくあります。たぶん誰でもそうだと思いますけど。もちろんきちんとした「仕事」ではなくて、ちょっと手を貸して欲しいレベル(=無報酬か、手弁当で)の話で、時間が取れるのであればまあ「いいよ」と引き受けるのですけど、実際にやっていくとこれがまた存外に難しいのですね。
お金をもらうとケンカ出来る
難しいポイントってどこにあるのかなーと思って考えてみたら、結局のところ「お金も貰ってないのに喧嘩できないところ」と言うところにあるんだと気付きました。実際の仕事でも良くあることですが、特に友達から依頼を受ける場合、その手の仕事にまったく素人であることが多く、セオリーを外れるような要望を出されることがあります。データ揃ってないのに仕上がり予定日を聞くとか。データも見てないのにうっかり予定日なんか言っちゃったらそれこそトラブルの元ですよねえ。他にも「シンプルだからすぐに出来るよね」というのも、まあよくあるデザイナーが傷つく(またはイラッとする)代表的なクライアントのセリフですけど、これを普段は「お金もらってるんだから仕方がない」と言って飲み込んでいるのが、飲み込めないのが難しい。イラストレーターなんかでもありがちですけど、プロの人に「簡単にできるでしょ?ちゃちゃっとやってよ」みたいなこと言ったらあかんですよ。簡単かどうかは作業者が決めることであって、クライアントが断言するようなことじゃないよね。「そういう面倒なことしたくないから君に頼んでるんじゃないの」
いくら手伝いレベルだと言っても汚いものを作るわけにはいかないので、ある程度はエネルギーを使います。このエネルギーについて誤解する人が多いんだけど、例えば情報量が半分だったら作業量(≒作業時間)が半分になるわけでは全然ない。Webデザインであれ、システム構築であれ、何らかの作業を行うためにはまず環境構築や工程の準備、ラフなモデルの用意など、共通して必要となる作業があります。それが出来次第、上に情報を載せていくので、情報量が半分だったとしても作業量は半分にならないわけです。なっても3/4くらいかなあ。だから、仕事でも友達相手の「趣味」だろうが使うエネルギーはあんまり変わらない。次に難しく感じるポイントが打ち合わせの濃度。「ざっくりした方向性を決めてあとはデザインする人の感性に任せる」というのが、この手の仕事を依頼する人がしがちな誤解なんですけど、いや仕事としてやるときには意匠もテキストもあらかじめ用意する必要があるし、「感性に任せる」ならデザイナーはサンプルをいくつか作って依頼者に戻して決定しなくてはいけない。実はその方が手間が掛かる。そういう段取りとか前提条件の確認とか必要事項を誰がいつまでに用意するのかとか、そういうのが全部きちんと整わないと仕事って始められないので、ちゃんと打ち合わせして確認しようとするんだけど、大体は嫌な顔をされますよね。顔には「そういう面倒なことしたくないから君に頼んでるんじゃないの」って書いてあるんだけど、そんなこと言われましても。
最後に納期ね。きちんと根拠のある期日をあげてくれる場合って、まあないですよね。普通の人は自分で期日を言う前に必ずこう言います:「いつ出来る?」。いやいや、原稿その他素材が全部揃って「明日までにサンプルが欲しい」と言われれば徹夜して提出することが可能なときもあるけど、でも普通は、ケツから決めるでしょう。欲しいリクエストはこんな感じ:「11/1に新店舗オープン→宣伝期間が2週間は欲しい→チラシ納品は10/15→入稿締切は10/8、こんな感じでどう?できるなら今週中にテキストとラフイメージ渡すわー」。遠慮してるのかも知れないけど、そういうのはきっちり決めた方がトラブルにならなくて済むんだよね。日程的に無理なら断ることも出来るし。仕事じゃないからこそきっちりしておいた方が、あとでお金で解決出来ない分、良いと思うんだよね……